2014年05月09日
【邦画】「男はつらいよ 第22作 噂の寅次郎」(1978)
[ひと言感想]
たしかに、人は、独りになりたい時は同情が煩わしく、独りになりたくない時はあり難いのです。
人の身勝手や天邪鬼は、失恋や離婚など悲劇の到来時にこそ露になります。
人は生来、厄介かつ不明な生き物です。
そして、人生の無常は周知ですが、だからこそ、報われる保証のない変わらぬ愛は難しく、又、尊いのです。
人生とは無常への抗いかもしれません。
たしかに、人は、独りになりたい時は同情が煩わしく、独りになりたくない時はあり難いのです。
人の身勝手や天邪鬼は、失恋や離婚など悲劇の到来時にこそ露になります。
人は生来、厄介かつ不明な生き物です。
そして、人生の無常は周知ですが、だからこそ、報われる保証のない変わらぬ愛は難しく、又、尊いのです。
人生とは無常への抗いかもしれません。
【寅次郎(演:渥美清さん)】
そうかい。
先生でも、芸者はやっぱり、若くて美人の方がいいか、な。
【諏訪/妹の夫、博の父(演:志村喬さん)】
いや、別に。
いくら美人でも、死んじまえば骸骨だからな。
【寅次郎】
そういう考え方がいけないんだよ。
そんな風に思ったら、世の中面白くもおかしくもないじゃないの。
【諏訪】
年を取るとね、面白いことなんか無くなるんだよ。
【寅次郎】
あー、そりゃ心がけがいけねえんだよ。
こういう漢字ばっかり出ている本なんか読んでるからね、いい影響を与えないんじゃないの、こういう本っていうのは。
【諏訪】
これは面白い本なんだよ。
【寅次郎】
ほう。
【諏訪】
「今昔物語」と言ってね・・・
【寅次郎】
こんにゃくの作り方が書いてあんの。
おかしな本だね。
【諏訪】
いやあこれはね、昔の日本人の暮らしを書いた本でね、例えば、ある所に、君のように二枚目で、女にもてる男が居た。
【寅次郎】
はい。
え、二枚目だなんて言われると困っちゃう、ハハハ。
【諏訪】
ところが、この世のものとも思えぬ美人が、この男の前に現れた。
【寅次郎】
はあ、そういやね、こないだ偉そうな坊さんに会って、「女難の相がある」って言われたんだ。
他人事じゃないな、そりゃ。
そ、それで?
【諏訪】
男はたちまち恋に陥ってだな、苦心惨たんの挙句、その美女をモノにした。
【寅次郎】
結婚しちゃったんだろ。
うまくやりやがったなあ。
それで?
【諏訪】
可哀想にね、その美しい妻は一年も経たないうちに、病を得て死んでしまったんだ。
【寅次郎】
へー。
だけど、そいつ二枚目だから、半年もしないうちにまたいい女が出てきて、くっついた、くっついたろ?(笑)
【諏訪】
いや、この男はね、君のような浮気者じゃないんだ。
三月経ち、半年経つが、男はどうしても美しい妻の面影を忘れることができない。
どうにもこうにも我慢ができなくなって、ある日、妻の墓場へ行って、棺を掘り起こした。
しかし、男が見たものは、美しい妻の顔とは似ても似つかぬ、腐り果てた肉の塊だった。
男は、この世の無常を感じて、頭を丸めて仏門に入り、一生仏に仕えて暮らしたということだ。
まあ、こんな話を読んでると、僕も人の一生について、色々考えさせられたりするんだけどね。
●
【寅次郎】
確か、従兄妹だとか言ったね。
【添田(演:室田日出男さん)】
はい。
【寅次郎】
あー、じゃ(早苗さんのこと)こんな小ちゃい頃から知ってる。
【添田】
お袋たちが姉妹で、小学校の時は家が近くだったもんですからね、よく・・・
【寅次郎】
ほーそうか、へえー。
小さいからあの人、可愛かったろうなー。
【添田】
ええ。(笑)
【寅次郎】
おい、お前ガキの頃惚れてたろ。
図星だろ。(笑)
【さくら(演:倍賞千恵子さん)】
お兄ちゃん、失礼よ、そんな。
【添田】
僕、帰ります。
【さくら】
あら、せっかく見えたのに・・・
【添田】
いや、用件だけ伝えてもらえれば。
それも大したことじゃないんです。
【寅次郎】
ああいいよ。
聞いてやるよ。
【添田】
これ(※封筒)、早苗ちゃん(演:大原麗子さん)に渡してください。
【寅次郎】
(封筒を受け取る)
【添田】
「何かあった時に使ってくれ」って・・・そういえば分かります。
それから、実は僕、故郷に就職口が見つかりましてね。
故郷ってのは小樽ですが。
そっちへ転勤することになりました。
「しばらく会えないかもしれないけれども、元気でいるように」って伝えてください。
じゃあ、失礼します。
(とらやの軒を出ようとする)
【さくら】
あ、あの、もう少し、お待ちになってみて・・・
【添田】
(振り返って、もう一度寅次郎の面前に来る)
あのー・・・
【寅次郎】
何だい?
【添田】
どうか車さん、早苗ちゃんを大事にしてやってくださいね。
お願いします。
【寅次郎】
あんた、惚れてるんだ、今でも。