2012年10月07日
【BSTBS】「SONG TO SOUL 永遠の一曲」Jump”Van Halen”
【ナレーション】
(ロスアンゼルス北東の町)パサデナでバンド活動をしていヴァン・ヘイレン兄弟。
そこに、他のバンドでベースを弾いていたマイケル・アンソニー、そして、PAシステムを借りることで親しくなったデイヴィッド・リー・ロスが加入したのだ。
パサデナで人気が出た彼らは、ロスアンゼルスの音楽の中心でもあったハリウッドへ本格的に進出。
(ウィスキー・ア・ゴーゴーなどの)名門ライブハウスなどで演奏するようになった。
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
俺たちは、何年も、毎晩五時間、クラブであらゆる曲をライブ演奏してきた。
色んな曲が俺たちの中に染み込み、好みにも影響を与えた。
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
クラブで毎晩演奏していたあの数年間が、俺たちの音楽人生のベースになっているのかもしれない。
色んな曲を演ったよなぁ。
クール&ギャングのナンバーから「スモーク・オン・ザ・ウォーター」まで、何でも演奏した。
レッド・ツェッペリンからオハイヨ・プレイヤーズまでカヴァーしたあの時代が、俺たちにとって「大学」時代だった。
【ナレーション】
1977年の秋、ウェストハリウッドにあったクラブ、スターウッドでライブを行なっていた彼らに大きなチャンスが訪れた。
伝説的なプロデューサー、デッド・テンプルマンが、レコード会社の社長と共に演奏を観に来たのだ。
【デッド・テンプルマンさん】
ヴァン・ヘイレンが演奏していた。
5人くらいしか観客がいないのに、コロシアムで演奏しているような迫力だった。
すごいエネルギーでデイブは飛び跳ね、そして、エディの演奏は僕を虜にした。
まるで、女性に恋でもしたような感覚だった。
人生で最高のミュージシャンに出会った衝撃的な瞬間だった。
僕はモー(※ワーナー・ブラザース社長)に、すぐ彼らと契約すべきだと言った。
彼のようなギタリストは見たことがなかった。
ハンマリング・オンなどの技を演ってた。
それまで、ハンマリング・オンという技を直接見たことはなかった。
だから、エディの演奏に釘付けになった。
その上、ポップで今までに無い音楽だった。
技術的にもそうだし、彼のサウンド全てに新鮮な響きがあった。
(中略)
【デッド・テンプルマンさん】
ヴァン・ヘイレンと契約をしたのは、エディの才能があったからだ。
他の人はあまり目に入らなかった。
プロデュースする時、僕は自分を「光を当てる人物」と考える。
その人をよく見せようとするのだ。
エディのプレイを世の人に見せたい。
理由はそれだけだった。
しかし、彼らを知るうちに、まとまりのあるグループだと分かった。
彼らには熱意もあった。
契約の切っ掛けはエディだったが、次第にバンドとして完成されていると分かった。
【ナレーション】
テッドたちが演奏を観に来たその日に、彼らはワーナー・ブラザースと契約。
チャンスを掴んだヴァン・ヘイレンは、すぐにデモを制作。
続いて、アルバムのレコーディングに入った。
レコーディングはサンセットサウンドスタジオで行なわれた。
デッド・テンプルマンによるプロデュース、そして、ドン・ランディのエンジニアリングにより順調に進み、1978年にファーストアルバム(「炎の導火線/Van Halen」)をリリース。
いきなり150万枚を売る大ヒットとなった。
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
俺たちは、最初からハイブリッド・サウンドのバンドだった。
それまでカヴァーしてきたいろんな曲の影響の結果だ。
簡単にジャンル分けされるバンドのサウンドは平面的だ。
常に同じリズムで、出だしを聴けば終わりが想像できるから、一発屋で終わってしまう。
人間だって、「善人」「悪人」とは簡単に分けられないだろ?
ヒットラーだって小犬を飼っていたんだぜ!
人間は矛盾する要素を持っているし、ヴァン・ヘイレンには最初からそれがあった。
(中略)
【デッド・テンプルマンさん】
商業的な成功は全く考えていなかった。
僕は、エディの才能とバンドを愛していただけだ。
AMラジオのトップ40と呼ばれる土壌に、彼らは合わないと思っていた。
「ユー・リアリー・ガット・ミー」はラジオで聴くのにいい曲だったが、ちょっと危険な感じがしたので、ヒットしたのには驚きだった。
彼らは、自分たちの価値をそこで証明したのさ。
(中略)
【エドワード・ヴァン・ヘイレンさん】
セカンドアルバム(「伝説の爆撃機/Van Halen2」)の批評には頭を抱えたよ。
「デビューアルバム(「炎の導火線/Van Halen」)とは全く違う」と怒っているんだ。
同じサウンドだったら、きっと「デビューアルバムと全く同じだ」と書かれただろう。
そんなことだから、昔のサウンドを焼き直し続けるしかなくなるんだ。
しかし、俺たちは、常に新しいことに挑戦し続けた。
自分の中から出てくるメロディで意図的に作り上げた曲は無い。
サウンド路線を意図的に変えたわけでも、コピーしたわけでもない。
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
俺はワンパターン男だけど!
