【第55期王位戦第二局】羽生王位、木村挑戦者の一目好手を正しく咎め、一勝一敗のタイに【洋画】「トゥルーライズ/True Lies」(1994)

2014年07月28日

【NHK】「世界遺産 誕生までの舞台裏 富岡製糸場」松浦利隆さん(群馬県世界遺産推進課課長)

【ナレーション】
行政も動き出します。
平成15年、群馬県は世界遺産登録を目指すことを宣言しました。
県は、プロジェクトチームを発足(世界遺産推進課)。
その中心メンバーの一人、松浦利隆さん(群馬県世界遺産推進課課長)です。
松浦さんたちは、富岡製糸場の魅力を世界にアピールしようと登録決定に影響力をもつ学術団体の機関紙に何度も論文を投稿します。
当初アピールしたのは富岡製糸場が日本の近代化の先駆けとなったことでした。
しかしその反応は良くありませんでした。
『日本の近代化』では世界は興味を示さない」という指摘を受けたのです

【松浦さん】
世界登録の遺産自体がですね、今までのように「日本でも珍しいから世界遺産だ!」って言って、世界の人々がそれで「成る程!」って言う時代から、少し変わってきている[・・・]いくら考えてもあまり良い作文ができない、良いアイデアが出てこない[・・・]

【ナレーション】
どうすれば、世界に認めてもらえるのか。
松浦さんたちは、世界遺産の審査員を務めたことがある専門家に相談しました。

【岡田保良さん(元イコモス本部執行委員)】
日本史的な評価をあまり強くすると、却って世界の人たちからは、世界の評価からは、遠ざかってしまうような懸念があるわけですね。
だから、できるだけ、海外の人達も評価できるようなストーリーの立て方っていうのが大事だろうと思いました。

【ナレーション】
アドバイスを受け、松浦さんたちは方針を転換。
富岡製糸場が世界の絹産業を大きく変えたことをアピールすることにしたのです。

【松浦さん】
(最初のPR用ポスターには、このように)「日本の近代化(※群馬から始まったニッポンの近代化。)」という風に書いてありますね。
最初は「日本の近代化」をテーマにしてたんですけれども、(こちらの新しいポスターにあるように、)「世界を変えた(※)」ということで、「生糸の大量生産が世界を変えた」、こういう風にコンセプトを変えたわけですね。


世界を夢みた。
扉の向こうに、世界があった。
ニッポンの「蚕」産業革命は、世界を変えた。
そして、いま、世界遺産」という新たな夢へ。
いま再び「世界」へ。


「世界の人たちが今愛用しているシルク、これがどうして安くできるようになったのか。
昔は特権階級の着物だったものが、どうして今、誰でも身に付けられるようになったのか。
その変化を我々の遺産が起こしたんだ」。
この方がメッセージ性が高いんじゃないか、という風に思っているわけですね。

【ナレーション】
松浦さんたちは、新たな方針で訴えを始めます。
今年3月には、海外から関係者(国際産業遺産保存委員会)を視察に招き、直接アピールしました。

【エウセビ・カサネルさん(国際産業遺産保存委員会名誉会長)】
とても良い印象を持ちました。
スケールが大きく、世界でもユニークです。
とても良い世界遺産候補だと思います。

【松浦さん】
新しいコンセプトでもっていった時の方が明らかに反応が良かったし、継続的に知っている人は、「こっちの方がいいよ」と言ってくれたりするんですね[・・・]これはイケるじゃないかなっていう風に、自分自身でも思うようになったわけですね。

【ナレーション】
そして先月、富岡製糸場は後世に残すべき遺産として、世界に認められたのです。

富岡製糸場を世界遺産に登録せしめた、松浦利隆課長以下世界遺産推進課のスタッフの苦労はいくら拝察しても余りあるが、当初の方向性はいただけない。
なぜか。
世界にモノを売っているのに、目線がドメスティック(domestic)だからだ。
「富岡製糸場を世界遺産に登録させる」ということは、「富岡製糸場を世界遺産として世界に売る」のと同義であり、目線は世界でなければいけない。
だが、実際はどうか。
松浦課長以下スタッフは「『日本の近代化』の先駆けを果たした」とのドメスティックな目線で、富岡製糸場を世界に売り込んだ。
世界の人々からすれば、富岡製糸場が「日本の近代化」の先駆けを果たしたことなどどうでも良く、富岡製糸場を世界遺産として買う理由が無い。
世界遺産の登録事務局が当初、松浦課長以下スタッフの苦労を肯定評価せず、富岡製糸場を世界遺産としてスルーしたのは、当たり前の話だ。

