2018年05月
2018年05月30日
【洋画】「バリー・リンドン/Barry Lyndon」(1975)
[ひと言感想]
バリーはブリンドンに負け、イングランドを追われた訳だが、さもなくば、早晩同じ、恨みを持つ者に葬られただろう。
この世で一番怖いのは恨みを買うことである。
決闘も人生も、時に「負けるが勝ち」である。
バリーはブリンドンに負け、イングランドを追われた訳だが、さもなくば、早晩同じ、恨みを持つ者に葬られただろう。
この世で一番怖いのは恨みを買うことである。
決闘も人生も、時に「負けるが勝ち」である。
出演:ライアン・オニール、マリサ・ベレンソン、レオン・ヴィタリ
監督:スタンリー・キューブリック
監督:スタンリー・キューブリック
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2018-02-17
2018年05月29日
2018年05月28日
【伝記/経営】「江副浩正」馬場マコトさん、土屋洋さん
P376
第十六章 リクルートイズム
(前略)
外部の反応に適切に対応しなければ、事業が行き詰まる。そんな危機感を抱いたリクルートの売り上げの八割超を担う四つの主要事業部長を中心に、出版の新規事業部長や法務部長、そして入社以来江副の秘書を務め経営企画室に所属する柏木斉など、リクルートの現場を支える三十代の責任者十二人が記者会見の翌週の火曜日の夜に集結した。もう誰の口からも、江副がリクルート株を売ったことへの憤りの声は上がらなかった。それよりも、どうやってこのダイエー資本参加から、リクルートの自主性を守るかの議論が優先した。でなければ、リクルートの屋台骨が潰れると、みなが強い危機感をもっていた。柏木から、リクルートが抱える借入金の実数が初めて開示された。一兆八千億円という、考えていた以上の負債額に全員が驚愕し、再建策を急いだ。やがて誰もが気付いた。守るべきものは資本の独立性ではなく、これまで築いてきたリクルートという組織の独自性なのだと。それがなくなればリクルートは消滅する。
十二人は守るべきリクルートの独自性を一つずつあげていった。
一、透明で中立的な開かれた経営でつねにあること。
一、社員持株会をつねに筆頭株主とし「社員皆経営者主義」を貫くこと。
一、つねに組織の新陳代謝に努め、若いエネルギーに満ちた組織であり続けること。
一、新規事業に果敢に取り組み、だれも手がけぬ事業をやる誇りをもち続けること。
一、つねに高い目標に挑戦し、その過程で個人と組織のもつ能力の最大化をめざすこと。
一、徹底した顧客志向により、得意先の満足を最大化すること。
一、個人を尊重し、社内はいっさいの肩書、学歴、年齢、性別から自由であること。
改めて書き記してみて気付いた。江副が興しみんなで守り育てた、いかなる日本企業にも見られない経営形態の独自性は、かくも明快ですがすがしく風通しのいいものだったのか。この七つの独自性のどれ一つが欠けても、リクルートはリクルートでなくなる。そして十二人は、その誇れる七項目の独自性にリクルートイズムという名を与えた。
リクルートイズムを守り抜くために、社員持株会の組織強化、編集権の独立、リストラ促進、借財ゼロに向けての二十年借入金返済計画の四点からなるリクルート再建案を作成した。最初の会議から三回目には、その全体構想がすでにできていた。(江副の後継社長の)位田が拒否すれば「第二リクルート」を立ち上げる気概で全員の辞表を集め、再建案を社長のところに持ち込んだ。
位田は、中内功との関係構築にまず注力することを考えていた。ダイエー色の浸透を許さずリクルート経営陣だけによる経営が担保されないのなら、リクルートは解体してもいいと考えた。万一、リクルートが離散しても、一人ひとりはなんの心配もなく新しい道を歩める。そんな人材だけを採ってきたというのが位田の自負だった。
十二人の再建案を聞き、リクルートイズムを推し進めることが社長位田尚隆の仕事と、自らに言い聞かせた。そして、リクルートの自主性が担保されない限り、東商記者クラブで開かれる中内のリクルート会長就任記者会見には同席しないとして、中内に同意を迫った。中内も決断が早かった。資本参加による経営効果をめざすより、リクルートはリクルートに任せるほうが「もうかる」と判断したのである。
「それぞれ風土が違いますから、その風土を一つにするということはマイナスになるわけです。リクルートの経営の独立性と情報の中立性を保つために、ダイエーとリクルートの間にチャイニーズウォールを築きたい」
