2016年04月
2016年04月25日
【第74期名人戦/第二局】佐藤挑戦者、「幸運」に恵まれ逆転勝利
[ひと言感想]
本局を概括すれば、羽生善治名人が最終盤、一分将棋に追い込まれた挙句、相手玉の詰み(→自身の勝利)を二度見逃し、佐藤天彦挑戦者に逆転負けを食らった、となるのだろう。
たしかに、羽生名人の見逃し、それも、二度にも渡るそれは、名人らしからぬ明らかなミス、間違いで、それに救われた佐藤挑戦者の勝利はタナボタ、「幸運」なのだろうが、このてん末を否定的に評価する将棋ファンはほぼ皆無だろう。
なぜか。
皆私と同様、過去幾度と無く「人間は間違える生き物」、「勝負は時の運」なのを実体験、痛感し、かつ、本局を通じ反芻、肯定しているに違いないからだ。
本局のてん末は、今年のマスターズ・トーナメントのそれと本質的には同じだろう。
将棋もゴルフも人間、人生の抽象であり、だからこそ、面白く、有意である。
★2016年4月22、23日催行
http://mainichi.jp/feature/shougi/meijinsen/
http://mainichi.jp/meijinsen/%E7%AC%AC74%E6%9C%9F%E5%90%8D%E4%BA%BA%E6%88%A6%E4%B8%83%E7%95%AA%E5%8B%9D%E8%B2%A0%E7%AC%AC2%E5%B1%80/
http://www.asahi.com/articles/ASJ4R3C3PJ4RUCVL00Q.html
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本局を概括すれば、羽生善治名人が最終盤、一分将棋に追い込まれた挙句、相手玉の詰み(→自身の勝利)を二度見逃し、佐藤天彦挑戦者に逆転負けを食らった、となるのだろう。
たしかに、羽生名人の見逃し、それも、二度にも渡るそれは、名人らしからぬ明らかなミス、間違いで、それに救われた佐藤挑戦者の勝利はタナボタ、「幸運」なのだろうが、このてん末を否定的に評価する将棋ファンはほぼ皆無だろう。
なぜか。
皆私と同様、過去幾度と無く「人間は間違える生き物」、「勝負は時の運」なのを実体験、痛感し、かつ、本局を通じ反芻、肯定しているに違いないからだ。
本局のてん末は、今年のマスターズ・トーナメントのそれと本質的には同じだろう。
将棋もゴルフも人間、人生の抽象であり、だからこそ、面白く、有意である。
★2016年4月22、23日催行
http://mainichi.jp/feature/shougi/meijinsen/
http://mainichi.jp/meijinsen/%E7%AC%AC74%E6%9C%9F%E5%90%8D%E4%BA%BA%E6%88%A6%E4%B8%83%E7%95%AA%E5%8B%9D%E8%B2%A0%E7%AC%AC2%E5%B1%80/
http://www.asahi.com/articles/ASJ4R3C3PJ4RUCVL00Q.html
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2016年04月12日
【洋画】「シャイン/Shine」(1996)
[ひと言感想]
人間に正気は欠かせないが、代償として素直さや純粋さが奪われ得る。
デイヴィッドが後年父ピーターと和解できたのは、良くも悪くも心を病み、正気を無くしたからだろう。
ピーターはデイヴィッドが正気を無くしたから謝罪でき、デイヴィッドも正気を無くしたから赦せたのだろう。
そう、無くてはならないモノがあるから大事な何かを無くしてしまうことがあれば、無くてはならないモノを無くしたから大事な何かを取り戻せることもある。
本当に無くてはならないモノなど無いのだろう。
人間から輝きを奪うのは、無くすことへの過剰な怖れかもしれない。
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人間に正気は欠かせないが、代償として素直さや純粋さが奪われ得る。
デイヴィッドが後年父ピーターと和解できたのは、良くも悪くも心を病み、正気を無くしたからだろう。
ピーターはデイヴィッドが正気を無くしたから謝罪でき、デイヴィッドも正気を無くしたから赦せたのだろう。
そう、無くてはならないモノがあるから大事な何かを無くしてしまうことがあれば、無くてはならないモノを無くしたから大事な何かを取り戻せることもある。
本当に無くてはならないモノなど無いのだろう。
人間から輝きを奪うのは、無くすことへの過剰な怖れかもしれない。
出演:ジェフリー・ラッシュ、ノア・テイラー、リン・レッドグレイヴ、アーミン・ミューラー=スタール
監督:スコット・ヒックス
監督:スコット・ヒックス
角川書店
2011-06-24
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2016年04月08日
【第74期名人戦/第一局】羽生名人、いつものように「いつのまにか」優位に立ち、先勝
[ひと言感想]
朝日新聞の総括は尤もで、羽生善治名人が「いつのまにか」まとめにくい局面をまとめ上げ、優位に立っていた。
いつものように、ではあるが。
佐藤天彦挑戦者においては、二日制の長丁場の対局が初めてだったことも手伝い、少なからず狐につままれた思いに苛まれたのではないか。
羽生名人が見ている所は、他の棋士が見ている所より遥かに大局的、ないし、遠い印象がある。
この視点の違いが羽生名人の、また、持続的な勝者の、「いつのまにか優位に立つ」得体のしれぬ強さの源かもしれない。
★2016年4月5、6日催行
http://mainichi.jp/feature/shougi/meijinsen/
