2015年03月06日
【邦画】「男はつらいよ 第8作 寅次郎恋歌」(1971)
[ひと言感想]
「平凡な営み」は故郷と同様、「遠きにありて」思うものであり、「近くにある」おいちゃんとおばちゃんが何も思わないのは当然です。
人は無い物を思い、ある物を疎んじる。
そして、無い物を思う人をも、つい疎んじる。
やはり、人は無い物ねだりです。
「平凡な営み」は故郷と同様、「遠きにありて」思うものであり、「近くにある」おいちゃんとおばちゃんが何も思わないのは当然です。
人は無い物を思い、ある物を疎んじる。
そして、無い物を思う人をも、つい疎んじる。
やはり、人は無い物ねだりです。
【寅次郎(演:渥美清さん)】
たとえば日暮れ時、農家のあぜ道を一人で歩いていると考えてごらん。
庭先にりんどうの花がこぼれるばかりに咲き乱れている農家の茶の間。
明かりが明々と点いて、父親と母親が居て、子供が居て、賑やかに夕飯を食べる。
これが、これが本当の人間の生活というものじゃないかね、君(博に向かって)。
【博(演:前田吟さん)】
ええ、まあ、その通りですね。
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
お兄ちゃん、ホントよ。
とっても良いこと言うわ。
【寅次郎】
オレも、色々と考えたからなあ。
【さくら】
そう。
【おばちゃん(演:三崎千恵子さん)】
ちょっと悪いけどねえ、親子で晩御飯食べてるだけのことで、何でそんなに感心するんだい?
【おいちゃん(演:森川信さん)】
そうよ。
どこでもやってるじゃないか、その位のことは。
【寅次郎】
ただ食べてるんじゃないんだよ。
庭先にりんどうの花が咲きこぼれていたの。
【おばちゃん】
りんどうの花だったら、ウチにも咲いてるよ。
【寅次郎】
電気が明々と点いてさ。
【おいちゃん】
夜になりゃ電気点けるだろう、どこでも。
【寅次郎】
あー、分かってないなあ。
これだから教養の無い人は嫌なんだよ。
話し合えないという感じがするものねえ。
なあ、博君。
【博】
えっ、えっそうですね。
つまり、兄さんの言いたいことは平凡な人間の営みの中にこそ、幸せがあるとでもいうのかなぁ。
【寅次郎】
そう、営み。
【博】
言ってみれば、人間には人間の定められた生活があるとてもいうことじゃないですか。
【寅次郎】
そうそう。