2012年10月17日
【観戦記】「第71期名人戦A級順位戦〔第15局の6▲郷田真隆棋王△深浦康市九段〕郷田、初白星」加藤昌彦さん
勝った郷田(真隆棋王)は2連敗から初日が出た。
1勝2敗である。
自陣に銀を手放して、一度は負けたと思った勝負だけに、勝ち切れたのは大きい。
(中略)
感想戦は、序盤からたっぷり2時間ほど行われた。
さらに深浦(康市九段)が帰った後、郷田は、控室の検討に加わっていた金井恒太五段と、別室で再び検討を始めた。
どこまで進んでも、難解な変化が山ほどあった。
帰るときには朝になっていた。
たとえば、世の営業マンの中で、受注を獲得した日の夜、祝杯をあげるより先に、受注プロセスの検証に勤しむ営業マンがどれだけ居るだろう。
「勝って兜の緒を締めよ」という言葉があるが、それを高次かつ地で行ける所に、不肖の私は棋士に敬愛と憧憬を禁じ得ない。
眼前の成果に一喜一憂せず、課題と真理のみ追及できる人に、私も成りたい。
★2012年10月17日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/feature/shougi/