九二年六月二十四日の東商記者クラブにそう答える中内の横に、位田の姿があった。毎日新聞のスクープから一ヶ月で、江副のリクルート株売却にともなう混乱は収まり、ようやくリクルートの経営危機は回避された。
江副浩正の不在に誰も気付かず、江副浩正を必要としなくなっていた。誰もが江副の株売却という機会をとらえ、自らを変えていった。まず中内功が変わった。
(中略)
ダイエーの支配からの独立をさらに強固にしたのが、ダイエーからたった一人でリクルートに常務としてやってきた高木邦夫だった。
「新人の高木です。よろしくお願いします」
どんな人物が乗り込んでくるのかと、位田をはじめみんなが戦々恐々とするなかで、高木はだれよりも謙虚だった。同時に高木はリクルートイズムをよく理解し、実践した。まず、ダイエーとリクルートの間に、高いチャイニーズウォールを築いた。例えばダイエーが、江副の妻の株の一部を買い取ったため、筆頭株主になりそうなときがあった。高木は、ダイエーの持ち株の一部をローソンに回し、社員持株会がいつも筆頭株主になるようにしてリクルートイズムを守り抜いた。
(中略)
自分が興した企業の思想と風土を受け継ぐ社員と卒業生たちが、かつて亀倉雄策がデザインしたかもめに姿を変えて、この日本の、いや、世界の大空を自由に高らかに何千羽、何万羽と群れをなし、飛翔する。そのすがすがしい勇姿こそ、江副の誇りだ。
(峯岸新社長へエールの手紙を書いた)自分の経営は間違っていなかった。再び生まれて何をなすと、問われるならば、今度はもっとリクルートをうまく経営すると答えよう。自分が興した企業、風土、文化を、次代に向けて、さらに進化した姿に変えるのだ。
しかし、江副はリクルートの上場を見ることなく、一三年二月八日、こつぜんと逝く。
その一年半後の一四年十月十六日、リクルートは東証一部に上場した。その出来高は時価総額一兆九千億円を記録し世間の耳目を集めた。
江副が冒した重大な過誤を後継者たちは自らの手で解決し、新しい成長軌道を駆け上がった。その象徴すべき出来事が、この日の東証一部上場だった。
P463
第二十一章 遺産
(前略)
江副は創業の早い時期から、リクルートは情報サービス業であると認識していた。そして、読者本位の情報誌の発行を主眼とし、編集方針をただ一つだけ定めた。
「情報の送り手ではなく、情報の受け手である読者の意見を大切にした、本創り。わが社には顧客が二人いる。広告主と読者である。どちらか一方を選ばなければならぬときがある。その場合は、後者を選ぶ。第一の顧客は、学生であり読者である。したがって、読者にとって好ましくない企業との取引は、たとえ商道徳に反すると批判されたとしても行わないことにしている」(創業二十周年記念誌)
読者にとって有益で使いやすい情報誌にするために、江副は多大なエネルギーを注いだ。たとえば、掲載が望ましくない企業の排除。情報誌ごとに掲載審査基準を定め、基準から外れる企業の掲載は禁止した。多大な広告収入が期待できる見込み客が現れても、基準に満たない企業は掲載を断った。誌面に載せるべき情報項目は詳細に規定した。読者の知りたい情報を網羅し、読者が比較検討しやすくするためだ。読者の「もっと知りたい」との欲求を満たすためにフィードバック機能を付けた。問い合わせはがきや資料請求はがきの戻り枚数が広告効果の指標となり、企業と読者の双方向のコミュニケーションを促進した。読者がめざす情報に容易にたどり着けるように検索機能を充実した。制作過程、印刷工程を絶えず見直し、短縮をはかることで、鮮度の高い情報を読者に一刻も速く届けようとした。各情報誌が読者のニーズに応えているかを定期的に測定し、誌面のリニューアルを不断に実施していった。
(後略)
位田社長以下、13人の江副チルドレンが当時守ったのは、大株主のダイエーからの自主性でなければ、「リクルートイズム」なる独自性でもないだろう。
彼らが辞表を胸に守ったのは、企業としてのリクルートのレーゾンデートルだろう。
もっと言えば、現時点において「リクルート」なる企業のみが達成可能な顧客満足とその社会的有意性であり、七つの「リクルートイズム」はその具現手段だろう。
また、だからこそ、位田社長を除く12人のチルドレンは、この確信のもと「第二リクルート」なる新企業の立ち上げをも考え、位田社長は中内会長に治外法権視を迫ったのだろう。
