【起業/経営/人物伝】「ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り」ニック・ビルトンさん【邦画】「男はつらいよ 第26作 寅次郎かもめ歌」(1980)

2014年06月26日

【邦画】「切腹」(1962)

[ひと言感想]
半四郎は「言語道断」と、「切腹スルスル詐欺」(笑)を否定し、咎めを妥当と考えていたに違いありません。
では、なぜ、半四郎は、その主因として一目妥当な「武士の面目」を否定し、正に命懸けで勘解由に説いたのか。
主因は、知らず知らず「武士の面目」に呪縛されていた、或いは、執着していたが為、求女の様に帯刀の売却を発想できず、孫を見殺しにしてしまった自分の不明を恥じ入ったからに思えます。

たしかに、半四郎の考えは一理ありますが、勘解由には釈迦に説法だったように思えます。
なぜなら、勘解由は確信犯に窺えるからです。
勘解由は、武士の面目の「建前さ」、「お題目さ」、「浅はかさ」を承知し、その上で、責務である井伊家という組織の維持と興隆に都合良く利用したのではないでしょうか。
求女の竹光切腹を止めなかったのも、モラルハザードである切腹スルスル詐欺への「同じ武士としての道義的(筋的)不快感」以上に、「組織幹部としての管理、及び、社会的責任」が大きく働いてのことだったのではないでしょうか。
個人の正義が社会の正義を約束しないのと同様、個人の面目が組織、社会の面目を約束しないのも、残念ながら、人間社会のお約束事ではないでしょうか。


あの頃映画 「切腹」 [DVD]
出演:仲代達矢、石濱朗、岩下志麻、丹波哲郎、三國連太郎
監督:小林正樹 
松竹
2012-12-21

 

【津雲半四郎(演:仲代達矢さん)】
最後にもう一つ。
これは方々もよく聞いていただきたい。
いかに衣食に窮したといえども、武士足る者が、腹を切ると称して、他人の玄関先に押し寄せるなどまことに言語道断。
許すべき所業ではない。
とは言いながら、千々岩求女に対する当井伊家のなさり方、もう少し方法があったのではござらぬかな。
武士足る者が恥も外聞も無く、もう一両日だけ待ってくれというのは、よくよく事情があってのこと。
せめてひと言、それはいかなる理由か、どういう訳なのか、聞き出してやるだけの思いやりはこれだけの方々が居られて、誰一人としても無かったのか。
妻は瀕死の床に喘ぎ、いとけない子どもは、しきりに病の痛苦を訴えておる。
求女としては恐らく、委細を拙者に話し、またでき得る限りの手も尽くし、後事も全て拙者に託した後、当井伊家に取って返すつもりに・・・

【斎藤勘解由(演:三國連太郎さん)】
津雲半四郎!
身勝手な言い分も、ほどほどに致せ。

【半四郎】
何!

【勘解由】
千々岩求女、それは色々と事情もあったであろう。
しかし、己自身の口から申し出た切腹、事、志と食い違い、いかなる羽目に立ち至ったとしても、全ては己が蒔いた種。
誰を恨むことも、責めることも、咎めることも叶わぬ。
かくなれば、全てのこと一切は決然と投げ打ち、見事に腹を切る。
潔く死に立ち向かう。
これこそ、まことの侍の道。
それにもかかわらず、一両日待てとは卑怯未練。
血迷うたと言われても、仕方があるまい。

【半四郎】
いや、それはその通り。
成る程、求女は血迷うた。
しかし、よくぞ血迷うた。
拙者、褒めてやりたい。
いかに武士とはいえ、所詮は血の通うている人間。
霞を食うて生きていけるものでもない。
求女ほどの男でも、土壇場に追い詰められれば、妻子ゆえに、いや、よくぞ血迷うた。
竹光浪人、武士はおろか、町人小者の末までが求女の未練を嘲り笑う。
いや、笑う奴は勝手に笑うがいい。
人それぞれに心など、到底計り知れるものではない。
仮借無き幕府の政略の為、罪無くして主家を滅ぼされ、奈落の底に喘ぎ、うごめいている浪人者の悲哀など、衣食に憂いの無い人には、所詮分からぬ。
求女が未練を真に苦々しく思う人があろうと、逆に自分がその立場に立った時、果たしてどれだけのことができよう。
所詮武士の面目などと申すものは、単にそのうわべだけを飾るもの

【勘解由】
世迷い言はそれだけか。

【半四郎】
世迷い言?

