2011年10月28日
【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第17局の2▲郷田真隆九段△佐藤康光九段〕風の郷田」椎名龍一さん
郷田(真隆九段)の将棋には必ずといっていいほどに「この手をやってみたかった」という序盤の一手が織り込まれている。
本局では▲3七銀~▲3五歩がそれで、「(後手の佐藤康光九段が)△4一玉型なら本譜の将棋を指してみようと思っていました」と郷田は言う。
自分が進んでみたい方向にとりあえず行ってみようとするのが郷田流と言えるのだろうか。
何にも縛られず、自分の進みたいと思う意思に身を委ねる。
郷田を漢字一文字で表すならばなんとなく「風」がふさわしいような気がしている。
正直、「風」と言うと、最初に想起するのは松本隆さんだが、成る程、「風の郷田」というのも言い得て妙だ。
主流かつ群雄割拠の情報戦を尻目に、一人風の如く、自分の価値観、感性を頼りに盤上をさすらう。
郷田真隆九段が、いまだコンピュータを使わずしてトッププロであり続けるのは、松本さんと同様、不断に風の如く、普遍の真理を求めさすらう果報かもしれない。
★2011年10月28日付毎日新聞朝刊将棋欄
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