【邦画】「男はつらいよ 第32作 口笛を吹く寅次郎」(1983)【邦画】「お嬢さん乾杯」(1949)

2014年07月14日

【洋画】「クレイマー、クレイマー/Kramer vs. Kramer」(1979)

[ひと言感想]
「裁判の速記を担うなら、離婚より殺人の方が余程楽しい」。
メイキングの中の、本作品に飛び入り出演した本物の裁判速記者の所感に考えさせられました。
たしかに、離婚や親権の裁判は、殺人のそれと違って条理と不条理、被害者と加害者、善人と悪人が明確に分離できず、また、愛憎も入り乱れ、仕事の第三者でも見るに堪えないのでしょう。
そんな第三者が見るに堪えない中、テッドとジョアンナが改めて幸福の船出ができたのは、愛児ビリーの幸福を第一に、共に被害者感情と善悪を棚上げし、和解の糸を紡いだ為でしょう。

私はかつて離婚した時、和解の糸を紡ぐのを怠りました。
もう離婚はしないと思いますが(笑)、生きている以上、今後も何らかで他者と対立したり、争うことはあるに違いありません。
しかし、対立や争いで一番大事なことは、白黒を付けることではなく、幸福に成ることです。
不肖私、感情や自己肯定の余り和解の糸を断つ愚を、今後一層断つ所存です。


クレイマー、クレイマー コレクターズ・エディション [AmazonDVDコレクション]
出演:ダスティン・ホフマン、ジャスティン・ヘンリー、メリル・ストリープ
監督:ロバート・ベントン 
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2015-12-25




メイキングドキュメンタリー「真実の中に/finding the truth」

【ダスティン・ホフマンさん】
(この映画への出演を打診しに来た)彼ら(=制作者と監督)に言った。
「自分は離婚の渦中に居る。
多分、多くの人が離婚に関しては、人から話を聞いたり、本を読んだりして、分かった気になっている。
だが、自分の子どもの誕生や親や身内の死と同じように、実際に経験しなければ分からない事の一つだ。

今、自分が経験している事は、小説やこの脚本に書かれてる事と全く違うし、遥かに深い。
この脚本と僕とは関係無いが、自分が経験中の事を演じるのはあまりに辛い」、と。

【ロバート・ベントンさん(監督/脚本)】
話の中で、誰が言ったかは忘れたが、ダスティンにより興味を持たせた言葉は、「役者にとって一番難しいのは、自分を演じる事だ」。
これは実際非情に大変な事で、深い自己観察と克己心が要求される。
それだけ幅がある役者は少ない。
簡単そうだが、最も困難な事だ。

【ダスティンさん】
監督はいつも笑顔を絶やさない。
この時もベントン・スマイルで、僕に「どうしたい?」、と(聞いてきた)。
(続けて、)「部屋に数ヶ月カンヅメになる気は?」、と(も聞いてきた)。
(僕が返事をする前に)監督は「ある」、と答えた。
(製作者の)スタンリーも同意した。
僕は、「自分の経験を書く気は無いが、僕の経験の真実を描きたい」、と言った。

【スタンリー・ジャッフェさん(製作)】
コロラド・ホテルの私の部屋へ二人は毎日来た。
毎日12時間以上かけて、脚本や人生について語り、脚本に入れる真実を見つけようとした。
こうして企画は始まった。



【ダスティンさん】
(製作者、監督とミーティングを重ねる中で)離婚を苦痛なものにするトゲの正体が分かった。
愛を終わらせたいのに、それができない事だ。
初めて会った時から愛情を育んできた時間、その苦痛と違う時間は消したくても消せない。
その時間が切り花のようだと気づいた時、互いがしてきた事全てが、ただ重荷になってしまう。




【ダスティンさん】
(裁判でメリル・ストリープさんが、「大切な人間関係に失敗したのは、あなた自身だ。そうでしょう?」と、相手側の弁護士に詰め寄られているシーンで)僕が首を(横に)振ったのは、映画の台詞とは関係ない。
僕が首を振ったのは、彼女が喪失感を感じてて、その話をしたからだ。
その時、何かが起きた。
監督が振り返り、彼女の視線の先を追った。
そこで、僕の首振りを見て、興奮して僕に聞いた。
「どういう事だ?
今のこれは何か?
いい母親だったと言ってるようだったぞ。
君の分も撮り直したい」。
それで、特別な瞬間が撮れた。
かつて愛し合っていた二人が、親権を巡って争う。
そんな状況でも、彼らの心は繋がってる。

【スタンリーさん】
かつては夢を分かち合い、共に歩んだのに、夢は消えた。
彼らの悲劇だ。

【ロバートさん】
彼らは、互いの言葉をイヤでも聞かされ、愛してた事を思い出す。
これを軸に、法廷の場面で物語が変化していく。
これは非情に重要な事だ。
ここから和解が始まる。
最も大切な事は、テッドとジョアンナの対立が解決した事だ。
元には戻らないが、三人の幸福を暗示してる。




【ロバートさん】
10代の子が(思いの外この映画を見に)来てて驚いた。
彼らが避ける映画だと思ってた。
だが、実は、両親が離婚しているとか、親友の親がそうかも、彼らは知りたいんだ。
親が離婚しても大丈夫か、それはもう平凡な事なのか。



【ダスティンさん】
その日働いていた速記者が映画にも出演した
本物の速記者のようにできる役者がいなかったんだ。
撮影の合間に、彼女に話しかけた。
離婚裁判の担当かと聞くと、長年やったが、辛過ぎて、もうやめた、と言ってた。
今の担当は楽しいらしい。
殺人事件の担当だ。(笑)
「比較にならないくらいだ」、と。(笑)
離婚の方が辛い。
どんな悲惨な殺人でも、離婚裁判の暗さに比べたら、天国だ。
殺人はいつでもOKだ
」、と。(笑)


kimio_memo at 07:16│Comments(0) 映画 | メリル・ストリープ出演作

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