【勘解由】
武士の面目とは所詮、うわべだけを飾るものと申したいのか。

【半四郎】
左様。

【勘解由】
(嘲笑)
「腹を切らせろと言っても、まさか切らせはすまい」。
そのような甘い考え方が、全て間違いの元。
「腹を切る」という者には切らせる。
いや、「切る」と言うからには、必ず切らせてみせる。
それが、当井伊家の家風。
うわべだけを飾る面目だけのものではない。

【半四郎】
ハハハハハハ
すると、この半四郎とて、腹を切るつもりなどは毛頭無く、ただおのが娘婿、千々岩求女に対する当井伊家の仕打ち、腹に据えかね、恨みの数々を述べに来た、と、このように?

【勘解由】
それは他人に聞くべき事柄では・・・
己自身の胸に聞けばいい。

【半四郎】
しかし、いずれにしても、「このままでは帰さぬ」(つもりではないか?)。

【勘解由】
それは、当方の勝手。
お主に断るべき筋合いのものではあるまい。

【半四郎】
ご家老。
「疑えば目に鬼を見る」という諺があるが、知っておられるかな、「腹を切る」という拙者の言葉には、いささかの嘘偽り・・・
これだけ委細を尽くしても、それが・・・
第一、拙者がこれ以上生き延びたところで、先々に一体何の楽しみが・・・
一刻も早く、求女や(娘の)美保、それに(孫の)金吾、みんなの待ち受けてくれているあの世へ行くより・・・
しかし、このままノコノコ手ぶらで行ったのでは、みんなに顔が合わされぬ。
左様ではござらぬかな。
求女の事情を話せば、井伊家の人たちとて、「ああ、そうであったか。あの際、つい一同血気にはやり、あのような始末に・・・しかし、誰しもあの処置は万全とは・・・どこか、何か行き過ぎたところがあったのでは・・・お互いに、もっと何か適切な方法があったのかも・・・」。
ま、せめて、このような言葉の一つも聞けば、求女とて満足。
土産と言っても、せいぜいこの程度よりほかにあるべきはずも無い、となぞ思ってもみたが、まるまる拙者の当て外れ。

【勘解由】
それが分かっておれば、世話は無い。
甘い人情話の通る世界でも・・・
武士の面目とは所詮、うわべだけを飾るものとしか心得ておらぬそこもと、元々、我らに通ずる訳の者でも・・・・

【半四郎】
詰まる所は、埒も無い年寄りの愚痴話か・・・
ああ、今更それを悔やんでも、栓の無いこと。
では、とんだ長話で失礼を。
これより、腹をつかまつる。
あ、いや、待たれい。
その前に、当家よりお預かりしている品物を一応・・・

(中略)

【半四郎】
矢崎隼人殿、川辺右馬介殿、ご両人、当井伊家では、いずれも名の聞こえた武勇の誉高き方々と聞いておる。
あ、いや、ご家老、方々、ご心配無く。
頂戴つかまつったのはこのマゲだけで、命までは頂いておらぬ。

(中略)

【半四郎】
とは言いながら、大坂の陣以来、やいばの下を潜るのは、正に拙者十六年ぶり。
首を取るのも難しい。
しかし、マゲだけ頂戴するは、更に一苦労。
ハハハハハハ。
(マゲを家老の方へ投げる)
腕の相違はともかく、武士足る者がマゲを切り落とされるは、首をうち落とされたも同じ。
不面目、不始末、死をもってさえあがない得るかどうか。
にもかかわらず、病気と称して出仕を休み、ただマゲの伸びるのを待っている始末。
ご家老!
赤備えの武勇などとは言いながら、井伊家のご家風も所詮、武士の面目のうわべだけを飾るもの。
ハハハハハハ。

【勘解由】
乱心者。
切り捨てい!


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