2011年10月22日
【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第16局の1▲谷川浩司△三浦弘行八段〕「後手」が大苦戦」上地隆蔵さん
定刻7分前、(後手の三浦弘之八段に続き、先手の)谷川(浩司九段)が入室すると、対局室は心地よい緊張感に包まれた。
この日は朝から報道陣も多く、その中には珍しく新米の女性記者もいた。
初手。
谷川は十分に間を取った後、おもむろに着手の動作に入った。
これは谷川流の心遣いで、撮影し易くするためだ。
カメラを構えていた女性記者は懸命にシャッターを切った。
将棋の肝は、相手が指したい手を封じることだ。
将棋が強い人は、これが上手い人だ。
相手が指したい手を封じるには、予め相手が指したい手を読み解けなければいけない。
相手が指したい手を読み解くには、相手の心情を正確に思いやらなければいけない。
「谷川流の心遣い」から再認識したのは、谷川浩司九段が強く、人格者であられることだ。
相手の心情を正確に思いやり、それに、将棋では強く抗い、将棋以外では気持ち良く応える。
谷川さんが将棋界内外から厚く信用されているのは、当然に違いない。
★2011年10月22日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/