【邦画】「ゴジラ」(1954)【邦画】「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」(1981)

2014年06月18日

【NHK教育】[SWITCHインタビュー達人達「上原ひろみ×石塚真一」]上原ひろみさん

【石塚真一さん】
(上原さんは学生時代)「人間ジュークボックス」っていうアダ名があった、っていう(真相のほどはいかに?)・・・



【上原ひろみさん】
昼休みとか、(学校の)ロビーにピアノがあったんで、そこでピアノを弾いていて、その時に流行っている曲とか、CMの曲とかを、みんなで集まって聴く中で、弾いたりとかはしていましたね。
中高と、音楽というものに自分ほど興味がある人っていうのは周りにそんなに居なかったんで[・・・]だから、例えば、自分が技術的に何か少しハイレベルなことができたりとか、(具体的には)このコードでこういうスケールが弾けるようになっただとかいうことは、(自分の演奏を聴いている同級生の)彼らには関係が無いこと(であるのが分かった)。
つまり、「音楽(の良し悪し)は(結局)何かを感じるか、感じないか(で決まる)」っていう、本当に残酷に近い判断基準がそこにあったので、お昼休みとか演奏してて、(演奏者の自分が目標にし、留意、追求したのは、聴衆の彼らに)「何か伝わるか、伝わらないか」、それだけだったんですね。
(聴衆の彼らが自分の演奏に求めているのは)「何か来た、何か心に来た」っていうことしかやっぱり無いんだなっていう。
そこっていうのは、自分のそれから続いていく音楽人生の中で、凄く大きな判断基準になっていますね。

「(聴衆に)伝わっているか、伝わっていないか」。
「(聴衆が)何か感じるか、感じないか」。
音楽のジャンルはそれだけなんだなっていう。

一般のリスナーにとって音楽を聴いて「何かを感じるか、感じないか」というは、”その”音楽に「感動できるか、できないか」ということだ。
上原ひろみさんが中高生時分に気づかれたように、音楽の根源価値は感動であり、その存在意義は「言葉にできずに感動できること」に違いない。

一目惚れに(説明できる)理由が無いように根源価値や存在意義が「感動できるか、できないか」であるのは、音楽に限らず、全てのモノとサービス、そして、ヒトに当てはまるに違いない。
実際、音楽におけるスケール、コード進行、演奏技術といったものは、結局、方法論や技術だ。
コード進行の斬新さや速弾きに直接感動するのは、同じプレイヤー(業界人)とオタクリスナーだけだ。
対象顧客である一般のリスナーからすれば、いかに優れた方法論や技術、ないし、それらがもたらす機能的、合理的な効用(価値)も、「言葉にできない感動」には及ばないし、そもそも無関心、意味不明だ。
経営者足る者、真に売れるモノ、サービスを創造したいなら、それが対象顧客に与え得る感動の内容と質量を最重視すべきだ。


【上原さん】
自分が今どうしてこれ(=ピアノ)をやっているのかとか、勿論、自分自身、音楽が(異常を自覚するほど)好きだっていう、音楽に対する情熱だったり、ドライブもあるけれども、やっぱり、最初に出会ったピアノの先生が、まあ普通のクラッシックのピアノの先生でしたけど、色んな音楽を分け隔てなく聴く方だった[・・・]そういう先生に教えられてきたっていう出会いが、先ず凄く大きいし・・・

【石塚さん】
どんなレッスンをされてたんですか、実際?

