2017年07月

2017年07月27日

【洋画】「最高の人生のはじめ方/The Magic of Belle Isle」(2012)

[ひと言感想]
人間は脆弱な生き物であり、「生き物として潰れないこと」が自助の本質である。
人間が歳を重ねれば重ねるほど頑固になるのは、それも不幸に遭えば遭うほどそうなるのは、自助が働くからである。
そうして自分で自分を積極的に肯定しなければ誰も自分を肯定してくれず、身が危ういからである。
然るに、モンテがオニール一家から無条件に肯定され、頑固と未練の鎧を脱ぎ去り、挙句、余生の新たな扉を彼女たち共々開けたのは自然である。
先にモンテが、ひと言多くも(笑)彼女たちを無条件に肯定したのが端緒だが。

頑固は、基本「不毛」である。
しかし、硬く閉ざした部屋を隣人にノックさせ、信ずべき個人としていざなう、格好の「機会」、ないし、許される「甘え」かもしれない。
成る程、「避『暑』地」のいくつかは、甘えの許される「避『不幸』地」かもしれない。(笑)


最高の人生のはじめ方 [DVD]
出演:モーガン・フリーマン、エマ・ファーマン、ヴァージニア・マドセン
監督:ロブ・ライナー 
アメイジングD.C.
2013-03-06




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2017年07月26日

【洋画】「42 世界を変えた男/42」(2013)

[ひと言感想]
「『法律』に背けば称賛される場合もあるが、『慣習』に背けば排除されるしかない」。
この台詞は多々考えさせられるが、ここでの「慣習」は「常識」とも言えよう。
成る程、我々は「常識、非常識」と「善、悪」が区別できない、「困った生き物」なのだろう。

しかし、次の台詞を紐解くに、我々は自分を、そして、未来をそう悲観しなくても良いのかもしれない。
「NYは黒人の野球ファンの宝庫だ。カネ、ドル札の色は白でも黒でもなく、緑だ」。
そう、我々は「カネ」を創造、利用しているからである。
カネは万民の共有ツールであり、共通言語であり、「カネに色はない」からである。
カネは、それを媒介に、先の困った性(さが)を我々に気づかせ、改めさせてくれる、そんな力を秘めているからである。

世界を変える人間は「リーダー」である。
どうりで、リーダーはカネの利用法、とりわけ「見せ方」が上手い訳である。


42~世界を変えた男~ [DVD]
出演:チャドウィック・ボーズマン、ニコール・ベハーリー、ハリソン・フォード
監督:ブライアン・ヘルゲランド 
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2014-11-05


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2017年07月24日

【洋画】「ワールド・トレード・センター/World Trade Center」(2006)

[ひと言感想]
成る程、真の生命力とは、最悪の時でも他者を励ませること、また、それを絶望しない拠り所にできること、を言うのだろう。
「遠くの親戚より近くの他人」は、最悪を生きる最高のヒントかもしれない。


ワールド・トレード・センター スペシャル・エディション [Blu-ray]
出演:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ
監督:オリバー・ストーン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2013-08-23




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2017年07月20日

【洋画】「愛の選択/Dying Young」(1991)

[ひと言感想]
恋愛は無い物ねだりの妙である。
一度得た愛を強制終了させられるのは、塗炭の苦しみである。
「対処困難」な自己責任が元凶の時は、尚更である。
「対処不能」なそれと異なり、希望、未練が残るからである。
恋愛の果ては未練である。


愛の選択 [DVD]
出演:ジュリア・ロバーツ、キャンベル・スコット
監督:ジョエル・シューマカー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2015-12-18


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2017年07月18日

【洋画】「炎の人ゴッホ/Lust for Life」(1956)

[ひと言感想]
かくしてゴッホは37歳で早世した訳だが、ゴッホを全面的に信じ、支えた弟テオも、3年後、34歳で早世したという。
ゴッホからの手紙を聖書の如く保管していたテオの早世は、ゴッホの早世と無関係ではあるまい。
テオのゴッホに対する思考態度は、見返りを求めない点で、兄弟というより親子のそれに近く、テオにとってゴッホの喪失は拠り所の喪失だったのではないか。
天才には拠り所が欠かせないが、天才を支える凡人にも拠り所が欠かせない。
天才の奇跡は、天才を支える以上の拠り所が無かった凡人の奇跡でもある。


