【人生】「私が世界No.1セールスマンになるためにやった50のこと」甲斐輝彦さん【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第12局の6▲郷田真隆九段△屋敷伸之九段〕郷田、白星先行」甘竹潤ニさん

2011年10月01日

【私小説】「いねむり先生」伊集院静さん

P196
ポスターの中で笑っていたのは、二年前に亡くなったボクの妻だった。

(中略)

「サブロー君、行きましょう」

「は、はい」

ボクは返答し、先生のあとを追うように歩き出した

(中略)

この二年、つとめて忘れようとしてきて、ようやく平静になったと思い込んでいたものが、突然、目の前にあらわれ、しかも先生と一緒の時に、そうなったことがよけいにボクの感情を揺さぶった。

(中略)

「サブロー君、人は病気や事故で亡くなるんじゃないそうです人は寿命で亡くなるそうです」

「・・・」

ボクは先生の言葉の意味がよくわからなかった。
それっきり先生は何も言わなかった。

「先生」とは、どのようなことができる人のことか。
すぐ思い浮かぶのは、特定の知識や方法論を教示できることだろう。
しかし、欠かせないのは、一歩先から適宜、物事の道理と人生の不条理を教示できることだ。

たしかに、一歩先ゆえ、教示直後は、100%未満の理解しか得られない。
だが、一歩先かつ適宜ゆえ、後年、120%の理解と共感が得られる。
そんな風に見込んだ他者へ、徒労を怖れず長い目で根気強く、物事の道理や人生の不条理を教示できること。
「先生」とは、これができる人のことだ。

「人が亡くなるのは、病気や事故ではなく、寿命である」。
これは、生前母もしばしば言っていたが、正に物事の道理であり、また、人生の不条理だ。
サブローこと伊集院静さんがこれを私たちに教示する、教示できるのは、自ら、いねむり先生こと色川武大先生に教示され、後年120%の理解を果たした「先生」だからだ。

「先生」は、生まれ出るものではない。
「先生」は、「先生」に見込まれ、創り出されるものだ。



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