【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第9局の4▲丸山忠久九段△羽生善治王座〕グレーゾーンの戦い」関浩さん【朝日be】〔「羽生を震わせた男」の勝負勘〕渡辺明さん

2011年09月15日

【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第9局の6▲丸山忠久九段△羽生善治王座〕羽生、難局を制す」関浩さん

丸山(忠久九段)は7分を割いて▲4三歩成と突進し、△7八成桂▲同金と進んだ。

盤側は、先手(▲丸山九段)の勝ちになったのではないかと思った。

(中略)

ところが羽生(善治ニ冠)は、涼しい顔で△3四金と成銀を取り、▲3ニとと飛を取らせて△1三玉と逃げ越した。
驚いたことに、これで後手玉に詰めろがかからない。
▲3一馬は△2四玉、▲3五角は△1四玉で、後手(の羽生ニ冠の)玉は二度と捕まらない。

1分将棋まで考えた丸山は、▲3五飛の鬼手を放ったが、やはり詰めろにはなっていなかった。

羽生が少考して座を離れると、丸山は「バカでした」と力なくつぶやいた。
どの局面を念頭に置いて言ったのだろう。

戻った羽生が△6九銀とかけ、激闘に幕の下りる時がきた。
終局は午前0時25分。

過日、藤井猛九段が「形勢と勝敗は別物。将棋は最後が難しい」旨大盤解説会で仰ったが、当時、丸山忠久九段は正にこの心境を抱かれたのではないか。
自己を最強のマシン化する努力に励んでもなお、優勢と思いきや一瞬にして敗北の現実と責任の所在を突きつけられるところに、将棋の、勝負の怖さと辛さがある。
トップ棋士の強さは、この経験の量と受容力に依存しているのではないか。



★2011年9月15日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/



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