【特別講義】「ブログ起業論」松山真之助さん【洋画】「世界侵略:ロサンゼルス決戦」(2011)

2011年10月10日

【科学ライブショー】「将棋と直感」糸谷哲郎さん

shikiki_ito
将棋のプロ棋士とアマチュアとの一番の差異は直感だ。
同一局面を見た時、プロ棋士はアマチュアより読む手の数(種類/選択肢)が少ない。
大体、ニ、三手で、それ以外の手は「これは無い」と除外している。
これを実現する働き、それが直感だ。

直感は、将棋やチェスといった頭脳ゲームをやる時だけでなく、日常的に使われている。
例えば、数学の問題を解く時や、買い物をして金額を計算する時がそうで、これらの時に、私たちはどの解法を使うか意識的に考えたりしない。
たしかに、初めてやる時や、慣れない内は、考えるが、慣れてしまえば、考え(る必要が)なくなる。
これが直感だ。

このように、直感は経験(値)に依存する。
直感力を高めるには、反復が最も基本かつ有効だ。

直感は、頭脳だけの働きではない。
体とも密接に結びついている。
自転車から他の乗り物に乗り換えてふと戸惑うのは、そのためだ。

ご存知の通り、コンピュータ将棋は年々強くなっている。
昨年は、「あから」が清水市代女流六段を負かした。
コンピュータ将棋との対局が難しくなっているのは、思考プロセスが異なるからだ。
プロ棋士は、まず指し手を直感でニ、三手に絞り込み、それらだけ深読みし、決定する。
対して、コンピュータ将棋は、可能な指し手は全て読み、各々の有効性を評価関数で評価し、決定する。
つまり、全幅検索だ。
将棋は、囲碁や麻雀と比べると、可能な指し手が少なく、全幅検索が容易だ。
だから、コンピュータ将棋は、可能な指し手がより少ない(限定的になる)終盤では滅法強く、「詰むや詰まざるや」の局面では既にトッププロを上回っている。

今後、コンピュータ将棋はもっと強くなる。
なぜなら、ハードの性能が向上することに加え、サンプルデータをより多く取り入れ、評価関数の精度も向上するに違いないからだ。
一局の勝負(⇔番勝負)なら、10年以内にトッププロも負かすだろう。

プロ棋士がコンピュータ将棋に勝つには、直感を活かす戦い方が有効と考える。
具体的には、新規の序盤戦術を案出し続け、それを採用することだ。
なぜなら、コンピュータ将棋の実力は、可能な指し手の多い序盤では、まだプロ棋士を上回っていないからだ。
昔の珍奇な序盤戦術を採用するのも手かもしれない。

私は、これまで直感を、「問題の真因や最善の解決策を迅速かつ正確に思いつくこと」と考えていた。
例えば、将棋の場合だと「最善手がすぐ思い浮かぶこと」で、企業経営の場合だと「事業不振のボトルネックがすぐピンと来ること」だといった具合だ。
そして、「直感力が優れている」というのは、「最善手を短時間で着想する能力を有していること」、「事業不振のボトルネックを短時間で洞察する能力を有していること」と考えていた。
しかし、今回、2009年のNHK杯で準優勝の偉業を果たされて以来羽生善治さん以上に注目している(笑)糸谷哲郎五段のお話を聞き、この考えが誤解であること、シビア過ぎることに気づかされた。
直感は、「最善手」や「ボトルネック」とまではいかなくても、「有効手」や「主因」で足りており、直感力は、「有効手」や「主因」を短時間かつ無意識的に着想、洞察する能力で良いようだ。

直感や直感力についてこれまで先のように考えていた私は、いかにしたら「最善手」や「ボトルネック」を短時間かつ無意識的に着想、洞察できる能力が高められるか、不躾ながら糸谷さんに個別質問申し上げた。
糸谷さんは、以下の旨回答下さった。
私は、成る程と感じると共に、多々考えさせられた。
私は、この場を借りて、改めて糸谷さんに感謝したい。(礼)

〔1〕「『有効手』や『主因』を短時間かつ無意識的に着想、洞察できる能力」の意味での直感力を高めたいなら、やはり、繰り返しやること、反復することが最も有効だ。

〔2〕ゆえに、プロ棋士でも、直感力は経験値の高いベテランの方が優れている。直感力が優れたベテランが必ずしも勝利に恵まれないのは、「読み」の問題だ。直感力は、将棋の実力関数の一変数に過ぎない。

〔3〕とはいえ、経験値を高めれば、直感力と同様、「『最善手』や『ボトルネック』を短時間かつ無意識的に着想、洞察できる能力」も有効に高められるかというと、必ずしもそうとは言えない。たしかに、同様の経験値を持つ人間の間でも、そうした能力には厳然たる差が有り、しかも、差が生じる理由は不明だ。所謂「才能」かもしれないが、そもそも人間は同じ経験、生活をしても「好き嫌い」、つまり、「趣味趣向」に差が生じてくるものであり、かつ、それが直感に大きく影響するからして、本当に不明だ。

〔4〕ゆえに、いかにしたら、「『最善手』や『ボトルネック』を短時間かつ無意識的に着想、洞察できる能力」が有効に高められるかは、何とも言えない(明確には回答できかねる)。


<余談>
哲学とは異なり、将棋は相対化できない。
なので、生業の将棋と専攻学問の哲学は、別個切り離して考えている。



★2011年10月8日科学技術館にて催行
※上記内容は全て意訳
http://universe.chimons.org/jsf/
https://twitter.com/kimiohori/status/123190321961111552



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