【邦画】「明日の記憶」(2006)【邦画】「北のカナリアたち」(2012)

2013年12月26日

【NHK】〔プロフェッショナル仕事の流儀 特別編「イチロースペシャル2012」〕イチローさん

【ナレーション】
イチローは今年、39才にしてかつてない激動のシーズンを送った。
年齢の壁に、イチローはどこまで抗い続けるのか。
何が挑戦の場へと駆り立てるのだろうか。

【イチローさん】
胸を張ってこれまでやってきた時間で得たものを胸を張って言えないです、まだ。
「これだ!」っていうものを表現することができない
ですよね。

僕が想像しているのは、きっと、人としての成熟期はもうちょっと先にあって、もっともっと先にあって、その時に選手で居たい、っていうのが夢ですよね、目標というよりも。
大体は体が元気な時にプレイヤーとして、選手としていられて、それが終わった時に何かを知る、っていうパターンが多いと思うんですよね。
でも、それはちょっと寂しいなと思っていて、選手である時にそれをしっかりとつかみたい。
そのことをここ何年か思うようになった
、ということですね。

【番組スタッフ】
どういう風になったら、最後にイチローさんは、それをつかんだ、それを知った、、そして、もうこれで野球をやめる、っていう風に、今は想像していますか?

【イチローさん】
全く分からないです。
全く分からない。
だから、こういう思い、そういう覚悟も持てるんでしょうね。
はっきりと、こうなんだろう、こうである、ということが想像できたら、ありったけは捧げられないかもしれないですね。

【番組スタッフ】
全く分からないから、ありったけでいられる、っていうことですか?

【イチローさん】
そう思います。

(中略)

【ナレーション】
最後にイチローにこう尋ねた。
これからイチローは、どこに向かうのか?

【イチローさん】
まあ、こういう表現をして的確かどうか分からないですけども野球選手としての死が着実に近づいていく時間になっていく、それをどれ位元気な状態で居られるのかっていうっていうものと戦っていくことになると思うんですけど〔・・・〕まあ笑ってそれを迎えたいな、そんな思いですかね、そんな時間にしたいな、という風に思いますね。

【番組スタッフ】
笑って迎えたい・・・

【イチローさん】
うん。
笑って死にたいかな、と。

勝手かつ不遜だが、私はイチローさんに似ていると自負している。(笑)
イチローさんも多分に、計画した10のタスクの内、9ができたとしても、できた9を喜べない。
できなかった1がどうにも不甲斐なく、さらに、そんな不甲斐ない自分が赦せない。
そして、成長し、好業績を創出しても、そんな自分が褒められない。
依然未成長で、失敗を招く元凶足る能力と資質を、つい責めてしまう。
また、目標を高く設定すると共に、その為の心身の労苦を当然視する余り、つい無いモノねだりをしてしまう。
より高い目標を掲げることと、より大きな負荷を与えることと、無いモノねだりをすることは話は別であり、また、頭でもそう分かっているが、つい見境を失ってしまう。

然るに、イチローさんの吐露とその苦しい心中は、よく分かる。
イチローさんはこれまで好業績を次々更新し、その都度それを「通過点に過ぎない(≒『自分がこれまで創り上げたアイデンティティ、及び、その結実だ!』と言い切る程のモノではない)」旨コメントしてきたが、それは本心だろう。
また、物事に直接対峙している渦中では客観、俯瞰、内省に限りがあるからして、物事の真理を洞察し、人的成長を果たすにはラグが生じざるを得ないが、そう頭では分かっていても、つい焦ってしまうのだろう。

私自身にも思い切り当てはまるが、結局、イチローさんが今果たすべきは、自分をもっと赦すことだ。
そして、メジャーでプレーできることをもっと楽しみ、今プレーできる幸運にもっと感謝することだ。

イチローさんには、是非帰国の折、羽生善治さんに遭って欲しい。
羽生さんも、かつてはやはり合理的かつストイックに思考する余り、専ら対局より勝負に拘泥したが、今は昔、40才を過ぎるも最強棋士として通算タイトル獲得数を更新中だ。
聡明なイチローさんのこと、羽生さんから自分を赦すヒントを得、新境地の開拓を果たすに違いない。

番組の最後、イチローさんは、「選手生命の最期を笑って迎えたい」旨仰った。
私は、似た者同士として(笑)、また、一心酔者として、イチローさんが自分を赦せること、そして、将来笑ってバットを置くこと、を願って止まない。



★2012年12月29日放送分
http://www.nhk.or.jp/professional/2012/1229/

kimio_memo at 07:25│Comments(0)TrackBack(0) テレビ 

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