【朝日】「降級の藤井九段 “新鉱脈”にかける」藤井猛さん【自戦記】「第70期名人戦順位戦B級2組〔第6譜▲田村康介六段△飯塚祐紀七段〕人とのつながり」飯塚祐紀さん

2012年05月01日

【NHK教育】「カラフル/もっと強くなるために」伊藤匠くん

僕の名前は伊藤匠(小4)です。

(中略)

〔放課後、将棋クラブへ(三軒茶屋将棋倶楽部)〕

僕たちに将棋を教えてくれる宮田(利男)先生です。
多いときは20人くらいで指導対局する。
すごいと思います。

(中略)

〔匠くん、宮田七段の指導対局に単純なミスで負ける。〕
〔宮田七段が、匠くんが指した敗着を、繰り返し、正着を大きな駒音を立てて咎める。〕

【宮田七段】
もう一回やってやろうか?(笑)

【匠くん】
もういい。(笑)

【宮田七段】
ヘボ。
(中略)
丸暗記じゃダメなのよ。
(中略)
いつものこの格好ってさ、攻め自体無理なんだよ。
指せると思うのが勘違いなんだよ。
ちょっと甘い。
もう一回やるか、泣いて帰るか、どっちかにしなさい。

【匠くん】
(宮田先生は)強くなろうとする気になる人は、まあ、厳しいけど、別にそういう気の無い人には、そんなに厳しくない。

【スタッフ】
あなたはどっちの方がいいの?

【匠くん】
厳しいほうがいいです。

(中略)

【匠くん】
「勝ちたい」というよりは、なんか、「強くなりたい」って(思います)。

小学生アマ高段者(三段)の伊藤匠くんの心情態度は、感心、思考させられる所が多かった。
その最たるは、匠くんが小学四年生にして、厳しい指導の狙いが向上心の鼓舞にあるのを心得ておられたこと。
そして、厳しい指導を選好なさっていたこと、だ。

なぜ、匠くんは、宮田利男七段の厳しい指導に心が折れたり、逆ギレせず、積極的に応えるのか。
ひと言で言えば、もっと強くなりたいから、即ち、実力を高めたいから、ではないか。

勿論、匠くんのこと、将棋の本質である「棋は対話なり」を会得し、他者の心情は容易に読み解けよう。
そして、それも、厳しい指導の選好を後押していよう。
しかし、匠くんは既に、「実力の向上こそ、自己実現の根源かつ最速の経路である」と思考、得心なさっているのではないか。
そして、それこそが、厳しい指導の選好を最も後押しているのではないか。

翻って、なぜ、私たち大人の多くは、他者の厳しい指導に心が折れ、逆ギレしてしまうのか。
先ず、自己実現に無意識、無頓着だからだ。
そして、眼前の瑣末な成功、ないし、それがもたらす些少な褒賞と見栄、刹那の自信と安堵に執着しているからだ。

宮田七段に限らず、そもそも人が他者を厳しく指導するのは、”その”他者の「実力の向上」、ひいては、「成功の実現」に加担したいからだ。
さもなくば、なぜ、大の大人が、敢えて自らのリソースをすり減らしてまで、”その”他者を挫く必要があろう。
私たち大人は、もっと強くなるために厳しい指導を選好する、匠くんの爪の垢を煎じて飲む必要があるのではないか。



★2012年4月27日放送分
http://www.nhk.or.jp/tokkatsu/colorful/index_2012_003.html



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