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2014年06月10日

【野球】「野球の本当のこと、ぜんぶ話そう!」工藤公康さん

P15
野球におけるメカニックとは何か?

メカニックをひと言で表現すれば「人間が体を動かすための法則(あるいは装置)」となるでしょうか。さらに簡潔に説明するとなれば、機械式時計の構造を想像していただけると分かりやすいかと思います。

ムーブメントと呼ばれる時計を動かす装置には、小さなものから大きなものまで様々なネジが組み込まれています。それら一つひとつが円滑に回らなければ秒針が狂います。秒針が狂えば分針も狂う。分針が狂えば時針も狂う。つまり、その時計は正確に時を刻むことはなくなってしまいます。

野球選手(人間)も同じように、様々な骨や筋肉、関節が動いて、様々な動作をします。それら身体のパーツの一つひとつのつながりをメカニックと呼びます。小さなメカニックが組み合わさって、全体の大きなメカニックになり、身体が一連の動作をするわけです。

そして、その一つの小さなメカニックに狂いが生じてしまえば、歯車のひとつが回らなくなって時計が狂ってしまうように、最終的には故障に結びつき、思うようにボールを投げられなくなり、バットを振ることだってできなくなります。


P43
「コントロールが悪いから」とフォームを改造してはいけない

プロ野球の世界にも制球力に悩んでいる投手は数多くいます。そのため、フォームをそれまでのオーバースローからサイドスローに変更するケースも珍しくありません。しかし実際は、コントロールが悪いのは、投球をする際の動きが正確にできていないからなのです。現時点での体の使い方、メカニックがその投手に合っていないのであればフォームを変えるのは構いません。しかし、「コントロールが悪いから」という理由だけでフォームを変えても、はっきり申し上げて意味がありません

野球界には、なぜか「サイドスローにするとコントロールが良くなる」という認識が少なからずまとわりついています。

確かに成功した投手はいます。その代表格は、巨人の投手コーチを務めていた齋藤雅樹君です。彼は、入団1年目にオーバースローからサイドスローに転向し、2度の20勝を含め通算180勝を記録しました。ですが、齋藤君以外にすぐに思い浮かぶ選手はいますか?野球に詳しい専門家以外、そうそう名前は出てこないでしょう。投球フォームを極端に変えて成功する例は、100人や1000人にひとりくらい。それだけの冒険なのです。

サイドスローに転向したい、という気持ちは分かります。事実、横投げというのは最も楽に投げられるフォームですから、選手はすぐに順応できたような錯覚に陥ってしまうのです。でも実際は、腕の位置が横になるとどうしても体との距離が離れてしまうのでボールが抜けてしまったり、コントロールがさらに悪くなったりという現象を招いてしまう恐れがある。極端に言ってしまえば、ダーツをサイドスローで投げているのと同じ。それで的の中心を狙える人などいません。

(中略)

正直、プロも含め野球界全体でも、「オーバースローでダメなら」といった消去法の捉え方でサイドスローへの転向を促している風潮がありますが、それだけはしないほうがいい。制球力がない理由は他にもたくさんあるはず。まずは、そこを冷静に見極めてからでも、投球フォームの変更は遅くありません


P45
周りがダメといっても本人にはベストなメカニックもある

メカニックとは100人いれば100通りある、ということはこの章で様々な観点から説明してきました。繰り返すようですが、「上半身のメカニックが良くなったから制球力が高まった、ストレートが速くなった」ということは一概には言い切れません。逆に言えば、下半身の体の使い方が悪くてもリリースポイントが安定している場合もありますし、筋出力が高いから速いボールを投げられることもあります。

(中略)