http://mainichi.jp/meijinsen/%E7%AC%AC74%E6%9C%9F%E5%90%8D%E4%BA%BA%E6%88%A6%E4%B8%83%E7%95%AA%E5%8B%9D%E8%B2%A0%E7%AC%AC1%E5%B1%80/
http://www.asahi.com/articles/ASJ463CPCJ46UCVL00L.html
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朝日新聞の総括は尤もで、羽生善治名人が「いつのまにか」まとめにくい局面をまとめ上げ、優位に立っていた。
いつものように、ではあるが。
佐藤天彦挑戦者においては、二日制の長丁場の対局が初めてだったことも手伝い、少なからず狐につままれた思いに苛まれたのではないか。
日本将棋連盟モバイル@shogi_mobile#ShogiLive 渡辺明竜王>【38手目】自然な進行は▲8四飛△8三歩▲8六飛△3五飛で、ここまでいけば先手は陣形をまとめにくく、後手は2、3筋に歩を打つことができるので後手有利といえます。
2016/04/06 09:34:07
朝日新聞将棋取材班@asahi_shogi村)2日目昼の段階では「挑戦者ノリ」の声が多かったようですが、いつのまにか名人が優位に立っていました。第2局は22、23日に長野県松本市で指されます。 羽生名人が先勝 佐藤八段、白星飾れず 将棋名人戦:朝日新聞デジタル https://t.co/PShjvf8FFI
2016/04/06 22:30:19
羽生名人が見ている所は、他の棋士が見ている所より遥かに大局的、ないし、遠い印象がある。
この視点の違いが羽生名人の、また、持続的な勝者の、「いつのまにか優位に立つ」得体のしれぬ強さの源かもしれない。
★2016年4月5、6日催行
http://mainichi.jp/feature/shougi/meijinsen/
http://mainichi.jp/meijinsen/%E7%AC%AC74%E6%9C%9F%E5%90%8D%E4%BA%BA%E6%88%A6%E4%B8%83%E7%95%AA%E5%8B%9D%E8%B2%A0%E7%AC%AC1%E5%B1%80/
http://www.asahi.com/articles/ASJ463CPCJ46UCVL00L.html
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2016年04月06日
【洋画】「卒業/The Graduate」(1967)
[ひと言感想]
劇中でとりわけ不明なのは、ロビンソン夫人の思考だ。
その最たるは、元愛人のベンジャミンが娘のエレーヌを奪いに教会へ来た時だ。
ベンジャミンを目の当たりにした刹那は、笑顔を浮かべ、制止すべく席を立った夫を「もう遅いわ」と一旦制止しながら、もみくちゃの中、エレーヌが付いて行こうと決心すると、「もう遅いのよ」と往復ビンタして制止を試みた。
このロビンソン夫人の一連の思考は、もはや理解を超えている。
ただ、エンドクレジットで最初に流れる俳優はダスティン・ホフマンではなく、ロビンソン夫人のアン・バンクロフトだ。
原題の「The Graduate」は「卒業生」の意だが、本作品の描く卒業生の最たるは、顰蹙覚悟で不毛な結婚、人生から卒業したロビンソン夫人なのかもしれない。
劇中でとりわけ不明なのは、ロビンソン夫人の思考だ。
その最たるは、元愛人のベンジャミンが娘のエレーヌを奪いに教会へ来た時だ。
ベンジャミンを目の当たりにした刹那は、笑顔を浮かべ、制止すべく席を立った夫を「もう遅いわ」と一旦制止しながら、もみくちゃの中、エレーヌが付いて行こうと決心すると、「もう遅いのよ」と往復ビンタして制止を試みた。
このロビンソン夫人の一連の思考は、もはや理解を超えている。
ただ、エンドクレジットで最初に流れる俳優はダスティン・ホフマンではなく、ロビンソン夫人のアン・バンクロフトだ。
原題の「The Graduate」は「卒業生」の意だが、本作品の描く卒業生の最たるは、顰蹙覚悟で不毛な結婚、人生から卒業したロビンソン夫人なのかもしれない。
2016年04月04日
【邦画】「パーフェクト・ワールド/A Perfect World」(1993)
[ひと言感想]
「善行と悪行の判断基準が、構成員全員の合意のもと、完璧に共有されている社会」。
劇中の「パーフェクトワールド」、ないし、「パーフェクト」の意味はこういうことだろう。
ブッチはフィリップに銃口を向けられ、二度目は撃たれたが、内心嬉しかったに違いない。
一度目とは違い、自分自身が悪行を全うしようとしていたばかりか、成長した小さな相棒も涙ながらに決断したのだから。
「パーフェクトワールド」は無いか、もしくは、あっても非常に限定的だろうが、「パーフェクト」共々目指すのは有意義に違いない。
目指さなければあり得ないばかりか、相棒との出会いもあり得ないのだから。
「善行と悪行の判断基準が、構成員全員の合意のもと、完璧に共有されている社会」。
劇中の「パーフェクトワールド」、ないし、「パーフェクト」の意味はこういうことだろう。
ブッチはフィリップに銃口を向けられ、二度目は撃たれたが、内心嬉しかったに違いない。
一度目とは違い、自分自身が悪行を全うしようとしていたばかりか、成長した小さな相棒も涙ながらに決断したのだから。
「パーフェクトワールド」は無いか、もしくは、あっても非常に限定的だろうが、「パーフェクト」共々目指すのは有意義に違いない。
目指さなければあり得ないばかりか、相棒との出会いもあり得ないのだから。