2011年08月01日
【邦画】「釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇」特典映像/対談「本木克英監督×宮沢りえさん」
【宮沢りえさん】
もちろん、(三國連太郎さんは)スーさん(を)、(西田敏行さんは)ハマさんというのを演じていらっしゃるわけだけれど、本質に流れるものっていうのは、どう演じていたってやっぱり変わらない、と私は思うんですよ。
一番「シュールだな、この人達が」って、シュールっていう言葉がすごく曖昧な感じがするけれど、「オトナのカッコ良さみたいなものがあるなあ、ある方達だなあ」というのをすごい感じて。
それは、何だろう、この映画の本質ともしかしてかするかもしれないけど、クールであることとか、少し斜に構えることとか、そういうことがカッコいいとか、大人になるとそういう風になっていく人も居るし、若い内から「そういうものがカッコいいんじゃなーいー」って言ってる人たちに観てもらいたいなと思ったのは、そうじゃない、ああやって健やかに時間が流れていても、その中にすごいブラックが入っていることを気づける人の方が私はカッコいいなあって、そういう大人の方がカッコいいんじゃないかなって・・・。
【本木克英監督】
三國さんも西田さんもそうなんですけれども、台本は読み込んでいらっしゃるんですけれども、あれだけ現場に来て、あの場で台詞が、まあ本筋は変わらないんですけどもね、色んなやりとりの中で変化していくじゃないですか、即興的に。
で、ああいうのも、僕なんか見ていて、りえさんがすごく柔軟にやってらしたけど、本当は・・・
【宮沢りえさん】
柔軟なだけがとりえですから(笑)。
【本木克英監督】
本当は「大変だな」とか、「嫌だな」とかなかったですか?
【宮沢りえさん】
私はなかったですね。
それは、あの二人がいくらどんどんどんどんアイデアを出していったところでも、それを客観的に見る目がきちんと、しっかりと何か持ってないと、いくらお二人、ベテランのお二人でもダメだと私は思うんだけれども、それをちゃんと、あの二人が監督のことすごく信頼していることがわかったし、その中で、ちゃんと、どんどん自由にやっているけれども、制限を持っているっていう緊張感の中で芝居するのが、本当に面白い反面怖い部分もあるけれども、面白さが面白い分だけ怖いし、怖い分だけ面白いっていう、そういう何か瞬間がすごくあったな、って。
【本木克英監督】
僕なんかすごく感心したのは、あれだけの、日本を代表する俳優さん二人ですから、大体どんな俳優さんでも女優さんでも、自分の部分は覚えてきて、それが一言でも変えられちゃうと、もうものすごく舞い上がってしまうんですけれども、という場面を僕はわりとよく見てきたんですけど、(宮沢りえさんは)全然、こうどういう風に台本を読んでね、いつ読んで、どんな風に集中していらっしゃるんだろなっていうのを、いつかお聞きしたかったんですけれども。
【宮沢りえさん】
台詞を覚えて、その役の役作りとか、座ったり、立ったりなんていうことは全く考えないで、その時にどういう気持ちでいるかっていうことだけは、(現場へ)行く前に感じて、台本には書いてなくても、「ここには多分自転車で来たんだろうな」とか、「自転車で来たから、ちょっと疲れているかな」とか、全然それはシーンの中には全く出てこないことだけれども、その前後、「きっとこの子は、この後寄り道をするかな」とか、そんなことはよく考えます。
【本木克英監督】
たとえば、今回やっていただいた木戸梢っていう「梢(こずえ)」っていう音を聞いた瞬間から、何かねえ、田舎の人っていうイメージがありますけど。(笑)
【宮沢りえさん】
役作りっていうのは、私はよくわからないですけど、現場に行くまで、宇部空港から(山口県の)萩まで行く間とか、道をずっと見ながら、地図を見たりとかしながら、(自分が演じる梢は)「ああ、こういう道をきっと小学校の頃通ったんだろうな」とか、やっぱり自分の体験には無いのが殆どだから、そういう部分を、やっぱり、「考える」んじゃなくて、「想像する」。
「初恋はいつ位かしら、この子は?」とか、そういう風にしていくと、それを本番中に考えるわけではないけど、そのことを一瞬どこかで思ってたっていうことが、何か自然に体が覚えていくエネルギーになるんじゃないかな、って。
(中略)
【本木克英監督】
最初にこの「釣りバカ(12)」のシーンで登場してもらったのが、萩の川沿いの道をね、(青島幸男と)二人で歩くっていう、僕の中でも何のイメージも無かったんですよ。
まあ、いい風景の所を選んでね、柳と川があって、まあ二人が何となく自転車引きながら歩いてくるっていうことだったんですけれども、まあその時にりえさんが最初におっしゃったのは、「ここは唯一おじちゃんに甘えられるシーンだから、自転車にまたがって、のんびり行きたい」っておっしゃったんで、ちょっとびっくりしまして。
びっくりしたというか、「ああ、やっぱり大女優というのは、こういうもんなんだな」って思って、「(このシーンは)どうすればいいんですか?」っていう風な俳優さんとかはすごく多いんですけれども、やっぱり一緒にこう「投げかけてくれる」っていうかね・・・。
【宮沢りえさん】
すごく、動きとかをハッキリ決められる監督もいらっしゃるから、そういう時には、もちろんその監督の意見を重視するけど、でも、自分ではこっちの方が心地いいっていう時は言いますけど。
本木監督は、あんまり言わないじゃないですか、動きとか、その気持ちだけ。
(本木監督が)一番多く使われていた言葉が、「自然に、本当に健やかに自然に居て欲しい」って言ってくれたので、それがすごく想像力を広げることができて。
【本木克英監督】
まあ大体姿勢としては、西田さんも、三國さんも、目一杯考えてらっしゃいますから、その二人をぶつけて、その中の一番いい瞬間をなるべく逃さないようにっていう風なことは考えてますね。
そこで動きが、まあ僕自身が動きを考えてても、それを超えるようなものが出ればそっちを使いたいっていうことなんで、ただそれの中にりえさんが入っても全く遜色が無いっていうか、更に盛り上げて頂いたので、本当に私としては助かったんですけれどもね。
宮沢りえさんのことはこれまでもずっと好きだったが、この対談を聞いて一層好きになった。
成果物の全体価値とそれを構成する自分の個別価値の両方を正確に理解し、創造へ向けできる努力を悉くやり切っておられるよう窺えたからだ。
やはり、名俳優は、そもそも一人の人間として優れている。
kimio_memo at 06:58│Comments(0)│
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