繰り返すようですが、メカニックには人それぞれの答えがあります

自動車でいえば、車体が軽い(体が小さい)のに大きなエンジン(筋肉)をつけても出せるスピード(球速)には限界がある。そこには車体の重さ(身長や体重)がなければならない。ならば、サスペンション(関節やインナーマッスル)を強化すればいいのか?メカニックというのは、体の様々な部分の動作が組み合わさって成り立つもの。だからといって、それが100点満点の答えなのかといったら本人にも分からない。それだけメカニックは解明できない部分がたくさんある。だからこそ理解するのは難しいですが、それを懸命に学び、実践していく。そうすれば、いつか必ず、自分にとっての答えを導き出せるはずです。


P109
全てにおいて「正しいフォーム」というのは存在しない

プロ野球選手とはどういうものか?それは、「自分が何をしなければならないのか」、「どうありたいのか」ということを知り、そのために厳しい練習に耐えなければならない存在です。

それと同時に、自分の特性というものをいち早く理解し、形にしていかなければならないのです。

投球フォームでいえば、自分にとって理想の可動域や体の使い方を固めることができたからそれでいいのか?といったら一概にそうとは言い切れません。そこから、他人が認めてくれるようにパフォーマンスが求められるわけです。

(中略)

はっきり言って、「ここが良ければメカニックがいい」という判断基準はありませんし、「10年かけて作っていけば完成する」というものでもない。僕自身、プロ1年目のときはメカニックのことを全く分かりませんでしたし、30、40歳になっても、「完璧だ。もう修正するところはない」と感じたことすらありません。

それは、人間の体は変わるからです。

スポーツの世界は、職人の世界にたとえられるように20代は隅々にまで目を配れたが技術と知識が足りなかった。40代になったらそれらは身についたが、今度は体力が落ち、視力も低下していったことで細部にまで目を配るとものすごく疲労がたまるようになった。そこでまた自分を見つめ直し、効果的にかつ正確に仕事をするために思案する。物事に、完璧な答えはないと思います。

私は経営コンサルタントという仕事柄、経営者に他社の成功事例、所謂「ベストプラクティス」を訊かれる(求められる)ことが多いが、ある時から即応するのをやめた。
主因は二つある。
一つは「最適解と即断、誤解させる怖れがあるから」で、もう一つは「思考停止(を助長)させる怖れがあるから」だ。

たしかに、私の例示するベストプラクティスがその会社のベストプラクティスに成る可能性はゼロではなく、経営者の求めに即応しない経営コンサルタントの私は「経営コンサルタント失格」と言えなくもない。
しかし、ビジネスは情報、知識だけで勝てるほど、簡単ではない。
仮に、その会社が今同じ問題(=経営課題)に対峙しているとしても、その会社の外部環境と内部環境がベストプラクティスの会社のそれと同じであるはずはなく、他社のベストプラクティスがそのまま自社のベストプラクティスになることは基本あり得ない。
これは、ビジネスではないが、流行りのあるダイエット法がメタボのあらゆる老若男女を救わないことと同じだ。(笑)

また、厄介なことに、経営コンサルタントにかくなる単純な問い(求め)を躊躇しない経営者の多くは、自社の現状を構造的かつ正確に把握していないばかりか、そもそも自分の頭でモノを考える習性が乏しく、私の即応が彼らのドンブリ経営と思考停止を助長する可能性が高い。
経営コンサルタントの私の本分は彼らに既存のベストプラクティスを情報(知識)提供することではなく、彼らに自社のベストプラクティスを作る知恵を伝授することだ

「ベストプラクティスは、探すモノ、訊くモノ、知るモノ、見つけるモノ、真似するモノではなく、変わりゆく己の資質と構造(→工藤さん曰く 『メカニック』)を原理原則と照らし合わせて把握、解明しながら、試行錯誤を絶やさず作り込むモノである」。
私は、著者の工藤公康さんが29年もの間現役であり続けられた理由を改めて思い知ると共に、こう達観した。
やはり、「創造と継続は本質的には変わらない」し、「バッティングは動く」のだ。







kimio_memo at 07:18│Comments(0) 書籍 

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