炎の人ゴッホ [DVD]
出演:カーク・ダグラス、 ジェームズ・ドナルド、アンソニー・クイン
監督:ヴィンセント・ミネリ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-16




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2017年07月07日

【人生訓】「〆切本/のばせばのびる、か」外山滋比古さん

P276
仕事をするのは気迫である。

(中略)

都会の人間は、刺激のつよい環境の中で生活している。いつも競争の意識がある。よし、負けてなるものか。混雑したところへ出ると、そういう気持になる。いったんしてしまおうと考えれば、たいへんだと思われたことが何でもなくできてしまうものだ。気迫さえこもっていれば仕事はできる。仕事をおそれていては、仕事にかかったつもりでも、その実、ぐるぐるまわりを廻っているにすぎない。

(中略)

大学では卒業論文を書かせる。もっともこのごろは学部では論文は無理だとして、卒業論文を廃止した大学もすくなくないが、なお、多くの大学では論文を卒業の条件にしている。

卒業論文には締切りがある。R先生のように締切りのころから動き出すというのでは間に合わない。一時間おくれても受理されない。締切り厳守である。

その日が近づくと、もうとても間に合わない、ことしは無理だ、一年論文留年しようという気持をおこす学生がかならず何人かあらわれる。いま急いで不本意な論文を提出するより、もう一年じっくり時間をかけて悔いのない論文を完成しよう。この空想は甘美である。目前に迫った締切りと、手がけている進行中の論文はいかにも醜悪である。ここはどうしても空想の美酒を飲みたい。そこで教師に通告してくる。ことしは提出しない、一年のばす、と。

もし、ここで教師が折れるとどうなるか。この学生は永久に卒業できないおそれが出てくる。教師たるもの、ここでは心を鬼にしなくてはならない。何が何でも書き上げろ。死んだつもりで書け。でき栄えなど自分で気にするのは生意気である。ことし書けないのなら、来年はもっと書きにくい。来年になれば名論文が書けるように思うのは幻想にすぎない。来年のいまごろになれば、いまとまったく同じ気持になる。さらに悪いことに一年のハンディキャップがある。せっかく一年かけたのに、このていたらく。もうすこしましなものができなくては留年した手前もはずかしい。そこで、ひょっとすると、もう一年留年したくなる。一度あることは二度ある。またのばす。こうしてとうとう四年留年したが、それでも論文が書けないでついに退学したという例も実際にある。はじめの気の弱さが事の起こりである・・・。そういう訓話をして、しゃにむに書かせてしまう。

仕事にかかるのは気迫だが、仕事をし終えるには諦めが必要である大論文を書こうと思ったら決して完成しない。できるだけの努力はする、あとはもう運を天にまかせる。不出来であってもしかたがない。そう思い切るのである。色気をすてるそうすれば案ずるより生むはやすし、である。

(中略)

仕事を先にのばせば、いくらでものびる。そしてのびた仕事ほど、やりにくくなる。あがりもおもしろくない。兵は拙速をたっとぶ。どうせ上々の首尾などということは叶えられないことだとあきらめる。

今日できることがあったら、してしまえ。明日までのばすな。忙しい人は、すぐ手をつける。ひまな人は明日に期待をかける。明日には明日の仕事がわいてくる。きのうの仕事と今日の仕事が重なってはとてもできるものではない。もう一日のばそう。ところが、その日になってみるとその日の新しい仕事が待っている。こうして高利貸から借りた借金のように仕事が累積して、どこからどう手をつけたらよいかわからなくなる。

今日できる仕事を明日にのばすな。これはそういうにがい思いを何度もした多忙な人間がようやくたどりつく心境である。そういう気持になったとたんに多忙の人は忙中おのずから閑あり、と達観することができるようになる。ひまな人は永久にそういう真理を実感しないで結局はいつもあくせくしていなくてはならない。

