【BSNHK】「早過ぎたひと 世紀の伊達(だて)男 加藤和彦"」小原礼さん【漫画】「赤塚不二夫120%」赤塚不二夫さん

2011年10月31日

【BSTBS】「SONG TO SOUL 永遠の一曲」Boz Scaggs”We're All Alone”〔解説〕角松敏生さん

「AOR」なんていう言葉は、あれはもう日本人が勝手に考えた言葉なんですね。
レコード会社か何かが、宣伝文句で考えたんですよ。
で、AORっていうジャンルがアメリカにもあるのかなと思って、僕アメリカに初めて行った時に、AORって言っても全然通じなかったんですよ。
「(AORって)『Album-Oriented Rock』てしょ」って(しか返答されなかった)。
だから、まあ要するに、「シングルではなく、アルバムというトータリティに特化されたモノ」っていう意味で彼らは(AORを)捉えているですけど、日本人が勝手に「大人向きのロック」っていう意味で「Adult-Oriented Rock」っていうのを作ったんですけど〔略〕「新しい」イコール、「斬新」イコール「おしゃれ」というような概念に繋がっていくんじゃないかな、とは思うんですけどね。

(中略)

なんかAORっていうのは、ジャンルでもなんでもなく、観念だと思うんですよ。
イメージかな。
当時の大人が作り上げた幻影ですよ、ある意味、僕から言わせればね。
「恋愛の一シーンには必ずAOR」、ベタベタですけどね。(笑)
なんかそういう、何ででしょうねああいう曲をかけているだけで何かオンナにモテるような気になるみたいな、馬鹿馬鹿しい幻想がありましたからね、なぜか知らないけど。(笑)

一つには、これに尽きると思うんですけど、やっぱり「大人が格好良く見えた時代」なんじゃないかな。
「早く大人になりたい。
大人になるためには、どうしたらいいのか。
大人になるためには、何を学べばいいのか、何を着ればいいのか、何を聴けばいいのか」とか。
そういうことが年少の者が年長の者にリスペクトをするという非常に健康的な文化だったと思う。
今は全く逆ですから。
「若けりゃいい」ってなってますんで。(笑)
そういったその当時の、ある意味健康的な文化が築いた素敵な風景っていうのかな。
だから、本当のAORっていうのは、その時代背景をきっちり脳裏に思い出せる人間じゃないと感じられないんじゃないかな、と思うんですよね。
ただ、一つだけ言えるのは、AORと呼ばれてきた音楽というのは、今にして聴いても非常に上質な音楽であるっていうことだけは間違いない。
素晴らしいミュージシャンが持てる才能をフルに発揮できた時代に、それを集約して作ったサウンドということは間違いないですから、貴重な記録の数々がそのAORと呼ばれているジャンルの中には間違いなくあると思います。

私は角松敏生さんのこのお話を拝聴するまで、AORを誤解していた。
そう、「Album-Oriented Rock」ではなく、「Adult-Oriented Rock」だと。(笑)
音楽に関する私の知見は知れており、誤解は他にも多数有るに違いない。(笑)

本件についていい訳をする気は毛頭無いが、たしかに、当時AORと称される音楽には、「Adult-Oriented Rock」と誤解するに足る大人の雰囲気が満ちていた。
そして、 角松さんが仰るように、AORを聴いているだけで、AORに通じていると錯覚するだけで(笑)、カッコいい大人になったような気が、女性にモテるような気がした

「オンナにモテたければ、洒落たバーへ行き、タバコを吸って(間を持たせながら)観念論を呟けばいい」。
これはモテ男の車内に必ずAORのカセットテープがあった当時、奥田瑛二さんが何かのインタビュー番組で仰っていたことだが、これは正しかった。(笑)
正確に言えば、このプロセスそのものも正しかったが、このプロセスの本質が正しかった。
若者にとって、未知の事柄や人生の真理をコストを厭わず教示できる大人はとてもカッコ良く、女性なら落とされて然るべきだった。(笑)

その未知の事柄の中に、AORは含まれた。
番組が紹介した”We're All Alone”が収録されている「Silk Degrees(シルク・ディグリーズ)」は、一曲たりとも捨て曲が無い。
ボズ・スキャッグスの歌は、現TOTOのメンバーの演奏と相まり、聴く者に唯一無二の艶めきを与えている。

シルク・ディグリーズ(期間生産限定盤)
ボズ・スキャッグス
SMJ
2016-07-27


そして、この艶めきこそ、先述の「大人の雰囲気」の源だった。
AORを聴くこと、AORに通じることは、歌謡曲やニューミュージックばかり聴いていた多くの若者にとって、大人の仮免許証を授かることと同義だった。(笑)

角松さんが当時を「年少の者が年長の者にリスペクトをするという非常に健康的な文化だった」と述懐なさっているが、当時をこうして振り返ってみると、たしかに健康的ではあったが、その健康さは合理的であったことに気づく。
当時の大人は、若者より明らかにモノを知っていた。
また、然るべきコストをかけ、良いモノを創り、若者にも希望と共に垣間見させた。
それができるのが一握りに限られたので、若者は、そんな希少かつ貴重な大人が殊にカッコ良く見えた。
そして、AORを聴き、一歩でも近づこうと背伸びした。
年少者が年長者を敬う健康的な文化が崩壊したのは、私を含む当時の若者の怠惰が元凶に違いない。


★2011年9月25日放映分
http://w3.bs-tbs.co.jp/songtosoul/onair/onair_46.html



REBIRTH 1~re-make best~(通常盤)
角松敏生
アリオラジャパン
2012-03-14




kimio_memo at 07:32│Comments(0) テレビ 

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