2015年07月08日
【邦画】「39 刑法第三十九条」(1999)
[ひと言感想]
森田芳光監督の、以下二つのメッセージに考えさせられました。
裁判員を務めた時に痛感した「他者を裁くことの難しさ」を、改めて痛感しました。
【1】アカウンタビリティを欠く(=合理的に説明がつかない)、直感した真実に執着するのも「主観」なら、アカウンタビリティの範囲内で真実を規定するのも「主観」である(→前者は「真理第一主義としての」主観で、後者は「合理性の奴隷としての」主観。いずれにせよ、他者を裁くのは結局「主観」である)。
【2】人権尊重の根本は「一個人としての公正な評価」であるからして、容疑者を公正に評価すること、即ち、容疑者を公正に裁くことが、容疑者の人間性、ひいては、人権を尊重する必要条件であり、それは有罪、無罪の別を問わない。
森田芳光監督の、以下二つのメッセージに考えさせられました。
裁判員を務めた時に痛感した「他者を裁くことの難しさ」を、改めて痛感しました。
【1】アカウンタビリティを欠く(=合理的に説明がつかない)、直感した真実に執着するのも「主観」なら、アカウンタビリティの範囲内で真実を規定するのも「主観」である(→前者は「真理第一主義としての」主観で、後者は「合理性の奴隷としての」主観。いずれにせよ、他者を裁くのは結局「主観」である)。
【2】人権尊重の根本は「一個人としての公正な評価」であるからして、容疑者を公正に評価すること、即ち、容疑者を公正に裁くことが、容疑者の人間性、ひいては、人権を尊重する必要条件であり、それは有罪、無罪の別を問わない。
【小川鑑定人(演:鈴木京香さん)】
私は被告人を演劇的健忘、又は、ハリウッド風健忘と鑑定しました。
【長村弁護人(演:樹木希林さん)】
ずばり、聞きますよ。
その「演劇的健忘」っていうのは、一体何ですか?
【小川鑑定人】
突然記憶喪失、時として全生活史健忘を装う、精神科領域の・・・詐病です。
【長村弁護人】
詐病ですか。
それでは鑑定人、お聞きしますが・・・被告人は犯行時にもその・・・健忘を装っていたということですか?
【小川鑑定人】
そうです。
【長村弁護人】
その根拠は何ですか?
鑑定人、あなたの鑑定書ははっきり言って、主観だらけで、全く根拠の無いもので、この問診所見記録、これも、ああなたが一方的に喋ってて、被告人のリアクションしか書いてない。
これで鑑定書と呼べますか?
【小川鑑定人】
そのような根拠は、データに過ぎません。
【長村弁護人】
データに過ぎない?
【小川鑑定人】
私は被告人と会って、感じたことを書いただけです。
(中略)
【草間検事(演:江守徹さん)】
あれじゃ全く話になりません。
あなた「決めた」って言うけど、あれじゃ裁判官の心象を悪くしただけです。
「根拠はデータに過ぎない」とか、そのデータの裏付けが、法廷じゃ全てなんですよ。
【小川鑑定人】
だから、犯罪者の抜け道になるんです。
精神鑑定は通り抜けられても、鑑定人の心までは抜けることはできません。
【草間検事】
それで専門家のつもりなら、やめるべきだ。
あなた、思い上がっている。
【小川鑑定人】
そうかもしれません。
でも・・・もう彼を止められる人間は、どこにも居ないんです。
●
【小川鑑定人】
裁判長、精神鑑定は綿密なデータと知識に支えられていますが、所詮、精神鑑定人の主観に過ぎないのです。
精神鑑定の結果、刑法第三十九条のもとに被告人を無罪にしてしまうことは、被告人の人権を守ることではなく、逆に、奪うことではないでしょうか。
kimio_memo at 07:24│Comments(0)│
│映画