2014年09月11日
【邦画】「男はつらいよ 第36作 柴又より愛をこめて」(1985)
〔ひと言感想〕
「聖職者は本当に、他者の幸福を自身の幸福と引き換えにできるのか。
そして、教師は本当に、聖職者であって然るべきなのか」。
真知子先生の苦悩から、こう考えさせられました。
教え子には「幸福に成る」道を説くも、自らは「不幸に成らない」道を往った真知子先生の心情は、拝察するに余りあります。
「聖職者は本当に、他者の幸福を自身の幸福と引き換えにできるのか。
そして、教師は本当に、聖職者であって然るべきなのか」。
真知子先生の苦悩から、こう考えさせられました。
教え子には「幸福に成る」道を説くも、自らは「不幸に成らない」道を往った真知子先生の心情は、拝察するに余りあります。
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
(あけみさん)可哀想に。
あんな頼りないお兄ちゃんに会いたいだなんて。
【博(演:前田吟さん)】
あけみちゃんにとっては、頼もしい男なんだろ?
【さくら】
だから、可哀想なのよ。
【満男(演:吉岡秀隆さん)】
自分の兄さんの悪口言ってらあ。
【さくら】
だって、しょうがないじゃないの。
【満男】
オレ、分かるよ、(寅次郎を頼りに思い、会いたがる)あけみさんの気持ち。
【さくら】
えっ?
【満男】
伯父さん(=寅次郎)のやることは、鈍臭くて、常識外れだけど、世間体なんか全然気にしないもんなあ。
人におべっか使ったり、お世辞言ったり、伯父さん、絶対そんなことしないもんなあ。
【博】
へえ、尊敬してんのか?
【満男】
尊敬まではいかないけどさ。
●
【真知子(演:栗原小巻さん)】
実は昨日、その子のお父さんから、突然・・・
【寅次郎(演:渥美清さん)】
その子のお母さんになってくれって言われたんでしょう?
【真知子】
(無言で頷く)
彼は誠実な人だし、女の子は私にとてもなついてるし、何も問題は無いの。
でもね、でも・・・もし、そうなったとしたら、身を焦がすような恋の苦しみとか、大声で叫びたいような喜びとか、胸がちぎれそうな悲しみとか、そんな・・・そんな感情は胸に閉まって鍵をしたまま、一生開けることも無くってしまう。
そんな悩み、寅さんなら、どう答えてくれるかと思ってね。
【寅次郎】
いや・・・オレのような渡世人風情の男には、そんな難しいことは分からねえ。
ただ・・・
【真知子】
えっ?
【寅次郎】
お話の様子じゃ、その男の人は、きっといい人ですよ。
【真知子】
そお?
【寅次郎】
はい。
さあ、先生、(今来た飛行機搭乗用のバスに)お乗りなさい。
【真知子】
ごめんなさいね、自分のことばっかり話して。
【寅次郎】
いえ。
【寅次郎】
でも、聞いてもらってほっとしたわ。
【寅次郎】
そら、ようござんした。
【寅次郎】
お正月には、きっと帝釈様行くわね。
【寅次郎】
待ってますよ。
【寅次郎】
さよなら。
【寅次郎】
さよなら。