2014年10月17日
【邦画】「男はつらいよ 第39作 寅次郎物語」(1987)
【寅次郎(演:渥美清さん)】
それじゃあ、奥さん。
私はこれで・・・
(お辞儀をする)
【真珠店の女将(演:河内桃子さん)】
(接客中のお客さまに)
ちょっと失礼。
(寅次郎の方に向き直して)
どうして・・・
【寅次郎】
もう船も出ますから。
【女将】
何を言いますの。
今夜、ふでさんと一緒に御飯食べることになっとるでしょ。
お宿も、用意してありますんやのに。
【寅次郎】
はい。
お気持ちは大変あり難いんですけども、おふでさんにあの子を渡したら、もう私の用事は終わったようなものですから。
【女将】
そんなこと・・・
【寅次郎】
奥さん。
どうぞ、おふでさんとあの子のことをよろしくお願いします。
それでは失礼します。
(中略)
【寅次郎】
(秀吉に向かって)
坊主。
かあちゃん大事にしろよ、な。
またいつかどっかで会おう、ん。
(秀吉と別れ、船着き場に向かう)
【寅次郎】
船長、待たして悪かったな。
【船長(演:すまけいさん)】
あれ、今晩泊まるんとちゃうんか。
夕飯には、ワシも呼ばれとるねんけど。
【寅次郎】
まあ、そうしたいのはヤマヤマだけど、オレも仕事があるから。
【船長】
うん、そうか・・・
【秀吉(演:伊藤祐一郎さん)】
(寅次郎を追いかけてくる)
おじさん!
【女将】
(秀吉を追いかけてくる)
坊や!
【秀吉】
おじさん、どこ行くの?
【寅次郎】
おじさんはな、これから柴又へ帰って、秀吉が母ちゃんと会えたってこと、みんなに話してやるんだ。
【秀吉】
オレも一緒に帰る!
【寅次郎】
何言ってんだ。
お前はここに残るんだろ。
【秀吉】
嫌だ!
おじさんと一緒に帰る!
【船長】
どうだい、せめて一晩泊まっていったら。
【寅次郎】
頼むから、口出さねえでくれ。
いいか、秀、よーく聞くんだぞ。
おじさんはな、お前のあのロクでなしのオヤジの仲間なんだ。
イイ年をして、おっかさんの世話も見ねえ、子どもの面倒も見ねえ。
そんなお粗末な男にお前成りてえか?
成りたくないだろ、秀。
だったらな、このおじちゃんのことなんかとっとと忘れて、あの母ちゃんと二人で幸せになるんだ。
【秀吉】
(嗚咽する)
【寅次郎】
分かったな。
分かったら、早く行け!
【秀吉】
おじさんと一緒がいい・・・
【寅次郎】
これだけ言っても分かんねえのか。
おじさん怒るぞ。
行け!
これで涙拭いて、さっさと行け!