【上原さん】
凄いテンションが高い先生で、多分、エネルギーレベルが物凄く高い方だと思うんですね。
(楽譜の音楽記号に)「カンタービレ」というという言葉が(あり、意味は)「歌うように(演奏する)」っていうことだけど、先生は(実際に)「歌ってる絵」を書くんですよ、楽譜に。
それは、やっぱり視覚的に分かったりとか、あとは(他にも)例えば、「フォルテシモ」っていうのは「凄く力強く(演奏する)」(という意味で)、「ピアニッシモ」っていうのは「凄く優しく、デリケートに(演奏する)」(という意味で、そういうのも色鉛筆で真っ赤にフォルテシモ(の記号)を塗ったり、水色でピアニッシモ(の記号)を塗ったりすることで[・・・]子供が音楽を感情で紡ぐということを凄くし易くしてくださった
なっていう[・・・]「音楽は心から心に伝える」っていうことを、全身で教えてくださった先生なので、もう何かエモーショナルの塊みたいな方でしたから、そういう方とやっぱり幼少期に出会えたっていうのは、(自分の人生の好影響因子として)凄く大きいと思いますね。

行動を促すのは理論ではなく感情であり、理論が果たすのは思想の刺激だけだ」。
あくまで想像だが、上原さんが最初に師事した疋田範子先生は、本事項の心得者だったに違いない。
「歌うように演奏する」というのは、プレイヤーにいかなる心情変化を要求することなのか。
そして、その果てのカンタービレの演奏は、リスナーにいかなる心情変化を、ひいては、「言葉にできない感動」を提供することなのか。
これらを視覚的かつ感情的に、子ども目線で平易に教示なさった疋田先生には、感心脱帽以外無い。


【ナレーション】
上原は17才の時、偶然、巨匠チック・コリアの前で演奏する機会を得る。
余りの才能に驚いたチックは、なんと、翌日の自分のコンサートで、上原を急遽舞台に上げた。

Duet
Chick Corea
Concord
2008-09-23


【上原さん】
本物っていうものを、あの年で間近に見る。
そして、自分の至らなさだとか、チックの引き出しの多さ、なんか、まるで巨大図書館の中を歩いているような、それぐらいの衝撃があって・・・

上原さんがチック・コリアさんの生プレイから窺ったのが「巨大図書館」というのは、言い得て妙だ。
しかし、そもそもなぜ、上原さんは、若干17才時分、チックの生プレイから「巨大図書館」を窺えたのか。

たしかに、直接の理由は、チックさんならではの才能とキャリアが織り成した、即興とは思えぬ正に「引き出しの多さ」だろう。
ただ、これまたあくまで想像だが、上原さん自身が当時既に、高次の音楽の知見に相当飢えておられたのではないか。
つまり、根本の理由は、その飢餓感ではないか。
なぜなら、図書館の蔵書に評価、感動できるのは、高次の知見に対する相当な飢餓感があってのことだからだ。
当時、上原さんは既に音楽に対し、周囲の理解を超える「異常な」情熱を自覚なさっていたというが、この飢餓感も負けず劣らず異常だったのではないか。


【石塚さん】
(「バックパッカーピアニスト」を自称し、年間150本ものライブをこなしているが、)毎年やってくる(ライブ)ツアーで念頭に置いているのは、「数をこなすこと」なのか、それとも・・・?

【上原さん】
やっぱり、一本一本の集中力と精度、そこにやっぱり、自分がどれだけの気持ちをもっていけて、どれだけの演奏ができるかってことが全てなので、私はやっぱり、"年間何本ある内の一本"ではなくて、毎日”This is my first and last"、(つまり)「毎日が初日で千秋楽」だっていう気持ちで臨みたいと思っているし、実際そうなんですよね。
同じ公演というのは二度と無いし、その同じお客さんに出会えることっていうのは二度と無くて。
一期一会なので。

【石塚さん】
一本一本に全開で行って、伝わって・・・

【上原さん】
そうですね。

【石塚さん】
伝わる実感の差」って、あるんですか?

【上原さん】
やっぱり、自分がその日にどこまでの演奏ができるかって、やってみないと分からないんですよね。
表現の仕方が国とか町とか場所で違うので。
同じ町でも、こういうクラブ環境で聴くのと、コンサートホールで聴くのと、野外フェスで聴くのは全然違うので。
自分たちが本当に大興奮するっていう演奏があって、そこをいつも求めていて・・・

【石塚さん】
プレイヤーたちが?

