2020年07月
2020年07月30日
2020年07月27日
2020年07月21日
【ドラマ】「天城越え」(1978)
[ひと言感想]
土工が少年の殺傷を受容したのは、少年が自分を「手合」視せず、「個人」視したからだろう。
同様に、少年が後年事業で成功したのも、巡り合った縁者の殆どを「手合」視せず、「個人」視したからだろう。
無垢な個人は存在しない。
縁者を訳ありの個人として視、「本気で思ってくれた」と感慨させる人の罪は、一縁者の胸中に秘められて然るべきである。
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土工が少年の殺傷を受容したのは、少年が自分を「手合」視せず、「個人」視したからだろう。
同様に、少年が後年事業で成功したのも、巡り合った縁者の殆どを「手合」視せず、「個人」視したからだろう。
無垢な個人は存在しない。
縁者を訳ありの個人として視、「本気で思ってくれた」と感慨させる人の罪は、一縁者の胸中に秘められて然るべきである。
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2020年07月17日
2020年07月15日
【経営】「ディズニーCEOが実践する10の原則」ロバート・アイガーさん
P123
第5章 ナンバーツー
それから三年間、(CEOの)マイケル(・アイズナー)はナンバーツーを置かずに経営し続けた。オービッツが去ったことで私との関係は近づいたが、時折マイケルの警戒心を感じることもあった。マイケルは私が彼の地位を狙っていると思っていたし、全面的に信頼してくれてはいなかった。そんなわけで、私たちはつかず離れずの距離を保っていた。マイケルが私の意見を聞いてくれ、悩みを打ち明けてくれることもあれば、突然突き放してよそよそしくなることもあった。
買収されたあとも会社に残っていたのは、いつかディズニーの経営者になれるかもしれないと考えたからだが、だからといってマイケルの首を取ろうと思っていたわけではない。自分にできる最高の仕事をし、この会社のあらゆる面について学べることは学ぼうと思っていた。これまでのキャリアでもそうだったように、もしマイケルが自ら引く時がきたら、チャンスを掴む準備ができているようにしておきたかった。
これまでに、野心を育てるにはどうしたらいいかと何度も聞かれた。自分の野心を伸ばすコツも、また部下の野心を育むコツもよく聞かれる。リーダーは、周りの人間が積極的に困難に挑戦し、より大きな責任を引き受けるよう励ますべきだが、一方で、望みの仕事ばかりを夢見て今の仕事がおろそかにならないようにしなければいけない。野心が先走りすぎるとチャンスを掴めない。特定の仕事やプロジェクトを狙っていても、実際にそれが手に入るチャンスはほとんどない場合も多い。遠い将来のかすかなチャンスにしか眼が向かないと、問題が起きる。今の仕事に耐えられなくなるのだ。別の何かを追い求めるあまり、目の前の責任をきちんと果たせなくなる。そうなると、野心が仕事の邪魔になる。上手にバランスを取ることが大切だ。つまり、今ある仕事をうまくやり遂げ、じっくり構えて、出番を探して成長しながら可能性を広げ、何らかのチャンスが現れた時に、自らの勤勉さと熱量と集中力を発揮して、上司から頼りたいと思われる人間にならなければらなない。逆に、上司の立場ならば、そんな人間を育ててほしい。昇進を追い求め、自分が活用されていないと文句を言う人間ではなく、自分がかけがえのない人材であることを日々証明し続けている人間に、目をかけてほしい。
ほかの多くのこともそうだが、(ABC時代の上司の)トム(・マーフィー)とダン(・バーク)はこの点でも素晴らしいお手本だった。彼らは私の成長に投資し、私に成功してほしいと伝え続け、私が学ぶべきことを学べるように障害を取り除き、昇進して経営者になるための道と作ってくれた。私はその一歩一歩の段階で必死に努力し、できる限りのことを吸収した。私が成果をあげれば、彼らがより大きな仕事を与えてくれるとわかっていたからだ。そのおかげで、私は二人に深い忠誠を感じるようになっていた。
とはいえ、たいていの場合、CEOとその後継者は緊張関係にあるものだ。人は誰しも自分に代わる人間はいないと思いたがる。だが、客観的に見れば、この仕事ができるのは自分ひとりだという考えにしがみついても意味がないとわかるはずだ。優れたリーダーシップとは、代わりのいない存在になることではない。誰かを助けて自分の代わりになる準備をさせてあげることだ。また、意思決定に参加させ、育てるべきスキルを特定し、その向上を助け、時にはこれまで私がやってきたように、なぜその人がまだステップアップできないのかを正直に教えてあげることでもある。
(後略)
成る程、ロバート・アイガー流「リーダーシップ」とは「自分の代わり作り」であり、「リーダー」は「教育者」である。
リーダーの本懐は組織の持続的な成功である。
必要は「発明の母」であり、また、「教育の母」でもある。(笑)
P149
第6章 内紛
(前略)
