2014年10月31日
【邦画】「男はつらいよ 第40作 寅次郎サラダ記念日」(1988)
[ひと言感想]
「人はみな何らかの天分に恵まれているが、恵まれているが故に悩み苦しむもの。
そこでしてはいけないのは、『悩む』のではなく『迷い』、『苦しむ』のではなく『逃げる』、こと。
対峙した問題を無駄に堂々巡りさせ、現時の最善解を出し損ねるのは、自他共に勿体無い人生だ」。
迷い、逃げようとしていた真知子先生に対する院長(演:すまけいさん)のこの旨の一喝は、天晴です。
後悔の無い人生に要るのは、嫌われ覚悟で免罪符との断絶を諭してくれる他者です。
「人はみな何らかの天分に恵まれているが、恵まれているが故に悩み苦しむもの。
そこでしてはいけないのは、『悩む』のではなく『迷い』、『苦しむ』のではなく『逃げる』、こと。
対峙した問題を無駄に堂々巡りさせ、現時の最善解を出し損ねるのは、自他共に勿体無い人生だ」。
迷い、逃げようとしていた真知子先生に対する院長(演:すまけいさん)のこの旨の一喝は、天晴です。
後悔の無い人生に要るのは、嫌われ覚悟で免罪符との断絶を諭してくれる他者です。
出演:渥美清、三田佳子、三田寛子、尾美としのり、奈良岡朋子、すまけい、鈴木光枝
監督:山田洋次
松竹
2019-12-25
【真知子先生(演:三田佳子さん)】
あ、お早うございます。
【院長(演:すまけいさん)】
おはよう。
あっ、あのおばあちゃん、車乗せて連れて来たんだってね。
ご苦労さん。
【真知子】
ええ。
少し強引でしたけど。
【院長】
あー。
ま、仕方ねえさ。
【真知子】
でもねえ、先生・・・私、どうしても引っかかるんですけど。
人生の最後をどう迎えるかを選ぶのは・・・その人の権利じゃないでしょうか?
【院長】
じゃあ、野垂れ死にしろということになるぜ。
まあ、その議論は後にして、少し休みなさい。
顔色悪いよ。
(中略)
【院長】
この病院やめて何するの?
【真知子】
しばらく仕事から離れて、自分を見つめ直してみたいんです。
子どもとも一緒に暮らしたいし・・・
【院長】
自分を見つめたいか。
結構ですねえ。
寅さんの言葉を借りるなら、「結構毛だらけ猫灰だらけ」だ。
【真知子】
どう言う意味ですか?
【院長】
その程度のことで辞められたんじゃ、医者が何人いたって足りませんよ、こういう土地じゃね。
【真知子】
その程度とおっしゃいますけど、私にとっては大きな問題なんです。
それに、色々勉強してみたいこともありますし・・・
【院長】
いいですか。
この病院はあなたを必要としている。
それが何よりも大事なことで、あなたが抱えている問題などは大したことじゃない。
子どもと会いたければ、呼び寄せればいい。
ええ。
悩みごとがあれば、働きながら解決すればいい。
そうやって苦しみながらですね、この土地で医者を続けていくことが、自分の人生だっていうことに、あなたど、どうしてその確信が持てないんですか。
東京の郊外のお母さんの家で、花でも眺めながら休息の日々を送る。
その内縁談があって、しょうしゃな病院の奥様に納まる。
そんな人生があなたにとって幸せなんですか。
ちっとも幸せなんかじゃない。