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2018年07月11日

【経営】「ローカル線で地域を元気にする方法: いすみ鉄道公募社長の昭和流ビジネス論」鳥塚亮さん

第4章 空と陸ではこうもちがう

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LCCで空の旅はどう変わるか

(前略)

LCCというのは「Low Cosr Carrier(低コスト航空会社)」の略ですが、日本語では「格安航空会社」と訳されています。

コストが低ければ、価格が安くなるのですから、格安航空会社というのもわかりますが格安航空の本場イギリスでは、少なくとも私が(ブリティッシュ・エアウェイズ)在職中はLCCという言葉はほとんど聞きませんでした。

では格安航空会社のことを何というかというとそれはNo Frills(ノーフリル)。

フリルというのは洋服の裾についているヒラヒラのことですが、そういう洋服は高級品で、よそ行きの時に着る特別のものですから、そのフリルがないということは、つまり、「ふだん着の」「特別でない」という意味。

余計なサービスがない分価格が安いということになります。

(中略)

私は、1990年代以降のヨーロッパでの格安航空会社の台頭を目の当たりにしてきましたが、日本のLCCを見て興味深く思うのは、自社ブランドの弱点を補う路線にLCCを就航させようとしている点です。

(中略)

日本では、東京よりも大阪の方がプレミアムマーケットの展開が難しいところですから、大阪を拠点に別の格安会社(LCC)を作って、そういう路線に集中的に展開しようとしているのでしょう。

また、よく「ビーチ便」と呼ばれるような、グアム、サイパンなどのリゾート地への観光便も、新婚旅行などを除いてビジネスクラスの需要がほとんどありませんから、こういう路線もLCCに適していると考えているようです。

でも、私はこのような自社便のセカンドブランドとしてLCCを展開するやり方は、なんだかお茶を濁しているようで、マーケットにおける需給関係から見ると健全ではないように感じます。

おそらく、監督官庁側の行政的指導に基づいて、遅ればせながら日本でもLCCを、という話だと思いますが、世界に羽ばたいていたJ社の方も、簡単に言えば、このような監督官庁からの行政的指導を忠実に守ってきた結果として会社が破たんしてしまったのですから、御上というのも罪深いものです。

(中略)

東京を中心とした大阪、福岡、札幌、沖縄といった国内線の幹線ルートにLCCが入らなければ改革にも革命にもなりませんし、消費者にとってプラスになるメリットはないのです。

さあ、そうなると大変なのはA社とJ社。国内線のおいしいところをごっそりともって行かれるのですから、これは何としても阻止しなければ経営の根幹にかかわると考えているのでしょう。

先ほども申し上げましたが、私は1990年代から始まったイギリスの格安航空会社戦争を目の当たりにしてきました。

イージージェットやライアンエアという格安航空会社がどのようにして大きくなってきたかを、身をもってというか、攻め込まれる側の航空会社という立場から見てきましたから、日本のA社とJ社に言いたいのです。

不採算路線をLCC化するような方法は第一段階にしかすぎません。

そのうち、幹線がLCC化された時の経営準備をしておくべきです。

私がもといた会社も、LCCに押されて国内線のおいしい路線からどんどん撤収していきました。

今の国内線でいうと、需要の高いおいしいところは全部LCCに取られてなくなってしまったのです。


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日本全国が往復2万円で行けるようになれば

格安航空会社(LCC)はいったいどのようなお客様に愛用されているのでしょうか?

日本のLCCの草分けの「スカイマーク」。

1998年の運行開始から13年を経過していますが、その間に業界からいろいろイジメのようなことを受けたにもかかわらず、現在も拡大路線でお客様の数を伸ばしています。

このスカイマークは私の先輩が経営トップにいますから、私もいろいろ勉強させていただいておりますが、見ていて興味深く感じることがいくつかあります。

例えば、特に観光シーズンでもない平日の羽田空港。

ターミナルビルの片隅にある搭乗手続きカウンター。

行き先は札幌、神戸、福岡、熊本、鹿児島、沖縄など。

どの便も「満席」の赤い文字がついています。

お客様は自動チェックイン機で搭乗券を出して、ゲートに向かいます。

荷物がなければ、この間職員とは口も利きません。

荷物がある人は、列に並びます。

この列が半端でなく長い。

でも、皆、黙って静かに並んでいます。

A社やJ社のカウンターでこの列だったら、短気なオヤジが「いつまで待たせるんだ!」と叫びだすところでしょうが、そんな態度の人は一人もいません。

20分ほど待って自分の番になったのでカウンターへ行くと、「おひとり様15キロまで無料です」と書かれた張り紙。

A社とJ社も同じですが、違うのは「超過料金は10キロごとに500円。45キロ以上は預かりません」と書いてある。

後ろに長蛇の列があるし、金額も高くないのでお客さんは自分の荷物がオーバーしたら素直に払っている。

これがA社やJ社のカウンターだったら、「前回は同じ荷物で料金は取られなかった」とか「お前じゃだめだから支店長を出せ」とか、しまいには「俺を誰だかわかって言っているのか」とか始まるお客が必ずいます。

ゲートに行っていざ飛行機へ。

150人乗り程度の飛行機だからお客様の数も満席でも150人(あたりまえか)。

だから、サッと乗ってサッと出ていく。

これがA社やJ社の300人、400人乗りの大型機だったら、ボーディングも倍以上時間がかかるし、必ず1人や2人どこへ行ったかわからなくなる人が出てくるから、その人を探すのに人手も時間もかかるのです。

