2011年07月29日
【将棋】「Number2011年8月4日号/将棋界孤高の革命家・常識を打破して頂点に立った男」藤井猛さん
僕ね、直感がないんですよ。
第一感というヤツがね。
局面をひとめ見て、この一手、なんて浮かばない。
閃かないんです。
直感のある人が羨ましいです。
(中略)
そもそも頭の構造が将棋に向いていないんですよ。
(「藤井システム」は)最初はこの一局というときの必殺戦法として考えたんです。
四間飛車をやるなら大リーグボールが必要だと(笑)、
相手や先手後手に関係なく自分の力を出せる戦法が必要だと痛感したんです。
急所の一局では絶対勝たなきゃいけない。
将棋ほど負けるとこんなにムカつくゲームはないんです。
自分を全否定される。
藤井システムは、僕が苦しんで突き詰めて考えた結果、生まれた戦法なんです。
玉を囲わないなんて最初は本気で考えなかった。
でも、過去の定跡を全て調べてみても、都合よくいかない。
それで本気で考えてみたら、バカにしたもんじゃないなと。
羽生(善治)さんがスーパーコンピュータだとすれば、僕はフリーズばかりするオンボロパソコンです(笑)。
頭の回転が遅過ぎる。
本当は本能で指したい。
でも、ポンコツのエンジンでも高性能マシンに勝てるのが、将棋の面白いところ。
エリートじゃなかったから、将棋をつまらないと思ったことがないんです。
藤井猛九段には、有り難いことに、一度直接お話しさせていただいたことがある。
一番の趣旨は。将棋大好き少年のひろき君宛てにサインを書いていただくことだったが、羽生善治さんの強さの私見も伺えた。
冒頭の色紙の画像は、その時に頂戴したサインだ。
私は、本記事を読み、藤井さんが「心眼」を座右の銘になさっていることと、羽生さんの強さの理由としてプロ棋士の努力怠慢をお考えなことに、一層合点がいった気がした。
なぜ、藤井さんは、「心眼」を座右の銘、つまり、最重要心得になさっているのか。
藤井さんは、「エリート棋士」に勝つには、彼らが直感で最善手や有力手(戦法)を見つけるなら、自分は彼らの直感から直感であるが故にこぼれ落ちるそれらを心眼で見つけなければいけない、とお考えなのではないか。
だから、藤井さんは、「心眼」を座右の銘になさっているのではないか。
なぜ、藤井さんは、プロ棋士が努力を怠っているとお考えなのか。
藤井さんは、(自己評価的には)直感力が劣っている自分が戦法の創作者になれたり、タイトルに恵まれているのは、「エリート棋士」が幼くして会得した優れた直感力に胡坐をかき、平生「苦しんで突き詰めて考えていない」、「本気で考えていない」、つまり、”でき得る努力をしていない”からだ、とお考えなのではないか。
だから、藤井さんは、プロ棋士が努力を怠っているとお考えなのではないか。
藤井さんは、「エリート棋士」が有する(レベルの)直感を有していないことを心眼と不断の努力で逆手に取れたからこそ、将棋史に残る「藤井システム」を創作し得たのではないか。
だから、藤井さんは、(自己評価的には)自分よりも直感力が優れている若手棋士が流行戦法のカイゼンに終始しているさまが何とも勿体無く、我慢ならないのではないか。
kimio_memo at 07:51│Comments(0)│
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