2015年04月03日
【邦画】「男はつらいよ 第11作 寅次郎忘れな草」(1973)
[ひと言感想]
寅次郎やリリーに限らず、私たち小市民の生活の多くは、社会全体から見れば、在っても無くてもどうでも良い「アブク」なのでしょう。
とはいえ、人生を、自分を「アブク」と嘆き悲しむだけでは、小市民として名折れです。
私たちが日々励行すべきは、ふと泣き出したり後悔したりしないよう、佐和子の如く(笑)、開き直って最善を尽くすことなのでしょう。
寅次郎やリリーに限らず、私たち小市民の生活の多くは、社会全体から見れば、在っても無くてもどうでも良い「アブク」なのでしょう。
とはいえ、人生を、自分を「アブク」と嘆き悲しむだけでは、小市民として名折れです。
私たちが日々励行すべきは、ふと泣き出したり後悔したりしないよう、佐和子の如く(笑)、開き直って最善を尽くすことなのでしょう。
【寅次郎(演:渥美清さん)】
どうしたい。
ゆうべは泣いてたじゃないか。
【リリー(演:浅丘ルリ子さん)】
あら嫌だ、見てたのー。
【寅次郎】
うん。
何か辛いことでもあるのか?
【リリー】
ううん、別に。
ただ何となく泣いちゃったの。
【寅次郎】
何となく?
【リリー】
うん。
兄さんなんか、そんなことないかな。
夜汽車に乗ってさ、外見てるだろ。
そうすっと、何もない真っ暗な畑なんかに、一つポツンと灯りが点いてて、「あー、こういうトコにも人が住んでるんだろうなあ」、そう思ったら何だか急に悲しくなっちゃって、涙が出そうになる時ってないかい?
【寅次郎】
うん。
こんなちっちゃな灯りがこう、遠くの方へスーッと遠ざかって行ってなあ。
あの灯りの下は茶の間かな。
もう遅いから子どもたちは寝ちまって、父ちゃんと母ちゃんが二人で、シケた煎餅でも食いながら、紡績工場に働きに行った娘のことを話してるんだ、心配して。
フッ。
暗い外見てそんなことを考えてると、汽笛がボーっと聞こえてよ。
何だかふっと涙が出ちまうなんて、そんなこたあ、あるなあ。
分かるよ。
(目の前を漁船が出て行く)
【寅次郎】
お父ちゃんのお出かけか。
(子どもたちが「バイバイ」と手を降っている)
【リリー】
ねえ。
【寅次郎】
うん?
【リリー】
私たちみたいみたいな生活ってさ、普通の人とは違うのよね。
それも良い方に違うんじゃなくて、何てのかな、在っても無くてもどうでも良いみたいな・・・
つまりさ、アブクみたいなもんだね。
【寅次郎】
うん、アブクだよ。
それも上等なアブクじゃねえやな。
風呂の中でこいた屁じゃねえけども、「背中の方へ回ってパチン!」だい!(笑)