【BSフジ】「立川談志さん追悼特別番組/メッセージ.jp」立川談志さん【観戦記】「第70期名人戦C級1組順位戦〔第5譜▲糸谷哲郎五段△内藤国雄九段〕早指しで完勝」上地隆蔵さん

2011年11月30日

【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第22局の5(指し直し)▲郷田真隆九段△谷川浩司九段〕激闘決着、郷田3勝目」上地隆蔵さん

「負けました」

谷川(浩司九段)、投了。
18時間以上に及ぶ激闘が、ようやく決着した。
終局時刻は午前4時37分。
郷田(真隆九段)は執念で持将棋に持ち込み3勝目、谷川の連勝を4で止めた。
両者疲労困憊のはずだが、感想戦は2局分行われた。
郷田は勝っておごらず、谷川は負けて腐らず。
その真摯な姿勢を学び取るべく居残っていた若手棋士たちが熱心に耳を傾けている。
勝つことの大変さを改めて思い知らされた一局だった。
すべてが終了した頃には、空が白み始めていた。

勝利した郷田真隆九段と惜敗した谷川浩司九段は、将棋盤の前で心身を完全燃焼してもなお、「感想戦」という自己の過誤と可能性を検証、発見する重要既定プロセスを、空の白みを躊躇せず全うなさった。
「いかなる時でも、でき得ること、やるべきこと、やると決めたことをやり切ること」。
郷田さんと谷川さんが果たされた本行為こそ正に「最善努力」だ。

心情態度が真摯だから最善努力を励行するのか、それとも、最善努力を励行するから心情態度が真摯になるのかはここでは不問にするが、一つ言えるのは、若手の突き上げが年々強さを増す中、ベテランの両者が依然トッププロの地位にあるのは、最善努力の励行のてん末に違いない、ということだ。
最善努力の励行は、成長、成功の十分条件ではないが、必要条件に違いない。
若手棋士が両者の感想戦に終始聞き入ったのは、本局の正誤を究めることが主眼だったに違いないが、本事項の得心を深めることが真因だったのではないか。



★2011年11月30日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/



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