2014年08月08日
【邦画】「男はつらいよ 第29作 寅次郎あじさいの恋」(1982)
[ひと言感想]
たしかに、男に不本意に袖にされた女が望むのは、まっとうなお説教や今後の人生指南より、悲しみを忘れさせてくれる慰撫であり、寅次郎の笑顔はそれに打ってつけです。
しかし、かつて博(演:前田吟さん)が言ったように、「人生で大事なのは(いかなる時でも)力強く生きること」であり、笑顔だけでは、その後の人生はおぼつきません。
人生に辛苦は付き物です。
笑顔は人生の必要条件ですが、十分条件ではありません。
寅次郎が笑顔に長けているのは、生来の資質に加え何より世事と無縁のフーテンでからであり、寅次郎もその自覚はあるに違いありません。
ようやく本題(?・笑)ですが、なぜ、寅次郎は自ら惚れたかがり(演:いしだあゆみさん)の据え膳を食わなかったのか。
それは、思いがけないうまい話(笑)に気後れしたことに加え、かがりの懸命さをもてあそぶには余りにヤクザや能無しで無さ過ぎたからではないでしょうか。
不肖私、「男がつらい」訳をまた一つ思い知りました。(笑)
たしかに、男に不本意に袖にされた女が望むのは、まっとうなお説教や今後の人生指南より、悲しみを忘れさせてくれる慰撫であり、寅次郎の笑顔はそれに打ってつけです。
しかし、かつて博(演:前田吟さん)が言ったように、「人生で大事なのは(いかなる時でも)力強く生きること」であり、笑顔だけでは、その後の人生はおぼつきません。
人生に辛苦は付き物です。
笑顔は人生の必要条件ですが、十分条件ではありません。
寅次郎が笑顔に長けているのは、生来の資質に加え何より世事と無縁のフーテンでからであり、寅次郎もその自覚はあるに違いありません。
ようやく本題(?・笑)ですが、なぜ、寅次郎は自ら惚れたかがり(演:いしだあゆみさん)の据え膳を食わなかったのか。
それは、思いがけないうまい話(笑)に気後れしたことに加え、かがりの懸命さをもてあそぶには余りにヤクザや能無しで無さ過ぎたからではないでしょうか。
不肖私、「男がつらい」訳をまた一つ思い知りました。(笑)
【寅次郎(演:渥美清さん)】
(電話をかけている)
もしもーし。
よ、近藤さん。
ん。
オレ、オレ、寅だよ。
ん。
夕飯食ったかい?
いや、まだだったらさ、たまには二人でゆっくり、酒でも飲もうと思って。
ん。
何?
何かあったの?
【近藤(演:柄本明さん)】
今駄目なんですよ。
(加納)先生がとても機嫌が悪くて。
今かがりさんが呼ばれて、怒られてる最中なんですよ。
さあ・・・よくわかんないけど・・・
後で報告しますから。
はい、はい。
(電話を切る)
【加納作次郎(演:十三代目片岡仁左衛門さん)】
何で私に謝らならんのや、え?
これはあんたのことと違うか、え?
かがりさんが幸せに成れるか成れんかという問題と違うんかいな?
あんたホンマに蒲原を好きやのか?
【かがり(演:いしだあゆみさん)】
はい。
【作次郎】
それやったら何であんた、あの男の首玉にしがみついてでも、一緒にならへなんだんや。
人に気いばーっかりつこうて生きているあんたを見ているとな、あたしゃもう時々腹立ってくる時があるねん。
人間というもんはな、ここぞと言う時には、全身のエネルギーを込めてぶつかって行かんとあかんのや!
ああ、命をかけてぶつからんとあかへんねん!
そ、それがでけへんようなら、とてもやないけどあんた、幸せにはなられへんわ!」
●
【寅次郎】
可愛そうになあ。
そうだろう。
早い話がさ、かがりさんは男にふられたんだよ。
慰めてやるのが本当じゃないか。
なんで叱ったんだよ。
【作次郎】
うーん、ちょっと言い過ぎたおもて、後悔してんねん。
【寅次郎】
困ったもんだね、年寄りってのは、
全然女の気持ちなんてのは分かっちゃいねえんだから。
●
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
ねえ、お兄ちゃん・・・
【寅次郎】
なんだ?
【さくら】
本当はかがりさん・・・お兄ちゃんを好きだったんじゃないの?
【寅次郎】
バカヤロー。
あんな美人で、しかも賢い人が、オレみたいなヤクザの能無しの男を、おめえ、どうこう思うわけねえじゃねえか。
おまえ、頭おかしいんじゃねえのかあ。