2011年09月09日
【日本経済新聞社】「第59期王座戦第一局▲渡辺明竜王△羽生善治王座」藤井猛九段
先手渡辺明竜王の初手7六歩に対する、後手羽生善治ニ冠の8四歩は驚いた。
タイトル戦の第一局は野球に例えると開幕戦で、羽生二冠も様子を見るものだが、この手は、「今回は開幕戦からエースを投入しますよ」と言っているようなものだ。(笑)
相手が、強く、勢いがつくと止まらない渡辺竜王だからだろう。
(82手目の)9五歩は、羽生二冠が不利を自覚した手。
「自分の力ではもうどうしようもないので、相手の力を利用しよう」というパス手(=手渡し)だ。
夕食はもう終わっているはずだが、羽生二冠は夕食を食べていて味が全然しなかったと思う。(笑)
タイトル戦で対局していて形勢が悪い時に気になるのは、終局時間が早くなり過ぎることだ。(笑)
タイトル戦は、多くのスタッフが、ニ、三日かけて舞台を整えてくれて初めてできる。
だから、負けるのは仕方無いとしても、終局時間があまりに早過ぎると、持ち時間を(多く)余して投了してしまうと、スタッフに対して申し訳ない気持ちになるし、そもそも、「何やってんだよー」とか「何しに来たんだよー」っていう(場の)空気がある。(笑)
もはや、自分だけの問題ではなく、対局前に言う「全力で指したい」という意気込み、心境に本当になり、夕食休憩に入ると安堵したりする。
本当は、「そんなことより、逆転の筋を探せよ!」なのだが。(笑)
そういうことなので、夕食休憩前、(劣勢で、渡辺竜王よりも持ち時間を多く余らしていた)羽生二冠には、(投了せず)もっと(持ち時間を使って)考えてくれないか、と思った。(笑)
羽生二冠は渡辺竜王のことを嫌いだと思う。(笑)
もちろん、「嫌い」といっても、人間的にではない。(笑)
棋士はみな「オレの行く手を阻むものは、誰だろうが容赦しない!」と思っているもので、羽生二冠も(王座戦)20連勝を阻止しようとしている渡辺竜王のことは嫌いなはずだ。(笑)
羽生二冠は、今年達人戦(というタイトル戦)に初出場し、見事優勝した。
羽生さんは正に達人だ。(笑)
達人戦は、40才以上の棋士が対象で自分も含まれるのだが、40才の棋士は他にも丸山、森内などたくさん居て、除外された。(笑)
昨年優勝し、本年は惜しくも準優勝になった佐藤康光九段が「今年の達人戦は(先輩ばかりではなく同世代の)羽生二冠が居たのでホッとした」と仰っていたようだが、出れるものなら、私は、達人戦より、むしろ新人王戦に出たい。(笑)
もし、本局(=第一局)を羽生二冠がひっくり返して勝てば、羽生二冠は(王座)20連覇(確定)ですよ。(笑)
私も、この前JT杯で渡辺竜王と戦い、現在の渡辺竜王の状況(=優勢)になった。
で、そこから(正確に)寄せればいいのだが、その時は寄せられず、なぜか負けてしまった。
まあ、負けるのはいつものことなのだが。(笑)
で、事後談があり、渡辺竜王は「お、これはツイてる!」と思ったようだ。
そこで、渡辺竜王は、なんと(対局地の)札幌にもう一泊して、翌日札幌競馬へ行った。(笑)
こっちとしては頭にくるけど、上田(初美女王)さん、今晩(の王座戦の打ち上げで)、渡辺竜王に札幌競馬の結果を聞いておいてくれないか。(笑)
勝ちが続いていると、考えが雑になる。
読みをきちんと入れずに、「まあこんなものだろう、最近勝ってるし」って思ってしまったり、「まあ、相手も最善手を指してこないだろう」って相手のミスをも期待してしまう。
羽生二冠は、先日棋聖戦を4連覇し、タイトル獲得数を通算79期に伸ばした。
大山康晴十五世名人が持つ80期は眼前だ。
羽生二冠がここまでタイトルが獲得できるのは、「取られたら(翌年)すぐ取り返す」、「決着局に強い」のが大きい。
形勢(の良し悪し)と勝敗は別物。
将棋は最後(=正確に寄せて、勝ち切ること)が難しい。
藤井猛九段の大盤解説は6月の名人戦に続き今回で二度目だが。大満足した。
トッププロの心情や機微、そして、勝負の駆け引きや本質を、また自虐ネタを核に(笑)「半分冗談半分真剣」の体裁で教示いただけたからだ。
物事の本質を「半分冗談半分真剣」の体裁で他者に伝えられるのは、本質を熟知していることに加え、本質と今の自分との関係性と俯瞰(客観)できている証だ。
不可能ではあろうが、藤井さんには是非新人王戦にも出場いただき、秘めた可能性を切り開いてくださったらと心底思う。
余談だが、「次の一手」のコーナー(=「次の一手」を観覧者から募り、当てた人には抽選で褒賞を授与するコーナー)で、微笑ましく、かつ、感心、考えさせられることがあった。
「次の一手(=84手目)」の候補手の一つは藤井さんの案(=△9六歩)だったが、外れてしまった(→正解は上田女王の案の△4三銀)。
当った人は70名近く居られ、本来なら彼らにのみ褒賞(=羽生二冠と渡辺竜王と藤井さんのサイン色紙)が授与されるのだが、藤井さんは、「自分の案に投じてくれた人に対して申し訳ないので」との旨独自判断なさり、ご自分の色紙を、それも、私の目に間違いがなければ「我自我自」と書かれた色紙を(※他には「心眼」と書かれた色紙を発見)、△9六歩に投じた人の一人に抽選で授与された。
私は。いよいよ藤井さんを敬愛して止まない。
★2011年9月7日催行
※1:解説女性棋士は上田初美女王
※2:上記の藤井九段の言はいずれも意訳
http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2011/09/post-2787.html
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1. 王座戦第一局大盤解説会 [ 即席の足跡《CURIO DAYS》 ] 2011年09月09日 12:46
下記、王座戦関連、過去記事です。
17連覇!!
18連覇
王座戦第一局
19連勝19連覇!
去年も行った日経での大盤解説会。
久々にssayさんも忙しい仕事をほっぽりだして、いや、抜け出して、いや、調整して、上京→参加の状況ということもあり、今年も行くことにしま..