【NHK】「あさイチ」高良健吾さん【講演】「いま、一人ひとりができること 東日本復興に寄せて」 谷川浩司九段

2011年09月09日

【観戦記】「第70期名人戦A級順位戦〔第9局の1▲丸山忠久九段△羽生善治王座〕難しい年回り」関浩さん

「棋士の40代は指し盛り」。
昭和の時代は、そう言われたものである。
しかし、定跡が長足の進歩を遂げた現代では、棋士のピークは早まっていると思われる。
きょう有効だった定跡が、あすも通用するとは限らない。

羽生世代も難しい年回りを迎えたと思う。
第68期は佐藤康光九段がA級から滑り落ち、佐藤の返り咲きと入れ違いに、前期は藤井猛九段がA級を去った。

何年か前の話だが、自宅でNHK杯戦を観戦していて、慄然としたことがある。

トップ棋士と有望新人の一戦だった。
盤を挟んだ二人をぼんやり眺めているうちに、突如としてトップ棋士を、若手の行く手に立ちはだかる意地悪な役回りと見なしている自分に気づき、ギョッとなった。

俊英の飛躍に期待を寄せるのは、万人の自然な感情なのであろう。
羽生世代も親子ほど年の違う先輩棋士と矛先を交え、スターダムにのし上がった。
それからざっと20年。
新旧対抗の構図は立場が変わり、羽生世代もやりにくさを感じる場面が増えたのではないか。

(中略)

羽生(善治)王座と丸山(忠久)九段の2回戦。
盤上は角換わりへ進む。

若い人が知見に富む年長者に積極的に戦いを申し込むのは、進んで100本ノックを受けに行っているようなものだ。
戦えば戦うほど、打たれれば打たれるほど、強くなる。
しかし、年長者が若い人に積極的に戦いを申し込むのは、アプローチを間違えると、可能性の芽を個人的かつ社会的に摘むことになりかねない。
社会は、持続性の断絶を許容しない。
積極的に戦いを申し込むのは人生の常だが、年長者はこのことを忘れてはならない。

自分を振り返っても思うのだが、若い時分、年長者に積極的に戦いを申し込んだ人間ほど、年長者になると、若い人の芽を摘む可能性が高いのではないか。
なぜなら、厄介なことに、気持ちだけは若いままだからだ。
可能性の芽を個人的かつ社会的に摘むリスクの自覚が希薄なのだ。
人は、年を取るほど、主観が膨張し、下手を固めてしまう。
年長者ほど、客観力を陶冶、担保しなければいけない。



★2011年9月9日付毎日新聞朝刊将棋欄
http://mainichi.jp/enta/shougi/

kimio_memo at 11:32│Comments(0)TrackBack(0) 新聞将棋欄 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
【NHK】「あさイチ」高良健吾さん【講演】「いま、一人ひとりができること 東日本復興に寄せて」 谷川浩司九段