2020年10月
2020年10月30日
2020年10月27日
2020年10月16日
【洋画】「十二人の怒れる男/12 Angry Men」(1957)
[ひと言感想]
合意形成が依拠すべきはファクトとロジック、即ち、客観性である。
個人の直感と思い込み、もとい(苦笑)、経験と信条、即ち、主観性ではなく。
また、それが醸成する「空気」では断じてなく。
しかし、裁判員裁判経験者として確信するが、裁判の合意形成はそう一筋縄では行かない。
というのも、何より収集可能なファクトが極めて限定的で、主観性を排除し切れないからである。
本作は却って主人公格の主観性が肯定的に働いた格好だが、結果論かつ幸運である。
裁判が「疑わしきは罰せず」の原則という、一般の会議ではあり得ない「問題を先送りする」オプションを有するのは、神頼みになりかねない合意形成の補償ではないか。
必要は発明の母だが、不完全性は原則の母である。
合意形成が依拠すべきはファクトとロジック、即ち、客観性である。
個人の直感と思い込み、もとい(苦笑)、経験と信条、即ち、主観性ではなく。
また、それが醸成する「空気」では断じてなく。
しかし、裁判員裁判経験者として確信するが、裁判の合意形成はそう一筋縄では行かない。
というのも、何より収集可能なファクトが極めて限定的で、主観性を排除し切れないからである。
本作は却って主人公格の主観性が肯定的に働いた格好だが、結果論かつ幸運である。
裁判が「疑わしきは罰せず」の原則という、一般の会議ではあり得ない「問題を先送りする」オプションを有するのは、神頼みになりかねない合意形成の補償ではないか。
必要は発明の母だが、不完全性は原則の母である。
出演:ヘンリー・フォンダ、ジョセフ・スィーニー、エド・ベグリー、リー・J・コッブ
監督:シドニー・ルメット
監督:シドニー・ルメット
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2010-08-04
2020年10月12日
2020年10月09日
【洋画】「わたしは、ダニエル・ブレイク/ I, Daniel Blake」(2016 )
[ひと言感想]
「『設計』は性悪説で網羅的([場合の数]的かつ詳細)に、『運用』は性善説で弾力的に」。
社会であれ企業であれ、制度の「設計」と「運用」のあるべきコンセプトはこれである。
なぜ、「設計」は性悪説で網羅的か。
対象の「人間」が必ずしも善意の持ち主ではなく、少数の悪人によるモラルハザードを所与にすべきだからである。
なぜ、「運用」は性善説で弾力的か。
対象の「人間」が個人で、唯一無二の事情を汲むべきだからである。
「『設計』は極めて性悪説で超網羅的に、『運用』も極めて性悪説で非弾力的(杓子定規)に」。
文明と技術の絶えざる進化に反し、依然リカバリできる人が必ずしもできないのは、また、本当は救われるべき弱者が必ずしも救われないのは、概して制度の「設計」と「運用」のコンセプトがこれにすり替わっているからである。
なぜ、「設計」は極めて性悪説で超網羅的か。
時代と技術が少数の悪人をよりズル賢くするからである。
なぜ、「運用」も極めて性悪説で非弾力的か。
直接的には担当者が少数の悪人のずる賢さに辟易し、初心と善意を奪われるからだが、根本的には挙句の不始末を上長以下無知かつ無責任な大多数の善人からこっぴどく責任追及されるからである。
制度のあるべき「運用」は、我々善人の真の善意に依存する。
「『設計』は性悪説で網羅的([場合の数]的かつ詳細)に、『運用』は性善説で弾力的に」。
社会であれ企業であれ、制度の「設計」と「運用」のあるべきコンセプトはこれである。
なぜ、「設計」は性悪説で網羅的か。
対象の「人間」が必ずしも善意の持ち主ではなく、少数の悪人によるモラルハザードを所与にすべきだからである。
なぜ、「運用」は性善説で弾力的か。
対象の「人間」が個人で、唯一無二の事情を汲むべきだからである。
「『設計』は極めて性悪説で超網羅的に、『運用』も極めて性悪説で非弾力的(杓子定規)に」。
文明と技術の絶えざる進化に反し、依然リカバリできる人が必ずしもできないのは、また、本当は救われるべき弱者が必ずしも救われないのは、概して制度の「設計」と「運用」のコンセプトがこれにすり替わっているからである。
なぜ、「設計」は極めて性悪説で超網羅的か。
時代と技術が少数の悪人をよりズル賢くするからである。
なぜ、「運用」も極めて性悪説で非弾力的か。
直接的には担当者が少数の悪人のずる賢さに辟易し、初心と善意を奪われるからだが、根本的には挙句の不始末を上長以下無知かつ無責任な大多数の善人からこっぴどく責任追及されるからである。
制度のあるべき「運用」は、我々善人の真の善意に依存する。
2020年10月08日
【洋画】「麦の穂をゆらす風/The Wind That Shakes the Barley」(2006)
[ひと言感想]
「眼の前の敵と戦うのは、持ち前の力の4割に留めろ。後の6割の力は、自分の後ろ、つまり、身内、に使え」。
河野洋平は新自由クラブを結党する際、三井三池炭鉱の組合委員長からこうアドバイスされたというが、これは本作の一メッセージでもある。
傍目ではうまく行っている会社や夫婦がある日突然瓦解するのは、個人の真意が分かり合えていないからである。
分かり合えているつもりで分かり合えていないのが、そして、分かり合うコストを惜しむべきでないのが、身内である。
「眼の前の敵と戦うのは、持ち前の力の4割に留めろ。後の6割の力は、自分の後ろ、つまり、身内、に使え」。
河野洋平は新自由クラブを結党する際、三井三池炭鉱の組合委員長からこうアドバイスされたというが、これは本作の一メッセージでもある。
傍目ではうまく行っている会社や夫婦がある日突然瓦解するのは、個人の真意が分かり合えていないからである。
分かり合えているつもりで分かり合えていないのが、そして、分かり合うコストを惜しむべきでないのが、身内である。