2012年05月31日
【観戦記】「第70期名人戦七番勝負〔第3局の12▲森内俊之名人△羽生善治王位挑戦者〕羽生の勝負術」甘竹潤ニさん
午後6時半、対局再開と同時に記者は対局室にこもった。
控室の「羽生、投了近し」を聞いて、終局場面を見逃すまいと思ったからである。
ところが本局はここから終局まで3時間以上を費やすことになる。
「驚異的な粘りという一言ではとても片づけられません。勝ち目の薄い将棋をどれだけ追い上げられるのか。そこにトップ棋士にしかわからない強さの定義がある。羽生(善治)さんの恐ろしいまでの迫力を垣間見た思いがしました」
島(朗)九段が絶賛した羽生の勝負術と「あきらめない姿勢」をこれからとくとご覧いただきたい。
(中略)
△3ニ銀と埋めて席を立つ羽生。
1人になった途端、森内(俊之)が「そっかそっか、そうですか。うーん」と頭を抱えた。
やがて戻ってきた羽生が▲8四馬を見て同じように「そうか~」とつぶやき、△4五桂から△5一歩と攻めと受けの手を駆使して、森内を迷路へと誘い込んだ。
羽生の勝負術。
再開からすでに1時間20分近くが経っていた。
島朗九段が詳解、絶賛した「羽生の勝負術」は、成る程だ。
そう、羽生さんの迫力は、相手と勝負に最後の最後まで迫るばかりか、自分の闘争心にも最後の最後まで迫るのだ。
だから、相手と傍目には恐ろしく、次局の勝利にも迫るのだ。
羽生さんの迫力、及び、この迫力の担保力こそ、羽生さんの強さの主要源に違いない。
★2012年5月31日付毎日新聞朝刊将棋欄
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