【シンポジウム/セッション】「なぜプログラミングが必要なのか?/プログラミングの重要性」まつもとゆきひろさん、古川享さん【洋画】「インセプション/Inception」(2010)

2013年12月06日

【将棋】〔日経情報ストラテジー2011年12月号/将棋棋士・渡辺明竜王が語る逆境下の勝負術 急がば「守れ」〕渡辺明さん

P49
そもそも、将棋は後手番になった時点である意味逆境といえます。
主導権を握りやすい先手番の方が有利な傾向が、プロの対局では鮮明に出ているのです。
私の場合は先手と後手で勝率がおよそ1割も違います。

後手番の研究も重ねていますが、やはり圧倒的に有利な形に持ち込むのは困難です。
それでも五分五分くらいで戦える手順は考えられます。
そこで戦型ごとに考えられる手順を1つずつ検討し、それぞれ「この手順の勝率はこれぐらいだろう」と評価しています。
ただし勝率がよさそうでも自分の力を発揮しにくい戦型は避けます。
このような評価を基に、研究に自信がある手順から次々と実戦で試していきます。

実戦が本当に5割の勝率ではまずいので、ある程度進んだ時点で局面の複雑化を進め、相手がミスしやすくする工夫もしています。

もちろん、自信がある手順を試したにもかかわらず全く通用しないケースもありますし、逆に自信はなかったけれどやってみたら意外によかったケースもあります。
3連敗4連勝で防衛した2008年の竜王戦の第6局、「急戦矢倉」と呼ばれる戦法で披露した手順は後者に当たります。
研究段階では完璧に進んでも自信を持てない局面でしたが、結果的にこの将棋は快勝でした。
現在でも最善の手順として認められています。

研究通りにいかなかった手順は対局後にしっかりと反省します。
戦法自体が悪かったのか、途中の手順が悪かったのかを調べます。
やはり研究には穴があるものです
実戦はいわば研究のあら探しをする場ですね

将棋に限らず、実戦は「本番の真剣勝負」だが、その本質は「想定外」だ。

勿論、それは、事前の研究においても当てはまるが、程度が知れている。
いかなるプレイヤーも、「責任を忽ち負う」実戦では正に当事者だが、「責任を忽ち負わない」研究では傍観者を越えないからだ。
当事者は傍観者よりも遥かに真剣で、傍観者とは異次元の緊張と負荷を、ひいては、野性の直感と深遠な思考を強いられる。
「想定外」とは、当事者が意識的な自助と自我、即ち、日常の限りに対峙する、非日常の試練だ。

然るに、プレイヤーが、実戦で「想定外」の応手を、即ち、「研究の穴」に遭遇して「研究のあら探し」とその対処を強いられるのは、そして、その経験値に比例して強くなるのは、いずれも当然かつ自然だ。
プレイヤーは、事前の研究を欠かしてはならないが、実戦にこそ貪欲でなければいけない。
プレイヤー足る者、「想定外」に打ちひしがれる位で丁度良い。







kimio_memo at 07:29│Comments(0) 書籍 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
【シンポジウム/セッション】「なぜプログラミングが必要なのか?/プログラミングの重要性」まつもとゆきひろさん、古川享さん【洋画】「インセプション/Inception」(2010)