2019年07月

2019年07月24日

【邦画】「万引き家族/Shoplifters」(2018)

[ひと言感想]
彼らが本物の家族以上に家族だったのは、互いを「食い物」にし、かつ、承知していたからだろう。
「ともあれ、自分を拾ってくれて、迎え入れてくれて、あり難い」と。
家族の大敵は「後ろめたさ」の否定、綺麗事である。


万引き家族 通常版DVD(特典なし) [DVD]
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、城桧吏、佐々木みゆ、松岡茉優、柄本明、樹木希林
監督:是枝裕和
ポニーキャニオン
2019-04-03


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2019年07月19日

【洋画】「ヘッドライト/Des Gens Sans Importance」(1956)

[ひと言感想]
原題の直訳は「しがない人々」だという。
「しがない人」はなぜ、しがないのか。
「出会い頭」と「捌け口」が人生の過半だからである。
彼らはなぜ、「出会い頭」と「捌け口」に人生を投じるのか。
リソースが全面的かつ持続的に欠乏し、八方塞がりの精神状態だから、挙句、それらに「救い」を求めるほか着想し得ないから、である。
「しがない人」に必要なのは刹那の「救い」ではなく、「絶望しないこと」である。
彼らがしがないのは、ある意味社会や運命の悪戯ではあるが、稀少なリソースを回収可能な希望に賭けなかった意味で自業自得である。


ヘッドライト HDリマスター版 ジャン・ギャバン/フランソワーズ・アルヌール [DVD]
出演:ジャン・ギャバン、フランソワーズ・アルヌール
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
株式会社アネック
2016-07-21




kimio_memo at 06:59|PermalinkComments(0) 映画 

2019年07月11日

【邦画】「怒り」(2016)

[ひと言感想]
怒りの根本は無力感である。
不条理に対峙するも、経験や実力が乏しく、有効解を下せない。
だから、怒るのである。
概して、年寄りが怒らなくなるのは、良くも悪くも悟り、そもそも不条理に鈍感だからである。
他方、若者が怒りがちなのは、不条理に敏感で、有効解を下せない自他を許せないからである。
怒りを忘れた人間に未来はないが、怒りの矛先を他にばかり向ける人間にも未来はない。
経験や実力は、欠乏を嘆くもの、開き直るものではなく、向上を自ら信じるもの、課すものである。


怒り DVD 通常版
出演:渡辺謙、森山未來、佐久本宝、宮崎あおい
監督:李相日
東宝
2017-04-12




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