2012年05月02日
【自戦記】「第70期名人戦順位戦B級2組〔第6譜▲田村康介六段△飯塚祐紀七段〕人とのつながり」飯塚祐紀さん
通算20期目の今期、意気込みとは裏腹に初の開幕連敗を喫した。
自分の拙劣な指し手に暗い気分になる。
その半年後の本局では、一転して昇級を懸けて戦うことになり、人生なにが起こるかわからない。
子供教室やら地方遠征やら、一つ一つがんばっていれば必ず誰かが見ていると先輩棋士から助言を受けた。
実力本位に見えるプロ棋士生活でも、人とのつながりの持つ意味はやはり大きい。
そのつながりの誰かが勝負どころで、運を貸してくれたのだろうと思うことにしている。
飯塚祐紀七段の「運を貸してくれた」というのは、成る程だ。
たしかに、成功には実力が不可欠だが、「実力の向上」、即ち、「成長」の主契機は他者の触発だ。
「自分を触発してくれる他者に出会えるか」。
「”その”他者が自分を触発してくれるか」。
「”その”他者がしてくれた触発を素直かつ正確に受容できるか」。
これが運の正体だ。
そして、だからこそ、運は一方的に「恵まれる」のではなく、他者と「貸し合う」ものなのだ。
他者共々、実力を螺旋状に向上させ、時折成功の美酒に与るのが、人間の、また、社会の自然なのだ。
★2012年5月1日付毎日新聞夕刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/