2014年05月30日
【邦画】「男はつらいよ 第12作 私の寅さん」(1973)
[ひと言感想]
人は、食べる為だけでは生きられないから感動するのか、はたまた、もっと感動したいから食べて生きるのか。
答えは不明ですが、たしかに、博の言う通り、後者、即ち、自分の生存に直接関係しない、他者には不合理な欲求の絶えなさは、人が人であることの証です。
人が不合理と一蓮托生なのは、そもそも生存の動機が不合理だからかもしれません。
人は、食べる為だけでは生きられないから感動するのか、はたまた、もっと感動したいから食べて生きるのか。
答えは不明ですが、たしかに、博の言う通り、後者、即ち、自分の生存に直接関係しない、他者には不合理な欲求の絶えなさは、人が人であることの証です。
人が不合理と一蓮托生なのは、そもそも生存の動機が不合理だからかもしれません。
【寅次郎(演:渥美清さん)】
食う食う食う食うって、食うことばっかり。
お前、少し食い過ぎだぞ。
【タコ社長(演:太宰久雄さん)】
しょうがねえよ。
俺は、食うことだけが楽しみなんだから。
【寅次郎】
あーあ、やだねー、何と言うかこの貧しい生き方。
【おいちゃん(演:松村達雄さん)】
だけどな、寅、え、早い話が人間、食う為に生きてるんだぜ。
【おばちゃん(演:三崎千恵子さん)】
そうだよ。
【寅次郎】
あーあ、何だかとても話し合えないなあ、この連中とは。
なあ、博。
【博(演:前田吟さん)】
そうですねえ。
そりゃあたしかに、食っていくってことは大変なんですよ、この世の中じゃ。
でもね、人間が生きるってことは、それだけじゃ決してない。
そうですよ、だからこそ、りつ子さん(演:岸恵子さん)みたいな人が必要なんですよ。
つまり、芸術家がね。
【寅次郎】
そうそう。
【タコ社長】
それ、どういうこと?
【博】
だから、美しい音楽を聴いたり、素晴らしい絵を見て感動する為にだって、僕たちは生きてるんじゃないですか。
【寅次郎】
そうだよ。
博、お前、良いこと言うね。
そういうことは、この本で覚えるの?
【博】
そういう訳じゃないですけどね。
とにかく、もっともっと色んなことに、人間は喜びを感じて生きてるはずですよ。
まあ例えばですねえ・・・
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
うん、ほら、おいちゃんの盆栽だって、そうだわね。
【博】
うん、そうそう。
【おばちゃん】
こうやって、みんなで楽しく話すこともね。
【博】
そうですよ。
【おいちゃん】
寅が恋をするのもそうか?
【寅次郎】
馬鹿野郎!
【博】
いや、笑いごとじゃ無いですよ。
その通りですよ。
兄さんが美しい人に恋をする、これは兄さんが人間として生きてることの証ですよ。
そうでしょ兄さん。