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
「脅威の」ね!(大爆笑)
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
ワンパターンだけど芸域は広い。
どんな曲も同じに聴こえる。
【エドワード・ヴァン・ヘイレンさん】
だから、ヴァン・ヘイレンの曲は全てヴァン・ヘイレンだって分かるのさ!
(中略)
【エドワード・ヴァン・ヘイレンさん】
「ジャンプ/Jump」のあの(キーボードの)オープニング・リフがどこからきたのかなんて分からない。
あの頃はキーボードをよく弾いていて、幼い頃からピアノを叩き込まれていたお陰で、どこかからキーボードのリフが俺を通して「出てきた」だけだ。
その源は?
経験の積み重ねさ!
イジメや失恋、マズいホットドッグ等の色んな経験が、俺という「フィルター」を通して出てきたんだ。
人間は様々な経験を溜め込む「スポンジ」みたいなもので、それを絞ると、あの時は「ジャンプ」のメロディが生まれた。
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
アルバムに入っている「ジャンプ」は、俺の記憶は頼りにならないが、一発目か二回目の演奏だ。
それなのにエディは、100回以上演奏を繰り返した。
一発で完璧に出来たことを証明する為に、無駄なことを繰り返した。
このことからも、創造の過程はどんなものかが分かる。
無意識で作ったものに、後から意味付けをしようとするんだ。
全ての曲が神秘的に生まれるわけじゃない。
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
多くの者が、一発で決められたことに「罪悪感」を持ち、イジり過ぎて自滅する。
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
ご明察!
正にその通りだ。
(中略)
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
「ジャンプ」の歌詞には、俺を最も輝かせ、同時に苦痛を与えた「言葉」が入っている。
Might as well jump !(とりあえず飛んでみるか!)
週末になると「とりあえず」、ジャンプ抜きで「とりあえずって、色んな無茶をしてきた。
結婚を繰り返し、子どもが生まれ・・・
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
俺の人生そのものだ!(大爆笑)
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
状況で色々変わるけれど、前に進むという意志表示は変わらない。
何日も思い悩まず、チェスみたいに何手も先を読まず、とにかく前進を続ける。
そんな時に使うのが「とりあえず」だ。
「とりあえず」大きな挑戦して大失敗に終わることもあるが、人生を精一杯生きたという記憶は残る。
(中略)
【デイヴィッド・リー・ロスさん】
ヴァン・ヘイレンは雑多な要素の「寄せ集め」である点では、米国空軍並みだ。
聞いたこともない要素も混ざった「寄せ集め」さ!
でも、俺たちは「流行」に全く関係ないところで活動をしてきた。
【アレックス・ヴァン・ヘイレンさん】
一つの形に固執しなかったことで、常に新しいことに挑戦できた。
今でも曲作りでは全員が衝突するが、それが健全なんだ。
全員が同じ考えなら、仲間でやる必要がない。
【エドワード・ヴァン・ヘイレンさん】
同じ意見なら、バンドをやる必要はない!
成功者は、悉く哲学者だ。
彼らは、絶えず徹底的に世を問い、自らを問う。
そして、ある時、その途中成果が予想外に権威や大衆から肯定評価される。
成功とは、果てしない哲学の道に潜む奇跡だ。
ヴァン・ヘイレンは紛れも無く音楽の成功者だが、メンバーはやはり哲学者に違いない。
ボーカルのデイヴィッド・リー・ロスさん、ドラムのアレックス・ヴァン・ヘイレンさん、ギターのエドワード・ヴァン・ヘイレンさんのお三方の発言は甚だ含蓄に富み、彼らが哲学の道の熱心な往来者であり続けてきたことを十二分に証明する。
不肖の私は、彼らをもっと感覚的な人間だと思っていたが、誤解だった。
彼らの発言の内、とりわけ含蓄を感じたのは、以下の二つだ。
一つは、デイヴィッド・リー・ロスさんの「ヴァン・ヘイレンは、多様なルーツからハイブリッドサウンドを志向したが為に、一発屋で終わらずに済んだ」という発言だ。
たしかに、優れた映画も、ストーリーがシンプルな一方、解釈は多様にでき、観る者に長く深い感動と思考の余韻を与える。
人間は、生まれつき矛盾の生き物だ。
音楽であれ、映画であれ、人に感動を与えるべきモノは、そんな人間の本性を損ねてはいけないに違いない。
もう一つは、エドワード・ヴァン・ヘイレンさんの「大ヒット曲『ジャンプ』のオープニング・リフの源泉は、過去の人生経験、それも、肯定、否定入り混じった全人生経験だ」という発言だ。
たしかに、山本恭司さんも「いいギターを弾くには、『いい生き方』をすべし」と仰っており、決断が創造した経験は、肯定、否定の別なく、説得力に富む自己表現に成り得る。
自己表現の源泉は自分以外有り得ない。
決断を躊躇すべき人生が有り得ないように、無駄な、創造を端折るべき経験も有り得ないに違いない。
★2012年8月7日放送分
http://w3.bs-tbs.co.jp/songtosoul/onair/onair_66.html
kimio_memo at 06:23│Comments(0)│
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