2013年05月11日
【観戦記】「第71期名人戦七番勝負〔第2局の7▲森内俊之名人△羽生善治王位挑戦者〕森内、位を取る」上地隆蔵さん
解説の飯島(栄治)七段に、両対局者の話を聞いた。
「森内(俊之)名人は、本当に精神力が強い。不調時の戦い方が勉強になる。負けが込んでいる時は、普通のことができない。私は空回りする。でも名人は慌てても仕方がないという感じで、やるべきことを実行する。そういう強さを学びたい」
不調とは、「事前にやると決めたプロセスはしているが、結果が出ていない」状態のことを言う。
勿論、「事前にやると決めたプロセス」は「やるべきこと」であり、森内俊之名人の不調時の戦い方は、飯島栄治七段と同様、不肖の私も大いにまねばねばいけない。
本文を読んで改めて気づかされるのは、「持続的な強さは、泰然自若の維持に大きく依存する」ということだ。
イチローが必ず、試合前、誰よりも早く球場入りして、練習とストレッチを十二分に行なうのも、そして、試合後、ロッカールームで一人、グラブを丹念に磨きながら、試合とプレイを振り返るのも、「やるべきこと」をやると同時に、泰然自若を切らさないことが主旨に違いない。
「目先の結果に一喜一憂せず、また、安直に易きに流れない」。
心身のぶれの不断の自制こそ、持続的な強さを得る大原則だ。
★2013年5月11日付毎日新聞朝刊将棋欄
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