2014年06月17日
【邦画】「ゴジラ」(1954)
[ひと言感想]
「問題や痛みを根本的に解決、治癒するのではなく、目先の表層的な解決、慰撫で満足する」。
「『禍根の(社会)残存リスク』より『(自己)利益の獲得機会』を重視、優先する」。
「自己利益に不都合な真実を隠匿する」。
「身勝手を承知で、自己責任を他者へ転嫁する」。
これらを如実に表現している点で、本作は普遍性が高く、不朽の名作に違いありません。
不肖私、これまで「ゴジラ対ヘドラ」や「ゴジラ対メカゴジラ」など、専らVSモノばかり見、本第一作を長らく見ずに生きてきた不明に恥じ入るばかりです。
一つ感心したのは、テレビの実況スタッフが命を懸けてゴジラの動きを実況したことと、世紀の新発明を果たした芹澤博士がその成果物もろともゴジラを道連れにしたこと。
私たちも彼らの如く、終生本分に忠実で、潔癖に従順でありたいものです。
「問題や痛みを根本的に解決、治癒するのではなく、目先の表層的な解決、慰撫で満足する」。
「『禍根の(社会)残存リスク』より『(自己)利益の獲得機会』を重視、優先する」。
「自己利益に不都合な真実を隠匿する」。
「身勝手を承知で、自己責任を他者へ転嫁する」。
これらを如実に表現している点で、本作は普遍性が高く、不朽の名作に違いありません。
不肖私、これまで「ゴジラ対ヘドラ」や「ゴジラ対メカゴジラ」など、専らVSモノばかり見、本第一作を長らく見ずに生きてきた不明に恥じ入るばかりです。
一つ感心したのは、テレビの実況スタッフが命を懸けてゴジラの動きを実況したことと、世紀の新発明を果たした芹澤博士がその成果物もろともゴジラを道連れにしたこと。
私たちも彼らの如く、終生本分に忠実で、潔癖に従順でありたいものです。
【山根博士(演:志村喬さん)】
それがどうして、今回、我が国の近海に現れたか。
この点でありますが、恐らく、海底の洞窟にでも潜んでいて、彼らだけの生存を全うして、今日まで生きながらえておった。
それが、度重なる水爆実験によって、彼らの生活環境を完全に破壊された。
もっと砕いて言えば、あの水爆の被害を受けた為に、安住の地を追い出されたと見られるのであります。
(中略)
これらの物的根拠からして、ゴジラも相当量の水爆放射性因子を帯びている、と見ることができます。
【大山委員(代議士】】
委員長、委員長!
【国会委員長】
大山委員。
【大山委員】
ただ今の山根博士の報告は、誠に重大でありまして、軽々しく公表すべきでないと思います。
(後ろの代議士が一斉に拍手する)
【小沢委員(演:菅井きんさん)】
何を言うか!
重大だからこそ、公表すべきだ。
(後ろの同じ婦人代議士が「そうだ、そうだ!」と同調する)
【大山委員】
黙れ!
というのは、あのゴジラなる代物が、水爆の実験が生んだ落とし子であるなどという・・・
【小沢委員】
そうだ、その通りじゃないか!
【大山委員】
・・・そんなことをだ、そんなことを発表したら、ただでさえうるさい国際問題が、一体どうなるか・・・
【小沢委員】
事実は事実だ!
【大山委員】
・・・だからこそ、重大問題である!
軽率に公表した暁は、国民大衆を恐怖に陥れ、ひいて、政治、経済、外交まで混乱を引き起こし・・・
【小沢委員】
馬鹿者!何を言うとるか!
(立ち上がる)
【大山委員】
馬鹿とは何だ!
【小沢委員】
事実は堂々と発表しろ!
●
【ゴジラ対策本部長】
弱ったことになりましたよ、(山根)先生。
このままでは近く、外国航路も停止しなきゃならん状況です。
何かいい方法が・・・ヒントだけでも結構ですが、何か一つ・・・
【山根博士】
そうですな・・・
【次官】
山根博士、率直に申し上げます。
いかにしたらゴジラの生命を絶つことができるか、その対策を伺いたいんです。
【山根博士】
それは無理です。
水爆の洗礼を受けながらも、なおかつ生命を保っているゴジラを、何をもって抹殺しようというのですか。
そんなことよりも、先ずあの不思議な生命力を研究することこそ、第一の急務です。
【新聞社記者A】
山根博士の意見には、重大な点が含まれている。
恐れているばかりが能じゃないですよ。
大いに研究すべきですよ。
【新聞社記者B】
しかし、現実の災害はどうするんだ?