仕事はのばせばいくらでものびる。しかし、それでは死という締切りまでにでき上がる原稿はほとんどなくなってしまう。

仕事にかかるのは気迫だが、仕事をし終えるには諦めが必要である」のは尤もであり、耳が痛すぎる。(笑)
だから、私は先ず手を動かし、乏しい気迫を鼓舞する以外ないし、また、色気を捨て、悪い諦め、および、自分の買い被りと決別する以外ない。
死という締切りの遠くない到来を、絶えず意識して。



〆切本
夏目漱石、他
左右社
2016-08-30




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2017年07月06日

【洋画】「ゲームの規則/La Règle du jeu](1939)

[ひと言感想]
「物事には『規則』、『決まり』がある。これが『決まり』である。こうするものである」。
本作品は有産階級が舞台だが、こう真実と真理に目を背け、人生の過半を空騒ぎで空費している点で、我々無産階級の人間にも覚えがあろう。
「決まりが在り、かつ、絶対の『ゲーム』」が社会、人生の本質なら、そのプレーヤーである個人は、立場と待遇こそ違えど、皆奴隷に過ぎない。


ゲームの規則 [DVD]
出演:マルセル・ダリオ、ノラ・グレゴール、ローラン・トゥータン、ガストン・モド、ジュリアン・カレット、ジャン・ルノワール
監督:ジャン・ルノワール
ファーストトレーディング
2011-02-22


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kimio_memo at 07:10|PermalinkComments(0) 映画 

2017年07月05日

【洋画】「推定無罪/Presumed Innocent」(1990)

[ひと言感想]
人は罪からは逃れられても、犯した不実からは逃れられない。
後ろめたさの無さは傲慢を招くと言うが、不実を犯したがゆえの後ろめたさは不幸を招く。
不実は犯さないに越したことはないが、犯した不実は火消しと最小化が欠かせない。


推定無罪 [Blu-ray]
出演:ハリソン・フォード、グレタ・スカッキ、ラウル・ジュリア、ボニー・ベデリア、
監督:アラン・J・パクラ
ワーナー・ホーム・ビデオ
2010-06-02




kimio_memo at 06:38|PermalinkComments(0) 映画 

2017年07月04日

【洋画】「オブリビオン/Oblivion」(2013)

[ひと言感想]
観賞直後、こう自問した。
「我々現代人は何かにつけ他者を脊髄反射的に敵視するが、対峙すべき敵を正しく認識しているか。狡猾かつ悪意の第三者にそそのかされ、誤って認識していないか。そして、真に善意の第三者を、挙句、自らを、危うくしていないか」、と。
ビジネスは本質的には問題解決であり、肝は問題を正しく認識することにある。
それには、他者の唱える問題と解決策を鵜呑みにしないこと、そして、ボトルネックを導き出す問いを自らに正しく投げかけること、が不可欠だが、これはもはやビジネスだけでなく、人生にも通じるに違いない。


オブリビオン [DVD]
出演:トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、モーガン・フリーマン
監督:ジョセフ・コシンスキー
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2014-04-09




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2017年07月03日

【洋画】「グラディエーター/Gladiator」(2000)

[ひと言感想]
自分の至らなさを認め、涙ながらに赦しを請う父を、なぜコモドゥスは同じく涙ながらに殺めたのか。
近因は勿論、皇位継承の野望を果たしたかったからだろう。
しかし、根因は、絶対君主の父に最期まで、父ではなく完璧な絶対君主であって欲しかった、さもなくば、愛されず、ダメばかり出され続けた自分が救われないから、ではないか。
成る程、我々が最悪のオプションを選択するのは、凡そ絶望を覚えた時である。
そして、その最たるは、今の自分、並びに、その根拠の肯定が危うくなった刹那である。


グラディエーター [DVD]
出演:ラッセル・クロウ、コニー・ニールセン、オリヴァー・リード、ホアキン・フェニックス
監督:リドリー・スコット
ジェネオン・ユニバーサル
2012-04-13




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