2013年05月01日
【NHK教育】「先人たちの底力/知恵泉(ちえいず)新規プロジェクト必勝法/第3回杉田玄白」佐渡島庸平さん
【ナレーション】
翻訳開始から一年半余り、その頃には(「解体新書」の)大筋の翻訳は完成していました。
しかし、(杉田)玄白には心配事がありました。
それは、世の中の反応です。
西洋医学に馴染みが薄い人たちには、「解体新書」が受け入れられない可能性が高かったのです。
そこで、玄白は一計を案じます。
「解体新書」を出版する前に、あるものを作りました。
それが「解体約図」です。
これは、五枚一セットで出された、簡略な人体図です。
「解体新書」と違い、説明は最小限に抑え、体の全体像が一目で分かる様な表現に徹しています。
(中略)
玄白が狙ったのは、「チラ見せ」効果。
チラシを出すことで世の中の反応を事前リサーチすると同時に、人々に「解体新書」への興味心を抱かせようとしたのです。
【佐渡島庸平さん(※ゲスト)】
僕、仕事している中で、尊敬しているクリエイターから言われた言葉で凄い印象に残っているのがあって、僕は一生懸命面白いモノを作ろうとしてた訳ですよ。
そうしたら、「面白いモノを作るのは当たり前だ。そのあと、『面白そうなモノ』を作る所が一番大変で、そこに時間を割け」って言われたんですよ。
杉田玄白さんのやられたことって、世間の人が「面白そう!」って思っちゃうモノを作った訳じゃないですか。
それが凄いですね。
「『面白いモノ』より『面白そうなモノ』を創ることこそ、肝心かつ要注力だ」。
たしかに、佐渡島庸平さんが、尊敬するクリエイターから授かったこの言葉、思考は尤もだ。
この思考の本質は、「面白いモノ」を「良いモノ」に、「面白そうなモノ」を「良さそうなモノ」に各々換言すると、理解が進む。
例えば、今、ハイブリッド車がよく売れているのは、「環境に良い車」だからではなく、「環境に良さそうな車」だからだ。
かのトヨタが量産化を果たし、抜群の販売実績を収めていること、また、かのレオナルド・ディカプリオも乗っている(と報道されている)ことが、対象顧客に「環境に良さそうな車」と認知させ、強い購入動機を与えている。
私は、この思考から以下の三事項を再認識した。
一つ目は、「面白そう」や「良さそう」の本質は、非低次の潜在ニーズや希望が叶う予感である、ということだ。
テレビタレントが絶えず入れ替わるのは、彼らが軽薄で、忽ち視聴者に見限られてしまうからだ。
二つ目は、「面白そう」や「良さそう」の視座は、作り手や売り手のそれではなく、対象顧客のそれでなくてはいけない、ということだ。
楽屋でバカウケする芸人が売れないなのは、一般客の目には「面白そうな芸人」に映らないからだ。
三つ目は、家の中も外もモノ余りの今、対象顧客に売るべきは、モノの前にネタ、即ち、成果物の前に企画である、ということだ。
AKB48がかくも売れたのは、秋元康さんが、AKB48という企画の前に、AKB48のCDやライブチケットを売り急がなかったからだ。
★2013年4月16日放送分
http://www4.nhk.or.jp/chieizu/x/2013-04-16/31/21533/