【新聞社荻原編集長】
そこなんだよ、難しい所は。
(中略)
【山根博士】
ゴジラを殺すことばかり考えていて、なぜ物理衛生学の立場から研究しようとしないんだ。
この、またと無い機会を・・・
【尾形(演:宝田明さん)】
先生、僕は反対です。
【山根博士】
尾形君、わしは気紛れに言ってるんではないよ。
あのゴジラは、世界中の学者が誰一人として見ていない。
日本だけに現れた、貴重な研究資料だ。
【尾形】
しかし、先生、だからと言って、あの凶暴な怪物を、あのまま放っておく訳にはいきません。
ゴジラこそ、我々日本人の上に今なお覆いかぶさっている水爆そのものじゃありませんか。
【山根博士】
その水爆の放射能を受けながら、なおかつ生きている生命の秘密をなぜ解こうとはしないんだ。
【尾形】
しかし・・・
【山根博士】
君までが、ゴジラを抹殺しようと言うのか。
帰り給え。
帰ってくれ給え。
●
【アナウンサー】
こちらは、MS短波無線機による実況放送班であります。
ゴジラはただ今、この放送を送っておりますテレビ塔に向かって進んで参りました。
(彼らはゴジラにライト、フラッシュを絶えず浴びせ続ける。それに反応して、ゴジラがどんどん向かって来る)
もう退避する暇もありません。
我々の命もどうなるか。
(ゴジラは)益々近づいて参りました。
いよいよ最後です。
(ゴジラは)右手を塔にかけました。
物凄い力です。
いよいよ最後。
さよなら皆さん、さようなら。
(ゴジラは塔を捻じ曲げ、彼らは悲鳴と共に落ちる)
●
【芹澤博士(演:平田昭彦さん)】
もし、これが使用できるなら、誰より先に、俺が持って出たはずだ。
だが、今のままでは、恐るべき破壊兵器に過ぎないんだよ。
分かってくれよ、な、尾形。
【尾形】
よく分かります。
だが、今ゴジラを防がなければ、これから先、一体どうなるでしょう?
【芹澤博士】
尾形、もしも一旦、このオキシジエンデストロイヤーを使ったら最後、世界の為政者たちが黙って見ているはずがないんだ。
必ず、これを武器として使用するに決まっている。
原爆対原爆、水爆対水爆、その上更に、この新しい恐怖の武器を人類の上に加えることは、科学者として、いや、一個の人間として許す訳にはいかない。
そうだろ?
【尾形】
では、目の前の不幸はどうすればいいんです?
このまま放っておくより、仕方ないんですか?
今この不幸を救えるのは、芹澤さん、あなただけです。
たとえ、ここでゴジラを倒す為に使用しても、あなたが絶対に公表しない限り、破壊兵器として使用される怖れは無いじゃありませんか。
【芹澤博士】
尾形、人間というのは弱いもんだよ。
一切の書類を焼いたとしても、俺の頭の中には残っている。
俺が死なない限り、どんなことで再び使用する立場に追い込まれないと、誰が断言できる。
ああ・・・こんなものさえ作らなきゃ・・・。
●
【芹澤博士】
(自分が発明したオキシジエンデストロイヤーが海底のゴジラを溶解し始めたのを、目の当たりに確認する。
(水上から無線で自分の所在、安否を問う尾形に返信する)。
尾形、大成功だ。
幸福に暮らせよ!
さよなら、さよなら!
(胴に巻いてある自分の救助用ロープを断ち切る)。
【ゴジラ】
(溶解が進み、断末魔の雄叫びを上げる。
完全に溶解し、骨と化す)
【アナウンサー】
この感激、この喜び。
ついに勝ちました。
ゴジラがその亡骸を海底深く没し去るのを、この目ではっきりと認めました。
若い、世紀の科学者、芹澤博士は、ついに勝ったのであります。
【尾形】
(芹澤は最期自分に)「幸福に暮らせよ」って言ってたよ。
【山根博士の娘/尾形の恋人(演:河内桃子さん)】
(泣き崩れる)
【山根博士】
あのゴジラが、最後の一匹だとは思えない。
もし、水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた、世界のどこかへ現れて来るかもしれない。