機内に入ると座席はA社もJ社もスカイマークも同じ。

違うのは飲み物サービスが有料なぐらい。

クルーがポロシャツ姿というのもスカイマークの特徴でしょうか。

飲み物が有料といったってせいぜい100円ですから、別にそこであこぎな商売をしているわけでもない。

自動販売機で100円以上する飲み物を、同じくらいの金額か200円程度で売っているのですから。

要するに、飲み物サービスといっても、いらない人はいらないのであって、必要な人はお金を払えばそれでよいという意味の100円。

今までの国内線では、タダでくれるものだから、もらわなくては損ということで、みんなもらっていたし、自分の番をうっかり寝過ごすと、どうして俺にはくれないのか、となるものだから、「お目覚めですか?」ってシールを座席に貼っていくのがクルーの仕事だった。

こういうのは全く余計なサービスで、寝過ごしても飲み物がほしければ、「ください」って言えばいいだけの話。

変な公平感や、サービスのつもりのような無用のサービスが、国内線の乗客を甘やかしてきたようにしか思えない。

だから、わずか100円の料金を課すだけで、「いらないものはいらない」とはっきり自分が納得できるわけで、おかげでその分ゴミも出ない。

ゴミといえば、到着の15分ぐらい前になると、クルーが袋を持って通路を回りながら機内で出たゴミを回収していきます。

LCCの原則として、折返し地点での地上滞在時間を極力短くして、飛行機の回転を早くすることが求められていますから、同じ形の飛行機でも、スカイマークは他社に比べて10分も15分も折り返しのための滞在時間が短いのですが、これを可能にするのが地上での掃除の簡素化。

そのためには到着前に乗客の皆さんにも協力してもらって、機内の片づけを行うのです。

だから、スカイマークの飛行機は、到着してお客様が降りた後、ゴミがほとんど落ちていない。

これがA社やJ社だと、飲み物のコップがシートポケットに挟まっていたり、新聞が散らかっていて、ブランケットも散乱している。

それを掃除のおばさんが乗ってきて片づけていくのですが、スカイマークでは、クルーが自分たちでサッと片づけて、保安チェックをして、「はい、次のお客様どーぞ」となるのです。

クルーは到着してから掃除するぐらいなら、到着前にやろうと、飛行中に一生懸命機内のゴミを集めているのです。

もう一度おさらいをしますね。

LCCに乗る場合、

・インターネットで自分で予約する。
・クレジットカードかコンビニで自分で支払う。
・座りたい座席も自分であらかじめ選択して決めておく。
・予約した飛行機から変更しない。
・十分な時間をもって空港で手続きをする。
・待たされても怒らない。
・VIP扱いのラウンジだとか、優先搭乗だとかを求めない。
・自分で搭乗口へ行き、自分で飛行機に乗る。
・飛行機の中ではクルーに面倒をかけない。
・機内持ち込み手荷物の収納も自分で行う。クルーは手伝わない。
・飲み物や食事は自分で用意する。
・到着前に自分でゴミの始末をする。
・着いたら次のお客様のことを考えてさっと降りる。

これができればあなたもLCCのお客様になれます。

つまり、これができれば、例えば東京から福岡まで3万6,800円の航空運賃が1万7,800とほぼ半額になるのです。

私は今の日本の経済状況を考えるに、日本全国どこでも往復2万円にすることができれば、もっともっと観光需要を掘り起こすことができると感じています。

だって、香港やソウルはホテルつきで2万円台で行けるのですから、国内線の航空運賃はまだまだ高すぎるのです。

どうです。

国内幹線のLCCって魅力的でしょう。

もうすでに20代30代の人たちは、うまく使い始めているように感じます。

そう、最近の若い人たちはおじさん世代に比べて優秀なのです。

2011.12.06/12/08/12/09

以下、気づかされ・・・

[1]
「LCC」はワールドワイドでは「LCC」と言わない。「No Frills」と言われている。

[2]
「No Frills」は、読んで字の如く「フリルの無い」、転じて、「過剰の無い」、「必要十分」、「普段使い」を意味する。

[3]
つまり、「LCC」は日本では「格安航空(サービス、ないし、その提供)会社」と訳されているが、誤りである。
正しくは、「不必要なサービスの無い(分安い)、普段使いの航空(サービス、ないし、その提供)会社」である。

・・・以下、咀嚼した。
鉄オタ名経営者の鳥塚亮さんが再生したいすみ鉄道に、近く乗りたい。(笑)

[4]
この誤訳は、日本の老舗航空会社が「あるべきサービス」と「不必要なサービス」を明確に定義せず、航空サービスの作法と理(ことわり)を顧客に躾けるのを避けてきたツケである。
顧客をいたずらに甘やかし、「不必要なサービス」を「あるべきサービス」の如く普通に提供し、挙句、割高な運賃をしれっと懐に入れ続けてきた彼らが、「あるべきサービス」とセルフサービスを旨とする「LCC」を「普段使いの」「『訳』あって安い」航空サービスと正訳するには、『訳』の源を顧客にスルーし過ぎたのである。

[5]
やはり、マーケティングの肝は「顧客を正しく躾けること」、即ち、「商品の価値とその評価眼を啓蒙すること」である。
鳥塚さんは言う。
日本の潜在観光需要は、航空運賃を全国どこでも往復二万円にできれば開花する」、と。
結局、作法と理を心得た「話の分かる良いお客」を積極創造するのが、商品(カテゴリー)の多様化を実現し、潜在需要を開花させる早道である。







kimio_memo at 07:17│Comments(0) 書籍 

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