「自らが守るべきは、この確信とイズムを等しくする者が結集、一蓮托生でき得る場、システムであり、リクルートいう企業、名前、資産(ブランド)ではない」、と。
そして、彼らが、企業のレーゾンデートルの本質が対象顧客の満足とその社会的有意性であるのを思い知ったのは、「江副さん」にユニークかつ実力以上の価値創造をハードに要求され続けた賜物なのだろう。
「第一の顧客は、広告主の企業ではなく、広告の読者の学生である」。
信頼、心酔する「江副さん」の折に触れてのこうした金言は、とりわけタフネゴシエーションにおいて彼らの逡巡を一掃したのは勿論、彼らの実力と自信をいつどこでも新しい道を歩めるレベルへ引き上げたに違いない。
人は、才と信念のある人とのハードな協働からのみ鍛えられ、唯一無二に翔び得る。
2018年05月25日
2018年05月24日
2018年05月23日
2018年05月22日
2018年05月21日
2018年05月18日
2018年05月17日
2018年05月16日
【洋画】「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密/The Imitation Game」(2014)
[ひと言感想]
凡人は、一般的にできて当たり前でないことができて喜ぶが、天才はそうでないのである。
天才は、一般的にできて当たり前でないことができても、自分的にできた可能性のあることができなかったら喜べない、挙句、自己否定まっしぐらなのである。
凡人が天才を分からないように、天才も凡人が分からないのである。
天才数学者チューリングの偉業は、第二次大戦の終結を2年早め、1,400万人以上の命を救ったという。
たしかに、世界は一握りの天才の賜物である。
我々凡人が留意、励行すべきは、天才というあり難いマイナリティを認め、助けること、とりわけ孤独から解放すること、なのだろう。
彼、彼女を分かること、というでき得ないことではなく。
凡人は、一般的にできて当たり前でないことができて喜ぶが、天才はそうでないのである。
天才は、一般的にできて当たり前でないことができても、自分的にできた可能性のあることができなかったら喜べない、挙句、自己否定まっしぐらなのである。
凡人が天才を分からないように、天才も凡人が分からないのである。
天才数学者チューリングの偉業は、第二次大戦の終結を2年早め、1,400万人以上の命を救ったという。
たしかに、世界は一握りの天才の賜物である。
我々凡人が留意、励行すべきは、天才というあり難いマイナリティを認め、助けること、とりわけ孤独から解放すること、なのだろう。
彼、彼女を分かること、というでき得ないことではなく。
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グッド、チャールズ・ダンス、マーク・ストロング
監督:モルテン・ティルドゥム
監督:モルテン・ティルドゥム
ギャガ
2016-12-02
2018年05月11日
2018年05月10日
2018年05月09日
2018年05月08日
2018年05月07日
【洋画】「マディソン郡の橋/The Bridges of Madison County」(1995)
[ひと言感想]
「今在る自分は、母の『様々な』愛で形作られている」。
ジョンソン兄弟はこう確信し、母フランチェスカを笑顔で散骨したのだろう。
そうである。
愛は所謂オトコとオンナのそれに限らないし、純な愛は他の愛を強く、太くするのである。
成る程、愛は個別は当事者の期待に冷たいが、全体は当事者と全縁者の人生に優しい。
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「今在る自分は、母の『様々な』愛で形作られている」。
ジョンソン兄弟はこう確信し、母フランチェスカを笑顔で散骨したのだろう。
そうである。
愛は所謂オトコとオンナのそれに限らないし、純な愛は他の愛を強く、太くするのである。
成る程、愛は個別は当事者の期待に冷たいが、全体は当事者と全縁者の人生に優しい。
出演:クリント・イーストウッド、メリル・ストリープ
監督:クリント・イーストウッド
監督:クリント・イーストウッド
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2018-01-17
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