【邦画】「監督・ばんざい!」(2007)【邦画】「楢山節考」(1958)

2012年10月24日

【講演】「イノベーションのジレンマとは何か?」玉田俊平太さん(関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授)

【私/堀】
企業が「イノベーションのジレンマ」を回避するには、何が一番大事、有効と考えるか。

【玉井さん】
(「イノベーションのジレンマ」の筆者のクレイトン・)クリステンセンは、組織を小さくすることを提唱している。
たとえば、大企業なら、子会社を作る。

【私】
それは、その方がオペレーション的にも、権限的にも小回りが利き、トライアンドエラーや意思決定がし易くなる、迅速になる、からか。

【玉井さん】
そうだ。
そして、破壊的イノベーションを希求するなら、その組織は、失敗しても親会社や本体(主要事業)に致命傷を与えない、少ないヒト、モノ、カネで構成するといい。
組織は、大きくなればなるほど、「慣性」が大きくなる。
だから、大企業は、たとえマーケットや顧客ニーズの変容が正確に把握できても、すぐには旧来商品の高質化(持続的イノベーション)を止められない。
「イノベーションのジレンマ」は、大企業が合理的な経営を行なったてん末だ。

【私】
小さくなった組織が「イノベーションのジレンマ」に陥らないようにするには、何が一番大事、有効と考えるか。

【玉井さん】
経営者が、破壊的イノベーション足らん商品に早期黒字化を強く求める、現場にプレッシャーを与える、ことだ。

【私】
それは、例えば、電機業界だとパナソニックのように(笑)、いずれの業界にも「真似」や「後発」が得意で資本力に富むリーダー企業が存在し、そうした企業に真似される、追いつかれる、潰される前に一日も早く、商品としてモノにさせる、「先行逃げ切り」を目指す、ということか。

【玉井さん】
そうだ。

【私】
では企業が、他企業の破壊的イノベーションに備える(=他企業に破壊的イノベーションを先行実現されても、マーケットで生き残れるようにする)には、何が一番大事、有効と考えるか。

【玉井さん】
クリステンセンは、下級カテゴリーの商品開発を止めないことを提唱している。
いかに商品の高質化を不断に追求し、上級カテゴリーを志向しようとも、下級カテゴリーの商品開発を疎かにしない、下級カテゴリー商品を持ち続ける、ということだ。
だから、インテルは、クリステンセンのコンサルティングに従い、Celeron(セレロン)をリリースし続けている。

【私】
それは、自動車だと、スズキは絶対に軽自動車の製造から撤退すべきでない、ということと同義か。
軽自動車は、製造上上級車種とは異次元の高いノウハウが必要で、競合企業に真似され難く、他企業が破壊的イノベーションを果たしても、マーケットの残存確率が高いから。

【玉井さん】
そうだ。
トヨタがダイハツを傘下に収め、軽自動車のカテゴリーもグループとしてラインナップに含めたのは、この点を睨んでいると言える。

※上記内容は質疑応答の意訳(私の理解)

「イノベーションのジレンマ」を思う時、想起するのは「自己目的化の愚」だ。
私はかつて自動車メーカーに在籍したが、日本の自動車メーカーはいずれも「自己目的化の愚」をおかし、「高性能の新型車を作ること」、即ち、本項で言えば「持続的イノベーション」を果たすことそのものが事業の目的になってしまっていると、当時も今も感じている。
自動車に限らず、メーカーが、不断の性能向上とモデルチェンジに明け暮れているのは、詰る所、「お客が欲しいのは、ドリルではなく穴だ」と思い知っていないからだ。
顧客が、高性能の新モデルだけをひっきりなしに売り込まれた挙句、”その”マーケットから次々離脱し、自分の求める「穴」が授かれるマーケットへ移ろうのは、自然かつ当然だ。
現在の縮小した国内自動車マーケットは、「自己目的化の愚」のてん末に相応しい。

「他企業の破壊的イノベーションに備えるには、下級カテゴリーの商品開発を止めないこと」。
玉田俊平太教授の回答の内、本事項はとりわけ考えさせられた。
たしかに、下級カテゴリーは、”その”商品の原点価値を最も費用対効果良く達成して然るべき商品であり、破壊的イノベーションにも被弾し難い。
要するに、企業が生き残るには、いかに規模が大きくなろうと、否、規模が大きくなればなるほど、絶えず”Back to the Basic(原点回帰)”すべきなのだろう。
経営者は、自社商品の下級カテゴリーが無闇に身の丈を超えないよう、そして、社員が原点を忘れないよう、絶えず注意しなければいけない。



★2012年10月20日東京工業大学大学院キャンパス・イノベーションセンターにて催行
http://www.motjapan.org/sympo/index.html
http://www.motjapan.org/sympo/no8/MOTbrochure1001.pdf



イノベーションのジレンマ 増補改訂版 Harvard business school press
著者;クレイトン・クリステンセン
監修:玉田俊平太(※本講演者) 
翔泳社
2012-09-01




kimio_memo at 07:14│Comments(0) 講演/セミナー 

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