【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第28局の4▲久保利明王将△郷田真隆九段〕盛り返したか」加藤昌彦さん【BSNHK】「巨匠たちの“青の時代”」パブロ・ピカソさん

2012年01月06日

【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第28局の5▲久保利明王将△郷田真隆九段〕久保、勝勢を築く」加藤昌彦さん

変化が一直線になり、控室ではすぐに結論が出された。

中盤戦では変化が多く、答えが出ないが、終盤戦の大詰めは一直線の変化ならすぐに答えが出るのだ。
もちろん、控室のたくさんの棋士が検討しているからであるが・・・。

実戦を戦っている両者は最後まで気が抜けない。
将棋は逆転のゲームである。
そこが面白いのだ。

だから、勝勢になった側はより慎重になる。
形勢が不利な側は開き直るから、怖い気持ちがなくなる。
そこでドラマが起きるわけである。

将棋は、一手勝ちがもっともわかりやすいという。
安全に指そうとすると、逆に危なくなることも少なくないのだ。

将棋の真理が的確に表されていて興味深いが、これは人生の真理、人生の抽象でもある。
ちなみに、私は将棋ファンの出戻り組だが(笑)、30半ばで出戻ったのは、プロ棋士の対局からそれを垣間見たからだ。

人生も、将棋と同様、逆転のゲームに違いない。
しかし、多くの人が、その喜びを享受せず、生を終えている。
それは、将棋と同様、一時かつ程々の勝勢で慎重になったり、逆転を絶望したりして、開き直りを躊躇するからだ。
真に幸福な人生とは、将棋と同様、敗北、即ち、不幸と紙一重に違いない。



★2012年1月6日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/



kimio_memo at 09:44│Comments(0)TrackBack(0) 新聞将棋欄 

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