2014年12月04日
【邦画】「男はつらいよ 第44作 寅次郎の告白」(1991)
[ひと言感想]
311以来、「人の気持ちに寄り添う」のが流行りですが、仕事と母親の両方につれなくされ、傷心の極みの泉(演:後藤久美子さん)に対する寅次郎のそれは本物です。
寄り添うべき気持ちとその事情を理解せず(→分かった気持ちで)、得意気に甘言を弄するのは、偽善と自己満足に違いありません。
311以来、「人の気持ちに寄り添う」のが流行りですが、仕事と母親の両方につれなくされ、傷心の極みの泉(演:後藤久美子さん)に対する寅次郎のそれは本物です。
寄り添うべき気持ちとその事情を理解せず(→分かった気持ちで)、得意気に甘言を弄するのは、偽善と自己満足に違いありません。
【泉(演:後藤久美子さん)】
おじちゃまは、何も聞かないのね。
【寅次郎(演:渥美清さん)】
お前が風呂行っている時に、さくらに電話してちゃんと聞いたよ。
家出したんだって?
【泉】
うん。
【寅次郎】
満男は心配して、泉ちゃんのことを探しに、鳥取へ出向いたってさ。
【泉】
ほんとに?
今どこに居るんだろう。
【寅次郎】
泉ちゃんの居場所が分かったら、知らせてくれって。
「鳥取の砂丘で待ってる」って。
今頃、砂丘のテッペンに突っ立って、「泉ちゃーん!」なんて叫んでんじゃないの。
おかしいねアイツは、へっ(笑)
【泉】
そう・・・。
悪いことしちゃったなあ。
【寅次郎】
原因は何なんだい?
よかったら、俺に話してみないかい?
【泉】
あたしが悪いの。
それは分かってるの。
【寅次郎】
どういうことなんだい?
【泉】
ママに好きな人が居るの。
それはいいのよ、パパに裏切られた可愛そうな人なんだし、相手の人だって悪い人じゃないし。
よかったら再婚すればいいいの。
それがママの幸せなら、私は祝福してあげなければいけないって。
頭では思うんだけどね、心はそうじゃないの。
嫌なの、不潔なの、汚ならしいの、ママを見ていると。
【寅次郎】
少しも悪くねえじゃねえか、ええ。
泉ちゃんがお袋さんのことをそう思うのは、当たりめえなんじゃないのか?
【泉】
ううん、そうじゃない。
絶対違う。
ママを一人の女性として見ることができないのは、私の心に、何か嫌らしい、汚いものがあるからなのよ。
だから、私間違ってるの。
【寅次郎】
うーん、泉ちゃんは偉いなあ。
【泉】
どうして?
【寅次郎】
俺はなあ、親父が酔っ払って芸者に生ませた子どもなんだよ。
だから、さくらとは腹違いなんだ。
【泉】
ほんと?
【寅次郎】
ああ。
ひどいお袋でなあ、俺のこと生みっぱなしでもって逃げちゃった。
俺は一生恨んでやろうと思ったよ。
でも、泉ちゃんの話を聞いて、すこーし俺も反省したなあ。
あんなババアでも、一人の女性として見てやんなきゃいけねえんだなあ、って。
そうだ。
腰巻でも買って送ってやるか、あのくそババアに。(笑)
【泉】
(笑)