【映画】「「お葬式」日記」伊丹十三さん【マラソン】「君ならできる」小出義雄さん

2012年07月30日

【評伝】「瀬島龍三と宅見勝「てんのうはん」の守り人」瀬島龍三さん

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もう一人、瀬島龍三の配下にいた尾山太郎(当時、時事通信社解説委員)が文藝春秋(一九八五年四月号)に「国鉄労使”国賊”論」を発表し、「われわれは最早、財政面だけでなく、精神衛生の面からも国鉄の現状に耐えられなくなってきた。この辺が極道・国鉄の年貢の納め時というものだろう」と結んだ。

同じ月刊「現代」(一九八五年四月号)では、加藤寛が論説「国体解体すべし」を発表し、「国鉄を分割したあとでは、スト権を与えたにしても、全国ストはできないのだから影響力はほとんどない」と瀬島龍三の代弁してみせた。

瀬島龍三はすべてを見通していた尾山太郎との対談(「現代」一九八一年十一月号)の中で「改革が実行段階に行く場合に一番大事なのは、マスメディアの動き、国民世論、国内の流れ、空気である」と瀬島は語っている。世論操作が見事になされ、国鉄解体に反対する声すら、テレビ、新聞から故意に消されていった。

「デキる人」とは、野球で例えれば三割バッターだ。
彼らは、バッティングの本質を正確に洞察し、それに適う独自のバッティングフォームを会得、更新している。
だから、彼らは、好不調の波や苦手投手&チームが少なく、シーズンを通じヒットが絶えない。

瀬島龍三さんの人物評は正に賛否両論だが、瀬島さんが三割バッターであられたのは間違いない。
社会改革の要件を「社会情勢に即した、マスメディアと二人三脚での世論&空気形成」と断じておられたのは、その証左として十分だ。
瀬島さんは、社会改革の本質を「国民の洗脳」と洞察なさっていたに違いない。

なぜ、瀬島さんは、三割バッターに成り得たのか。
一番の理由は天賦の才なのだろうが、かつて大本営作戦参謀として、敬愛する昭和天皇の名の下に、また、昭和天皇の名を汚すまいとして、作戦の立案と実行の責を全うしたご経験が、同等ないし同等以上の理由に成り得るのではないか。
瀬島さんは、伊藤忠商事で業務本部長を務めた時分、部下に以下三事項の遵守を命じ、「『問題の本質と解決の要件』の自問自答の徹底」を義務付けておられたようだが、それは、かつて自分が作戦参謀時分に取った杵柄であり、また、それこそが三割バッターへの最短路と信じて疑わなかったからではないか。

<1>報告書は必ず紙一枚にまとめる。
<2>結論を先に示す。
<3>要点は三点にまとめる。








kimio_memo at 07:17│Comments(0) 書籍 

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