【上原さん】
そうです。
演奏してて、「あっ、何、これ?」って思うような演奏を。

【石塚さん】
どういう風な感じになるんですか、それっていうのは?

【石塚さん】
分からないんですよね。
どういう風に、どういうタイミングで出てくるのか。
ただ、自分が弾いたことが無いフレーズがどんどん出てきたり、音に連れられていくように、何か「わあー!」と弾けたりとか。
何か、何だろう、作為的でない何か、「音が指を連れて行くような」くらい自然にフレーズが生み出される時があって、で、その自分が生み出したフレーズと、自分の一緒にやっているミュージシャンのフレーズがガチッと合ったり・・・

(中略)

【石塚さん】
(そういうのって)お客さんには分かんない?

【上原さん】
分かると思います。
ミュージシャンの興奮だったり、ミュージシャン自身が楽しんでいる様子っていうのは、絶対にリスナーには伝わるので。
で、そこでまた相乗効果で、もっと出たりすることもあるし。
でも、あれは、自分たちではコントロールできない何か、何か音楽の神様みたいなモノがあって、「今日は微笑んでくれた!」みたいな。

【石塚さん】
それは、「一度起こったヤツは、また次だ!」という(意気込みに繋がる感じですか)?

【上原さん】
そうですね。
「次はいつかなー?」っていう。
来週かもしれないし。

【石塚さん】
「しばらく起こんないなー」っていうこともあるんですか?

【上原さん】
ありますよー。
「打っても叩いても響かない!」みたいな時、ありますよ
「一生懸命やってるのに!」っていう。

【石塚さん】
分かんないもんですね。
(外から)見ていると、全て、僕の中では、(ガチッと)合っているイメージなんですけど、上原さんの演奏を聴いてると。

【上原さん】
最低限の所はクリアしてるんですよ。
でも、私たち、いつもここからの伸びしろを求めているんですよ。

【石塚さん】
なるほど。
毎回?

【上原さん】
うん。
自分たちがまだ見たことが無い世界とか、聴いたことが無い音を求めていて、それが何か、「大放出!」みたいな日があるんです、時々。

「日々の眼前の一つ一つの仕事に、『毎日が初日で千秋楽』と覚悟し、一生懸命、正に「打って、叩いて」全開で臨んでも、対象顧客に与える感動のバラツキは、完全には埋まらない」。
この結果と現実は、当の上原さんには忸怩の極みに違いないが、「結果と現実はアンコントローラブル(uncontrollable)だが、『伸びしろ』はコントローラブルであり、『伸びしろ』にはシビアであり続けている」との達観、自負で相殺、帳消しなのだろう。

不肖私、上原さんにはプレイ以外からも感動を授かった。
そうなのだ。
かつて中内功さんは「売上は全てを癒す」と仰ったが、「成長は全てを瘉す」のだ。
絶えずシビアであるべきは、眼前の結果や現実より遥かに、個々の仕事の最低品質と、自分の伸びしろに対してなのだ。



★2014年5月17日放送分
http://www4.nhk.or.jp/switch-int/x/2014-05-17/31/4877/



世界的ピアニスト上原ひろみと、ジャズ漫画という新境地に挑む「岳」の漫画家石塚真一。指先に魂を込める2人の熱血トーク!目にも止まらぬ超絶技巧、人生を変える感動!

世界の巨匠たちをうならせる上原ひろみの演奏の秘密とは?音の出せない漫画でジャズを描くことに挑んでいる漫画家石塚真一が、徹夜で準備した質問メモを握りしめ、数々の伝説に彩られた天才ピアニストの実像に迫っていく。一方、20代半ばまで漫画家になるとは考えてもみなかったという石塚がデビュー作「岳」から大ヒットを飛ばし続ける理由とは?上原が石塚マンガの力に独自の視点で迫る。二人の異色セッションは意外な展開に!

【出演】ピアニスト…上原ひろみ,漫画家…石塚真一,矢野顕子,【語り】吉田羊,六角精児




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上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト
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