多くの点で、マイケルはその後にやってくるトラブルを立派に毅然とさばいていた。とはいえ、ストレスがますます高まる中で悲観的になり不安と疑心が膨らむのは無理もなかった。マイケルはシャワーの後や飛行機の中や昼食で交わした会話がきっかけで、今やっていることが絶対に失敗すると思ったり、乗っ取られると思ったり、何かの案件が崩れてしまうと思い込んでしまい、そのことでよく私に電話をかけてきた。「破滅だ」と言うこともあった。そうしたことが続くうち、ディズニーの社内には陰鬱な雰囲気が広がっていった。
もちろん、マイケルが悲観的になってもおかしくない理由はたくさんあった。だが、リーダーは周囲に悲観的な見方を振りまいてはいけない。それが社員の士気をくじいてしまう。活力とひらめきが消えてしまう。そして、守りの姿勢で意思決定がなされてしまう。
マイケルはもともと心配性で、その性格が幸いすることもこれまでは多かった。破滅への恐れが彼を動かし、だからこそ完璧さと成功にこだわるようになったのだ。しかし、部下をやる気にさせるには、後ろ向きな態度は役に立たない。マイケルの懸念が当たることもあり、指摘が正しいこともあったが、ただ漠然とした心配が頭から離れないことも多かった。もちろん、いつも心配ばかりしていたわけではない。彼のあふれる情熱は周囲に伝染した。しかし晩年は、ストレスがますますのしかかってくるにつれ、悲観的な態度ばかりが表に出るようになっていった。そのことでマイケルは求心力を失い、孤立していく。
マイケルにのしかかっていたほどの大きなストレスを完璧に処理できる人はいないはずだが、苦しい時にはとりわけリーダーの前向きな姿勢は欠かせない。悲観論は過度の不安を引き起こし、それが守りの姿勢につながり、ひいてはリスク回避につながる。
前向きさと明るさは、組織の働きを変える。苦境にある時は特に、部下がリーダーを信頼し、自己防衛と生き残りのために動くのではなく、本当に大切なことに集中しなければならない。前向きな態度とは、うまくいっていないのにうまくいっていると取り繕うということではなく、「何とかなるさ」という勝手な自信を伝えることでもない。それは、自分と周囲の人が最高の結果に向かって突き進むことができると信じることであり、物事が思い通りにいかなければすべてを失ってしまうといった思い込みを周囲に振りまかないことだ。リーダーの姿勢と雰囲気は周囲の人にとてつもない影響を与える。後ろ向きなリーダーについていきたいという人はいない。
(後略)
成る程、ロバート・アイガー流「前向きな態度」とは、最高の「結果」ではなく「プロセス」の確信、そして、その周知である。
「結果」のエビデンスは「プロセス」である。
「結果」の否定的な思い込みは、最善かつ可能な「プロセス」の不作為に起因する。
2020年07月14日
【邦画】「ときめきに死す」(1984)
[ひと言感想]
アメリカでは、大統領のプライベートのゴルフも秘書が手配するという。
ゴルフをやる以上、遊びとはいえ場所や時間等々「決めること」があり、そのコストは大統領個人のリソースを使い、政策の意思決定に使うべきそれを侵食するからだという。
成る程、たしかに人間のリソースは有限で、先に何かに使えば、後に使える分は限られる。
とりわけ高コストである「決めること」を先に行えば、後に可能な行為は限られる。
本作品に改めて気づかされたのは、「リソース喰らい」であるこの自己決定を完全委任する効用と副作用である。
自己決定の放棄は、禁断の薬を服用するに等しく、個人の終わりの始まりである。
アメリカでは、大統領のプライベートのゴルフも秘書が手配するという。
ゴルフをやる以上、遊びとはいえ場所や時間等々「決めること」があり、そのコストは大統領個人のリソースを使い、政策の意思決定に使うべきそれを侵食するからだという。
成る程、たしかに人間のリソースは有限で、先に何かに使えば、後に使える分は限られる。
とりわけ高コストである「決めること」を先に行えば、後に可能な行為は限られる。
本作品に改めて気づかされたのは、「リソース喰らい」であるこの自己決定を完全委任する効用と副作用である。
自己決定の放棄は、禁断の薬を服用するに等しく、個人の終わりの始まりである。
2020年07月10日
2020年07月06日
【邦画】「Wの悲劇」(1984)
[ひと言感想]
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「女、使いませんでした?私はしてきたわ」。
私は「#MeToo」運動を否定しないが、大女優羽鳥のこの言い分も否定しない。
というのも、善悪を超えているからである。
本当に成し遂げたいことのために使えるリソースを使い倒すのは、もはや個人の人生観と決心の問題だからである。
本当の悲劇は、本当に成し遂げたいことに無知で、使えるリソースを使わず老いることである。
私は「#MeToo」運動を否定しないが、大女優羽鳥のこの言い分も否定しない。
というのも、善悪を超えているからである。
本当に成し遂げたいことのために使えるリソースを使い倒すのは、もはや個人の人生観と決心の問題だからである。
本当の悲劇は、本当に成し遂げたいことに無知で、使えるリソースを使わず老いることである。
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