2015年04月09日
【邦画】「男はつらいよ 第13作 寅次郎恋やつれ」(1974)
[ひと言感想]
自分を振り返って考えるに、肉親間の愛情の齟齬は血縁の皮肉です。
「血縁に甘えて、意思の疎通と共有を怠った、不本意かつ当然の報い」という訳です。
修吉、歌子親子の涙の和解から気づかされたのは、肉親こそ恥も外聞もない、要らない、ということ。
肉親足る者、「先に話しかけた者勝ち」、そして、「先に謝った者勝ち」に違いありません。
自分を振り返って考えるに、肉親間の愛情の齟齬は血縁の皮肉です。
「血縁に甘えて、意思の疎通と共有を怠った、不本意かつ当然の報い」という訳です。
修吉、歌子親子の涙の和解から気づかされたのは、肉親こそ恥も外聞もない、要らない、ということ。
肉親足る者、「先に話しかけた者勝ち」、そして、「先に謝った者勝ち」に違いありません。
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
あのう・・・お父さん、元気?
【歌子(演:吉永小百合さん)】
ええ、多分。
【さくら】
最近、お会いになったの?
【歌子】
(顔を横にふる)
【さくら】
でも、(ご主人の)お葬式の時は?
【歌子】
こんなこと聞いたらさくらさん吃驚なさるかもしれないけど、正圀さんが亡くなった時、すぐそのことを父に速達で知らせたら、返事が来て、それも葉書でね、「仕事中だから行けない。お前は葬式が終わったらすぐ帰って来い」って。
たったそれだけ。
いくら私たちの結婚が気に入らなかったと言って、せめてお葬式の時ぐらい・・・。
だってそうでしょう、普通の父親だったら。
たとえば、さくらさんの叔父さんだったら、すぐにでも飛んで行って、「辛かっただろうな」って慰めてくれるはずよ。
私の父には、そんな父親らしい愛情が欠けてるのよ。
【さくら】
でも、それはお父さんの性格で、心の中ではきっと歌子さんのことを・・・
【歌子】
だけどね、いくら心の中で思ってても、それが相手に伝わらなかったら、それを愛情って言えるかしら。
私、今父に会いたいと思わないの。
【さくら】
(無言でうなだれる)
●
【寅次郎(演:渥美清さん)】
ところで、どうなったい、その返事は?
【修吉(演:宮口精二さん)】
「返事」というと?
【寅次郎】
だから言っただろう。
歌子ちゃんの前に両手をついて、「私が悪うございました お許しください」って言えるかどうかって。
【修吉】
そんなことが言えるか。
謝るのは私じゃなくて、歌子の方なんだ。
【寅次郎】
うん、わかった。
俺は最初会った時からね、あーこの男は話し合えない人間だなってそう思ったんだよ。
歌子ちゃんも可哀想だよ、こんな父親持ってさ。
●
【歌子】
(涙ぐみながら)
お父さん。
【修吉】
うん?
何だ?
【歌子】
長い間、心配をかけてごめんなさい。
【修吉】
いや・・・何も君が謝ることはない。
謝るのは、多分私の方だろう。
私は口が下手だから、何と言うか、誤解されることが多くてな。
しかし私は、君が自分の道を・・・自分の信ずる道を選んで、その道を真っ直ぐに進んで行ったことを・・・嬉しく・・・嬉しく・・・私は・・・本当に・・・嬉しく・・・(号泣)
【歌子】
あたし・・・もっと早く、お父さんに会いに行けば良かったのにね・・・
ごめんなさいね。(号泣)
ごめんなさい・・・