しかし、本当にいただけないのは、セールス(モノ売り)の基本中の基本である「買い手の目線で悉く思考、行動すること」を置き去りにし、スルーされた原因を「作文の巧拙」という技術に転嫁したことだ。
なぜ、松浦課長以下スタッフは、基本中の基本を置き去りにし、原因を他に転嫁したのか。

一番の原因はやはり、「『セールス』の心得と自覚が無かったから」だろう。
世界遺産の登録事務局は、受理の重要判断基準に「大義性」、即ち、「世界の人々に広くあまねく有益か?」を設けているはずだ。
なぜなら、各国から「珍しさ」、即ち、「スペック」だけを頼りに世界遺産の登録申請を受理していたら、いくら受理してもキリが無いばかりか、各国の観光省や旅行代理店の手先と変わらなくなるからだ。
とはいえ、事務局も公的な(=大人の)機関であるからして、当然、発布している登録申請書に、「あなたが今回登録を希望する遺物は、どのようなユニークなスペックを持っていますか?」との問いとその回答の欄は設けてはいても、「あなたが今回登録を希望する遺物は、世界の人々にどういったユニークかつ合理的な有益性がありますか?」との問いとその回答の欄は設けてはいまい。
そこで、そもそも役人で、セールスの心得に乏しい松浦課長以下スタッフは、「富岡製糸場を世界遺産として世界に売る」自覚のないまま馬鹿正直に、「『日本の近代化』の先駆けを果たした」との目線とコンセプトで、富岡製糸場のユニークなスペックを申請書に延々のたまい、各種PR(=プレゼン)機会でも同様にプレゼンしたのだろう。
事務局が、否、世界の人々が買い求めるのはスペックではなく、それがもたらす有益性(ベネフィット)なのに。

私は、「プロポーズの台詞」、即ち、「口説き文句」の下手さが原因で破談になったカップルを知らない。(笑)
口説き文句の饒舌さは、彼女(or彼氏)の心身を一時的にとろけさせる(笑)ことはできるが、それ以上のことはできない。
彼女へのプロポーズも、世界遺産の登録申請も、他者に自説の受理を求める点で「セールス」に他ならず、その成否を真に分かつのは、「口説き文句がいかに上手いか?」ではなく、「自説が相手にとっていかに有益か?」だ。

もう一つ原因を挙げるなら、「富岡製糸場との距離が近すぎたから」だ。
仕事で企業にコンサルをしていていつも思うのだが、大抵の企業は商品の売り方を間違っている。
正確に言えば、売りモノの本当のウリを見過ごしているために、本当のウリをウリと正しく認識しないでいるために、ウリではないスペック、或いは、ベネフィットばかり買い手に訴求している。
これは、メル友始まりの深窓の令嬢を「オレのフェラーリでお泊りドライブしない?」と口説く(笑)ようなもので、商品が売れないよう積極的に努めているに等しい。
かくなる不毛な積極努力は、なぜ生まれるのか。
ありがちなのは、売りモノと売り手の物理的、或いは、精神的距離が近すぎて、ウリの認識と他者への訴求が、買い手目線で客観的かつ合理的にできないからだ。
だから、「親の代理見合い」の多くは子どもの結婚の助けになっていないし(笑)、大抵の企業は身近すぎる自社商品を「こんな良いモノ、他に無い!」、「こんな良いモノ、売れて(=お客は買って)当然!」と過剰評価の上、買い手にとってウリでないスペックやベネフィットばかりウリとして大上段に訴求し、本当の意味での殿様セールスをしてしまっている。

松浦課長以下スタッフの当初の苦労の背景には、「こんなにも富岡製糸場は素晴らしいのだから、世界遺産に登録されて当然!」との、本当の意味での殿様セールスがあったのではないか。
売りモノと売り手は、オトコとオンナと同様(笑)、「近すぎず、遠すぎず」でなければいけない。



★2014年7月4日放送分
http://www.nhk.or.jp/tokuho/program/140704.html



世界遺産への登録が決まった群馬県の「富岡製糸場」。
明治5年、政府が日本の近代化のために設置した初めての器械製糸場で、富岡は当時、生糸を作るための良質な繭と、広い土地や水などが確保できたことなどから建設場所に選ばれた。
世界遺産の登録は、明治以降の産業遺産としては日本初となる。
富士山や小笠原のような全国的な知名度や圧倒的な美しさはないものの、「ものづくり日本」の原形を築き上げるなど、当時の日本人が成し遂げた偉業が評価されている。
また比較的知名度の低かった文化財を世界遺産にまで押し上げた地元の運動も注目されている。
番組では、富岡製糸場の歴史秘話や、世界遺産への道のりの舞台裏を徹底取材。
知られざる魅力に迫る。


富岡製糸場と絹産業遺産群 (ベスト新書)
今井 幹夫
ベストセラーズ
2014-03-08






kimio_memo at 07:20│Comments(0) テレビ 

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